第1章 第3話
白銀に輝く2つの月を眺めながら、複数個月があるのって神秘的だよねって深く思う。
澄んだ空気の御蔭か、満天の星空を眺めつつ、しかし、睡魔に負けそうでコクリコクリと時折船を漕ぐ自分に気付く。
むー、今日はシロクロコンビの親も来てるから寝たくないんだけどなー。ふぁー。眠いー。
「はー、それにしても生ける伝説の雷王狼に烈火虎の番いとそれぞれの子供とは迫力ありますね」
「あぁ、流石にこいつら相手だと俺でも瞬殺されかねんからな。それにしても、群れる烈火虎は兎も角、孤高の存在の雷王狼すら虜にするとは。やっぱり俺の息子は天使の生まれ変わりかもしれんな」
「まぁ、彼らの仲の良さは有名ですからね。間にシューさえ居なければ見れる場所では見れるのでしょうけど。我が息子ながら何と言うか、これから苦労しなければ良いのだけど」
む、母さん達が向こうで何か話し合ってるなぁ。でも、クロシロは兎も角ライオウもライキもヒテイもヒキも俺以外は嫌がるからなぁ。そう言えば漢字では雷王、雷姫、火帝、火姫って書くんだよなぁ。教えたら喜んでくれたし。うん、単純で結構。本人の意思が大事なんだよ。
本当はクロとシロも変えたかったんだけどなぁ。本人達がこれが良いって譲ってくれなかったからなぁ。まぁ俺に名前付けるセンスが皆無なのは自覚あったしね。前世から酷かったし。
『シュー坊、眠れないの?』
「ううん、折角皆が来てくれたのに寝たくないのー。街に着いちゃったら簡単に会えなくなっちゃうしね」
『むー、人間達は嫌いではないのだけど、流石に怖がらせたくないわ』
『我が夫よ、我は流石に触られるのも嫌だぞ? 感電させかねないし』
『うむうむ、我も火力を調節するのは骨だからなぁ。シュー坊くらいだな。それを押しても一緒に居たいと思えるのは』
『ふふふ、母さん父さん達と違って僕達は調整慣れてるもんねー。人間達と仲良くするんだー』
『私は良いかなー。シューちゃんだけで十分だし、1人が楽だし』
ほんと念話って便利だよねー。相手の考え読まない様に一方通行がマナーってのも凄い共感出来るし。俺も色んな動物達と喋りたいし、念話覚えようかな。あ、でも俺には動物達の言葉が分かんないから相互念話じゃないと無理かー。うー、それにしても眠いー。頑張れ俺ー。皆のモフモフが気持ちよすぎるー。あー……。
気付いたら朝でした。でも皆居てくれたよ! あんまりにも名残惜しいので、後丸1日一緒に居る事に。馬並みの大きさのシロクロの背中に乗るのも楽しいけど。足から肩迄で3m以上ある皆に乗るのも別の楽しさがあるから最高だね。
それに、シロクロの御陰で本当は片道2ヶ月は掛かる道のりを半分以下に短縮出来てるし。それにしても、皆どうやって空を走ってるのだろう? 別に加護何かなくても種族的に出来るらしいしね。こう言う摩訶不思議なのって本当に面白い。
こうして、3週間目最後の2日は楽しく過ごすのでした。まる。
って。明日には森を出て、4日後には街に着くのか。さー、楽しみだなぁ。
森を抜けたら大平原が広がってました。マジ興奮する! いやー、地平線とか初めてみたわ。全速力のシロもクロも超早い! つっても俺乗っけての全速力だろうけど。俺居なかったらもっと早いんだろうなぁ。まぁ馬車引く時はマイペースだけどね。
「ふー、流石の俺もここまで楽な旅は初めてだなぁ。やっぱり夜は寝込み襲おうとモンスターが来るし。シロクロには感謝だな」
「ぐっ」
「おやぁ? 2匹に気付かなかったおマヌケなハイエルフ様。どうしたんだ?」
「ううっ」
「もー、母さん、エリンいじめちゃダメだよ!
偶々死角で見えなかったんだよ、きっと」
「あー。シュー。そのくらいにしてあげて。エリンにトドメさしちゃってるから」
父さんの発言に首を傾げる。俺おかしな事言ってないよね? しかし、撃沈しているエリンを見て、それが事実だと伝わり、あわあわと慌ててしまう。
「ご、ごめんエリン、何だか分かんないけど、止むに止まれない理由があったんだよね?」
「……ぷっ、あはははは、そうそう、止むに止まれぬ事情があったから仕方ねーよな」
「ううう、エルフ族の性とは言え……性とは言えー!」
いかん、場がカオスになって来た。最早父さんは曖昧に微笑むだけになっちゃったし。とは言え、仲良くじゃれてる2人とも見れるから俺も強く言えないんだよなぁ。
何か前世で言う男同士のじゃれあいみたいだし。この世界じゃこう言うの普通なんだろうなぁ。しかし、いつの間に仲良くなったんだ? 寧ろ一番エリンを警戒してるの父さんっぽいしね。よくさりげなく俺とエリンの間に入ってたりするし。
しかしながら、それを誰にも気付かせる事なく自然と行う父さん。実は凄い人なのかも。
それにしても、大平原で食べるお弁当って美味しー。家事も元々やってたけど、父さんと肩を並べて作るのも楽しいし。毎度新鮮な食料はきっとシロクロが調達してるんだろう。今もあっと言う間に捕まえてきた鹿みたいな何かにかぶりついてるしね。モンスターのルベリラーって言うらしいんだけど。色んな種類をその度に捕まえてくるあたり、割と種類別に肉の味が違うのかも。兎も角、肉が好きなのはあべこべになってなくて良かった。餌に何をあげれば良いのか困らなくてすんだし。
あ、でも2匹とも別に自分で食べ物取れるんだし、杞憂か。
そう言えば、犬と猫の習性が結構入れ替わってるのは驚いたなぁ。猫が群れてるし犬は個々で暮らしてるしで。いや、別に種族によって同じ犬種でも猫種でも群れたり群れなかったりは前世からそうなんだろうけど、俺のイメージ覆されたなぁ。しかも、どちらかと言えば人懐っこいの猫種の方らしいし。
そもそも、伝説級の種族って結構人懐っこい上に同じレベルの種族同士えらく仲が良いらしいから、その辺もカルチャーショックだったな。
進んで人族助けたりするみたいだし。そりゃぁ無償で助けてくれる種族なら神様扱いみたくなって仕方ないよなぁ。割と姿は人前に見せるみたいだし。ただ、あまりに力が強すぎるから、傷つけないよう怖がられないようにする所為で近づけるの嫌がるとか。
「シロ、クロ。大好きだー!」
『うわっと。僕も大好きだよー』
『私も勿論大好きよ。私達がちゃんとシューちゃん守ってあげるからね』
うおー、めっちゃ嬉しいなぁ。何て健気な種族なんだろう。いやー、何か今生元々動物に好かれる質みたいだけど。こいつらの場合は人懐っこいのも関係してるんだろうなぁ。仲良くなれて本当に良かった。
しかし、クロなんでエリンを見つめながら後半の言葉言ったんだろう? シロには最近もう少し待っててねとか意味深な事言われるし。うーん、不思議だ。
物凄い遠くに何やら城みたいなのと城下町、外壁が見えてきた。今生では滅茶苦茶視力とかが良くなってるので、あそこに着けるのは明日かなぁと思う。
ただ、目的の場所が見えたらそりゃぁテンション上がるもので、母さんを質問攻めにする。因みに、エリンはエルフ族故詳しく知らないらしく、父さんは箱入りだったから情報が偏りすぎてるんだって。てか父さん良いとこのお坊ちゃんだったんだ。
「じゃぁ、母さんAランクの冒険者だったんだね」
「おう、冒険者ギルドは色々便利だから、後でシューも登録に行くぞ。子供でも出来る簡単な依頼もあるしな。
つっても、命の危険がない仕事は結構競争率が高いから割がいい仕事は見つけたら躊躇しちゃダメだぞ」
「うん、分かった!
でも、僕割とかよりやってみたいと思う仕事をやりたいな」
「そうか、なに、俺が養うんだし。本当は認めたくないが将来は嫁が食わせてくれる筈だ。気楽にやりな」
ニカッと微笑む母さんに、内心で俺が養っても良いよねと断言する。口に出したら、それじゃぁ堕落した女を作るだけだって叱られたからなぁ。でも、個人的に嫁さんバリバリに甘やかしたいし。ただ、好きになった人と結婚するべきだよね。
兎も角、街に着いたら色々やる事が多いみたいで、今のうちに母さんが色々準備している。邪魔しない為こう言う話は母さんが一息付いたところを見計らっている。今も俺の頭を1撫でした後、再び書類へと手を伸ばしているし。まぁ俺を膝においたままなんだけどね。これからはいろんな書類の説明やら文字のお勉強やらの時間。ぶっちゃけ難しいけど凄い勉強になる。何より生きていく上で必要なんだしね。
最初は5歳だし男だしで難色を皆に示されたけど。まぁやらせて飽きたら御者台に戻せば良いかとなり、俺の意外な理解力にこんな結果になった訳だ。エリンは物凄く落ち込んだみたいだけど。ごめんね。
因みに、父さんは喜ぶより心配の度合いが強そう。思わずといった感じで攫われないかしらとか呟いてたからなぁ。うん、攫われたりあるみたいだから、本当に気をつけよう。
やっぱり日本って国は滅茶苦茶治安が良かったんだなぁ。あの街は寧ろ治安いい方らしいし。
そんな訳で、街に入る為の準備を皆で着々と進めるのでしたー。まる。
そう言えば、本当に今更なんだけど、今生での頭の良さは本当に凄い。滅茶苦茶記憶力とか理解力上がってるもん。前世の頃からこのくらい頭良かったらなぁとは思わなくもないけど。まぁ、今あるんだし欲張りすぎちゃダメだよね。
兎も角、今生でも沢山友達作りたいな。頑張ろう。