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天獣からの質問

※アーベント視点です

 ソリスが扉から出て行ってしまってから俺とノイテは何も話さないまま違う方向に歩き出す。


 ノイテは森のほうに、俺は砂浜に。


 一人で歩くのはなんだかとても久々に思える。足が重くて、両手が空いているのが気持ち悪い。何より、目の前で転ぶ少女がいないのが不快だった。


 ソリスがいなくなって俺たちの世界は元に戻っていく。太陽を覆い隠すように空にかかる黒い雲。


 そこから雷が出てくるのはもう分かりきっていた。


「一度でいいから当ててみせればいいのに」


 雷で死ぬ体なのかどうかは知らないけど、ソリスと同じ体の俺なら死んじゃうのかな。

 

 それなら死んでも悪くない。


『じゃああたしが会いに来る!』


 ああ、でも俺が死んでソリスが悲しんだらどうしよう。


 ソリスが会いに来て、もしノイテがいなくて、俺もいなかったら、一人になっちゃうな。


 そうなったら一人を怖がるソリスは泣いちゃうだろうから、こんなこと考えてちゃ駄目だな。


 だけど別のことを考えようとすると、邪魔するように雷が鳴り始める。


 それが次第に近づいてくる気配がして落ちてくるなと思った瞬間、甲高い鳴き声が聞こえくると、周囲が明るくなって目の前に朱い巨体の鳥が現れた。


「赤い鳥……フェニックス? いや、ガルーダ? 別にどっちも同じか……」

「ああ同じなのだろう。君とは違ってな」

「話せるんだ。いや、貶せるの間違いかな?」

「私はガルーダ。あの子がそう呼んでいたのでそう呼ぶといい」

「あの子?」


一体誰のことだ。

天獣と呼ばれている伝説の生き物の部類に入るこの鳥に会えたなんて普通の人間じゃない。


「率直に聞きたい。君は神に……そして世界に、人間としての存在を許されていると思うか?」

「思わない。いや違うな……思えなかった。でも今は思うよ。俺はここに居てもいいんだって」

「それを許した者がいると?」

「俺のことを好きでいてくれる他人がいる。それだけで俺はここに存在する意味があると思うんだよ」

「なら、その他人がお前を否定してもお前はそれを言えるか?」


 ソリスが俺を? そんなことあるわけがない。


「君たちは国だけではなく、世界にとっての脅威になりえる存在だ。そんな君たちを保持している人間が何者かも分からないただの人間に会わせるだろうか?」


 確かにソリスは何も知らないただの女の子だ。


 会いに来るって……ソリス、ねえどうやって?

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