表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/45

第2章 第2話

「――以上生徒代表、宮部原田丸東輝麻莉亜みやべはらだまるとうきまりあ


 深々と壇上で頭を下げるゴブリンに盛大な拍手が巻き起こる。うん、流石王女様なだけあってこう言う場には慣れているのだろう、堂々としたものだった。


「うわぁ、綺麗だなぁ」


 隣の青髪の男の子がうっとりとそう呟く。うはぁ、この子もイケメンだなぁ。うぅ、いくらこの世界じゃ逆の評価とは言っても個人的には物凄い羨ましいんだよなぁ。まぁこの子の場合制服浮いてるけど。前世じゃ完全に変態さんですよ。

 とは言え、ゴブリンって本当に人気あるのだなぁ。他の皆も見る限りうっとりしてるし、僕くらいだろうなぁ、別に何も感じてないのって。まっ、普段の彼女を知ってるから見慣れない姿に新鮮さを感じてはいるけどね。


「続いて学園長の言葉」


 あ、今壇上降りた時ため息吐いた。やっぱり自分の名前気に食わないんだろうなぁ。スピーチ嫌いだーって叫んでたくらいだし。しかもゴブリンやオークは愛称じゃなく正しく名前を呼ぶのが作法って言うんだからなぁ。毎年この時期が憂鬱なのが分かるわ。新入生に名前を呼ばれて凹むのが暫く続くのだろうなぁ。うん、出来うる限りフォローしてあげよう。僕にどれだけ出来るかは分かんないけど。


 おー、学園長ってオークかぁ。うん、オークの人って本当に親切なんだよね。気配りも的確だし、少なくとも今まで会ってきたオークの人達は皆そうだったもんな。しかも基本的に優秀って言うんだから、いやはや前世の知識からすると目からウロコだよほんと。

 しかも例に漏れず物凄い魅力的な声だなぁ。うん、ようやく分かるようになってきたんだけど、あれは物凄い優しい目をして語りかけてるんだろうなぁ。私語とか一切ないのも頷けるよ。寧ろこうやって他の事考えてる僕の方が異常なんだろうなぁ。





 つつがなく入学式を終え、各々それぞれのクラスに戻る。最初の時点でクラス単位に分かれて座っていたのでスムーズだ。流石に初対面が大半だからキョロキョロと落ち着きのない子は多いのだけど、割と静かに移動している。

 と、保護者の席の1番前に我が家族の皆を見つけたので手を振っておく。うん、皆特にマルヴィックとマリアベルとエリンが元気に手を振り返してくれる……、エリン、貴方いい大人なんだからそう全力で振り返さなくてもと思わなくもないのだけど、相変わらずのその様子に思わず笑みがこぼれてしまう。うん、パァっと笑顔になってくれるのはやっぱり嬉しいや。あ、母さんと父さん苦笑いしてる。


 僕のクラスは男の子の割合が多い。まぁこれは仕方ない事で10歳で成熟しきってしまう種族もいるので、男女を混ぜると色々問題が起こりやすくなってしまうかららしい。実際分ける事で問題の数が激減したそうなので、否定できない事だろう。何より。


「うはー、右も左も男の子だらけ! ここはパラダイスか!」


 僕の隣で騒ぐこのオナゴを見て強く同意の念を抱く。とりあえず変な注目浴びてるんだし、そろそろ落ち着こうね。いやー、学園側としても苦渋の決断だったんだろうなぁ。ゴブリンとオークじゃない女の子ってカリンだけだし。他の男の子が混じる組も女の子は皆ゴブリンかオークだったしね。


「あんたいい加減落ち着きなさいよ、多分だけど問題起こしたら即別のクラスに移動になると思うわよ」


「うぐっ」


「その反応って事は、もしかして既に学園側から釘刺されてたりするの?」


 呆れた様子のケインに突っ込まれた時のカリンの反応に、おやっと思って問いかけるとしまったなぁと顔に書いて縦に頷く。はぁ、釘刺されてそんなテンションで騒いでたんかい。


「出来れば同じクラスでいたいし、お願いだから自嘲してね」


「しゅしゅしゅ、シューちゃぐぇっ」


「はいはい、注意してるそばから暴走しない」


 うわぁ……、助かったけど今一瞬カリン宙に浮いたよ。どんな力で襟引っ張ったんだよ。苦しそうに咳き込んでるけど当然だろう。


「げほっげほっ。お前本当に男かよ吃驚したぞ」


「べーだっ、立派に男の子ですよーだ」


 えっと、ケインさん、何度も申し上げておりますが僕そちらの趣味皆無なんですが。何故また腕絡めてくるの? 憤慨しているカリンは、まだ苦しいのか涙目のままだ。


「はーい、皆席に着けー」


 うおー、先生ナイスタイミング! 下手するとずっと腕を組まれっぱなしになりかねなかったけど、それぞれ自分の席に着く為自然とほどかれる。良かったーって、シロクロが先生の後から入ってくる。今のサイズは小型犬くらいって、いつの間にそんな自由にサイズ変えれるようになったの!? 僕ずっと大型犬サイズか元のサイズかしか無理だと思ってたよ。


「さて、気付いている者もいるかもしれないが、ここにいらっしゃるのは雷王狼のクロ様と烈火虎のシロ様だ。友愛の絆の結んでいらっしゃるシューリックとご一緒なさるわけだが、くれぐれもお3方に失礼のないようにな。

 とは言っても、シューリックはあくまでも君達の級友となる訳だ。難しいだろうが特別扱いする必要はないぞ」


 先生、その説明色々矛盾してますよ! いや、まぁシロクロがいる手前どうしても説明するの難しくなるだろうし、仕方ないのだろうけど。はぁ、カリンとケイン以外ちゃんと友達出来るんだろうか不安だな。とりあえず僕からも何か言っといた方が良いかも。さっと立ち上がる。


「今ご紹介に預かりましたシューリック=ヘンベラーです。えっと、是非仲良くして下さい」


 やばい、何喋るか考えてなかったせいで頭の中真っ白になっちゃった。とりあえず頭下げたけど大丈夫かなぁ? っと、拍手が起こった。良かったー。なんとかなったみたい……だよね。


『シューちゃんのペットのシロだ。よろしくな』


『右に同じくクロよ。出来れば私達とも仲良くしてね』


 あー、明らかに2人の方が余裕あるなぁ。うん、僕もある程度こういう事に慣れないとなぁ。多分これからもありそうだし。悠々と拍手の中僕の両脇に陣取りに来た2人を見ながらそう決心する。


「ふむ、それじゃぁ皆も自己紹介しようか。続いては私といこう。

 私は見ての通り馬人の女だが、これでも既婚だし元々自重出来る質だから安心して欲しい。ただ、相談などはしにくいだろうから、その場合はメンタルケアの男性先生がいらっしゃるのでその方を紹介しよう。

 名はカルメラ=センドリックと言う。これから5年間共に頑張っていこう」


 へー、と言う事は5年後の卒業まで持ち上がりっぽいな。まぁ既に各々希望する分野に分かれたクラスになってるから、クラス替えする必要もないだろうし納得。とは言え、12の時にもう1度選択出来るみたいだけどね。多分希望者だけ移動とかなんだろう。

 しっかし、この先生も美人だなぁ。ほんと僕の感覚では美人が多いこと多いこと。正直眼福です。


 クラスの半分程は男の子で、残り半分はオークとゴブリンか。基本的に皆無難な自己紹介をしていって、カリンが予想通りの暴走してクロから頭叩かれて気絶するってひと波乱もあったけど、概ね特出すべき点はなかったかな。

 うん、なんかカリンってこのクラスの名(迷?)風物と化しそうな雰囲気あるな。全く羨ましくないけど。


 そんな感じで、割といい感じに学園生活のスタートを切れたのでした。まる。








「にいぢゃぁぁぁああああああああん」


「うえぇぇぇええええええん、がえっでぐるのおぞいぃぃぃいいいいい」


 ただいまーっと急いで扉を開けたら叫びつつ僕の胸に飛び込む2つの影。あまりに勢いがありすぎて支えきれず後ろに倒れそうだったんだけど、シロとクロがすぐに支えてくれて事なきを得る。って、顔ぐちゃぐちゃ。あららららら。


「ごめんね。急いで帰って来たんだけど」


「ああああああああああああん、にゅうがぐじぎおばっだらずぐってうぞづいだぁああああああ」


「にいじゃんりょおいっじゃだれぇええええええええ」


 おおおおお、耳元で大音量は辛いわ。まぁそれだけ心配だったんだろう。奥から苦笑いを浮かべている父さんと母さんがやってくる。うん、その奥で半ば魂抜けてるエリンは今は見なかった事にしよう。


「やー、ホームルームがあるから多少は遅くなるって言ったんだが、一緒に帰れなかった時点から不機嫌でな」


「あやしてたんだけど、すぐに泣き出しちゃってね。ごめんね」


 2人の言葉になるほどと思う。そう言えば入学式終わったらすぐ一緒に帰れるからねって言ったなぁ。とは言え、ホームルームも実際30分程しかなくてすぐ解放されたんだけど、この子達には待てる時間じゃなかったみたいだな。元々ホームルームもあるって知ってれば違ったのだろうけど。

 あー、だからあんなに必死に手を振ってたのか。途中で顔色変わってたしね。ホームルーム終わって待ち合わせてた筈なのに校門に居なくておやっとは思ったのだけど。これは僕に落ち度があるなぁ。しまったなぁ。少なくとも幼馴染達に謝って急いで帰ったのは正解だったみたい。


「ほんとごめんね。お兄ちゃんが悪かった。ただ、寮には入らないから安心してね」


「ほんど? うぞじゃない?」


 必死にこちらを見つめて訴えるマルヴィックの額にキスを落として笑みを作る。


「うん、嘘じゃないよ。今日はごめんね」


「いっじょにねでぐれだらゆるず」


 可愛らしい欲求を言うマリアベルの額にもキスを落とす。


「わかった、今日は3人で寝ようね」


 徐々に安心してきたのか、ギュッと抱きしめる力は収まらないものの、涙は止まってきたみたい。


「あらあら、流石お兄ちゃん妹達の扱い慣れてるわね」


 微笑ましい感じで言う父さん。って、いつの間にか母さんが抱き寄せてる。ラブラブやねー。良い事だ。


 っと、安心したら眠くなってきたのか、2人の目がトロンとしてきてる。まぁ泣くのも怒るのも体力使うからね。これはいったんオネムの時間にした方が無難かな。


「さっ、それじゃぁ2人と少し寝てくるからご飯になったら起こしてね」


「おう、頼んだぞ」


 応える母さんに頷いて2人を抱いたまま自室へ向かう。2人とも半ば夢見心地なのだろう、既に静かだ。おっ、シロクロも一緒に付いて来てる。まぁ良いか。今は大型犬サイズだし邪魔になる事はないだろうしね。


 さぁ、起きたら改めて2人にはちゃんと説明して説得もしなきゃね。遼生活も提案されたのだけど、断って本当に良かった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ