2話 君に会うまでの時間
白い部屋に置かれた二台の白いベッドの上には半裸の少年が二人寝かされていた。
茶髪の少年と黒髪の少年は目を開いたまま横になり腕に細い管を通され、ベッドの隣に置かれた機械に採血されているところだった。
もう何時間も横になっているような気がするが部屋に唯一ある天井近くの窓ガラスはスモークガラスで外の景色は見えず、外を想像したくてもそこから研究員がこちらを観察している様子しか思い浮かばない。
つまり正確な時間は分からない。
「今日からあなたたちに新しい家族が増えます」
部屋のどこからか研究員の声が響いてくるが二人は反応することなく白い天井をぼんやり見つめ続ける。
研究員はそれ以上何か言うことなく部屋には再び静寂が訪れた。
そのうち腕に通されていた管が離れ、機械に戻されていくとガラス越しに観察していたのだろう二人の研究員がやって来て白衣の中からガーゼを取り出しそれぞれ分担して少年たちの腕に開いた小さな穴に貼り当てていく。
二人ともガーゼを当てる手は僅かに震えていて、それを見た黒髪の少年が初めて人間らしい表情――笑みを浮かべた。
「ひっ!?」
「なんにもしねえよ。びびってないでさっさと服返せよ」
少年の笑みに体を強張らせる研究員に少年は元の無表情になり要求すると研究員は慌ててベッドの下に置かれたカゴの中から少年の服であろう黒い服を取り出し少年に手渡すとさっさと退室して行った。
少年二人は会話することもなくさっさと服を着て扉のほうへ歩き退室しようとする。
しかしいつもなら何も言わず見送る研究員が珍しく話しかけてきた。
「先ほど新しい家族が増えるのは言いましたね。そしてあなたたち二人には新しい名前も付きます」
二人は黙ったまま研究員の話に耳を貸す。
研究員は二人の反応を確認し、言葉を続けた。
「今日からあなたたち二人の名前はノイテとアーベントです」
「質問です」
名前を告げると初めて茶髪の少年が口を開いた。
「どっちがノイテで、どっちがアーベントなんですか?」
「そうね、質問してくれた茶色い髪のあなたがアーベント。そして、もう一人のあなたは……」
研究員が名前を言う前にノイテと名付けられた黒髪の少年は部屋を出てしまう。
「俺がアーベントならもう一人はノイテ。そんなこと聞かなくても分かりますから大丈夫です。俺たちに名前なんてあまり意味がないとは思いますけど、ありがとう」
アーベントは無表情で礼を言うとノイテの後を追うようにして部屋を退室した。




