サンタガール
12月の寒い中、子供にプレゼントを配るという罰ゲームにもにた作業をしないといけないのか、そう先輩に愚痴ったのは、間違いだった。
「はぁ?それを私の前で言っちゃう、言っちゃうとはいい度胸だよ後輩」
「すいませんでした」
寒い気温なんて、吹き飛ばしそうな表情で、先輩が詰め寄る前に謝るが、許されなかった。
「すいませんで済まされる程度で私の不満は沈まらねぇんだよ、寒い中私はミニスカートなんだよ、セクハラにも程があるだろう、私にはジジイ達のように厚い脂肪があるわけでもねぇ」
確かに先輩のお腹にも胸にも脂肪と呼べるものはないですと言って和やかな雰囲気になるわけでもないので、黙っておく。
「大体さ、昨今の子供なんて、私の頃より恵まれているのに、さらにプレゼントを貰えるとかふざけんなよって言いたいよ、それはもうふざけんなよって何度だって言いたい、それほど私には不満があるわけよ、でも私だってこの業界長いのよ、サンタとしてこの業界長いからその不満を呑み込んで、サンタとしてやっているのに、私より業界短い後輩が、罰ゲームみたいですねぇって簡単に言いやがって、私がこの業界いるのも罰って言いたいのか」
決してそんなつもりはないと、一生懸命首を横にふるが、先輩はとまらない。
「いたいけな少女だった私は、寒空の中マッチ売って、プレゼントすらもらえず死んだのに、何の因果か天国にきたらババアがサンタと結婚しているから、私はその手伝いで、寒くてミニスカートという変な格好で子供にプレゼント配っていることに何の不満もないとか思っているのか後輩」
「文句言ってすみませんでした」