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第2章 第20話

「さて、それでは1番初めに謝罪をさせて頂きましょう。

 申し訳ございませんでした」


 優雅な1礼。見とれてしまうのもあるが、行動が意味不明すぎて困惑してしまう。

 ともかく、こいつの言う事を最後まで聞くか。


「あの私が勘違いした理由は色々あるのですが、そんな些事は捨てておくとして。実際用事があるのは君の方です」


 んおっ、指さされた! あ、じゃぁマリー君は完全にとばっちり? うおおおお、罪悪感がパネェ。


「おい、人の息子を指差すんじゃねーよ」


 ドスを利かせた母さんの声。と、ひらひらと手を振り再び頭を下げる羽野郎。あぁ、こんな軽く頭を下げられると価値ってどんどん落ちていくんだな。なんかそう言う仕草を間に挟んでいるようにしか感じない。


「これはこれは失礼しました。とは言え澱が出来た原因は彼女にもあるのですけどね。

 貴方と違って彼らは試練を受けてないようですし。

 まぁ、転生ごっこをさせられた者の最初の試練とは生みの親や故郷を滅ぼすと相場が決まってますから、偶に嫌われたくないあまりに躊躇する神もいるみたいですし、我々の介入を待つ事にしたのでしょう。

 先ほどの私のように他の実力者相手でも消されれば、その身に包容する澱は解消されますからね。被害が拡大する可能性も大いにありますが、今回のように最小限に抑えうる事も可能ですから。

 あぁ、おめでとうございます、試練としては見事貴方達はクリアしましたよ。最低限の澱は解消されましたから。もっとも、自力では何もされておりませんが」


 にこやかに話し続ける羽野郎と押し黙る僕達。なんだろう、2人が黙っている理由は分かんないけど僕は急に危機感が出てきて母さんが気になってしまう。と、注意深く見てると母さんがすり足で移動しようとして、その度に僅かに手の位置を羽野郎が変えている事に気付く。

 うわぁ、高度なやり取りとかなんだろうけど、今の僕には何が行われているかさっぱりだ。何もしないのはおかしいなとか思ってたけど、実はさせて貰えなかったのか……うわぁ、今頃寒気がしてきたとか僕危機感知能力低すぎかも。いや、気付けただけマシなのか?


「色々と言いたい事はあるが、そもそも今更試練ごときで俺が……俺らがどうかなるもんか。どっちの加護神の野郎も判断能力が低いなぁ」


 ふてぶてしく返す母さん。と、大笑いをしだす羽野郎。何がおかしいんだ?


「はははは、所詮加護程度しか貰ってないと言うのに随分と面白い事をおっしゃいますね。

 いやはや、久しぶりにここまで笑わさせていただきました。ありがとうございます」


 すぅっと優雅に1礼する羽野郎。ってか最早腹立たしいなぁこいつ。


「まぁ、貴方の顔を立ててその辺りの明言は避けましょう。最早実現出来ない事を言っても詮無き事ですし」


 ほんとムカつく奴だなぁ。それって明言してるようなもんじゃねーか。


「さて、神に愛され世界からも愛された不思議な少年。正直私ですら全容を理解出来ないなど誠不可思議の極みな存在ですが。故に世界から許され謝罪すらされている現状。

 先ず訂正させて頂きたかった事。つまり彼女は別に世界から嫌われてはいないと言う事です」


 ……回りくどいというか、お前分からせる気ないだろ? しかも中途ハンパに色々情報出すから何が真実で何が嘘か、それすらよく分からないし。

 いや、これはこう言うやり口か? なんかそんな気がする。

 ん? なんか僕を見つめてる?


「ふふふ、貴方は貴方の思う通りに生きなさい。神々どころか世界すらそれを許しますよ。世界からの伝言です」


 いや、そこでドヤ顔されても消化不良が増すだけなんだけど。


「おい、テメーらはほんとまともに喋れねーよな。いらん事だけは事細かに話す癖によぉ」


「えぇ、それが我々の使命ですから」


 吐き捨てるような母さんの言葉に、誇らしげに答える羽。いやはや、シュール通り抜けて言葉に出来ない気持ちでいっぱいなんだがなぁ。

 くそっ、突然物凄い嫌な予感が増してしてきたんだけど。喪失感すらあるし。なんなんだろう?


「まぁ、以上が2つの内の1つですね。あぁ、嫌われてないとは言え好かれてもおりませんから。今後も澱を生み出し続ける害虫と認識はされておりますから悪しからず。

 勿論彼は別ですよ。えぇ、全く別ですからね」


 要らない事だけはほんと細かに付け足すなこいつ。母さんの言う通りだ。その癖含みがある言い方したら投げっぱなしだし。会話のキャッチボールって知ってる? ちゃんと投げてくれなきゃキャッチしきれないのだが。


「けっ、結局シューに用事があった事を言いたかったのかマリー姫に嫌われてないと伝えたかったか、はたまた別の意図がぁはぁっ……あ?」

































































 穴が開いた。





































 羽野郎が手をかざした瞬間閃光が走り、穴が開いた。






















 喋っていた母さんから力が抜け落ち地に倒れる。




























「さて、これで2つとも用事はすみましたね。おぉ、すぐにでも新たな私が生まれそうだったのに、予想を遥かに超える澱が解消されていきます。なんと嬉しい誤算……それではまたお会いできる日を楽しみにしていますよ」


 去って行く。
























 羽を羽ばたかせ穴を開けた相手が去って行く……。









































 赤い……赤い何かで染まっていく母さんと地面。







































「かはぁっ、ヒュー……ヒュー……」


 苦しそうに赤い何かを口から吐き出し、息をしている母さん……。













































「え?」


 思わず口から出た。

 現実味がなさすぎて、今自分が立っているのかどうかすらよく分からない。






















































































 ただ1つ分かる事。



















































































「母さんに穴が開いちゃった……」


 そう口にしても、僕に現実感が戻って来てはくれなかった。

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