第二章
え~、第二章に突入したいと思いますw
三日位ネタ探ししようと思ったんですが、浮かんだネタを速攻忘れそうなのでやっぱコツコツ更新していきますw
毎度ご愛読して下さってる人に感謝を込めて、第二章紡いでいきたいと思います。
読んでも感想お待ちしてます!
では皆さん!
第二章の始まりです!!
ある土曜日のAM 8:28
春とはいえまだ冬の寒気さが残っている朝。
土曜日というのにサラリーマンや大学生が通勤しており、駅のホームに流れていく。
「はぁ…」
土曜日とはいえ、朝から仕事場や学校に向かう人たちを見るとため息がでてしまった。
来年から俺も就職か進学をすると、土曜日でも通勤するのかと思うと背筋が寒くなった。
いつもの俺はまだ8:28分にはベットの中で熟睡しているだろう時間帯だ。
何故まだ就寝中の時間帯なのに俺が駅前のホームに壁に背中を預けて、立っているかと言うと、今日は幼馴染の家に用事があるからだ。
その行く途中に人とここで待ち合わせをしているのだ。
「ふぁぁぁ~……」
大きく欠伸を漏らした。起床したとはいえ、やはり眠い。
俺はスマホの画面の現在時刻を確認する。
AM8:30
俺は周りを見渡す。
待ち合わせ時刻の8:30になったが姿が見えない。
「東雲…遅い…」
俺が待ってるのは東雲圭吾だ。
昨夜、手伝いをお願いして、今日の朝に待ち合わせの場所と時間をメールで送ったんだが、返信一つ返ってこない。
「アイツ寝てるんじゃないだろうなぁ…」
返信なし&本人来ない状態で不安にならない方がおかしい。
少々理不尽だが、俺は待ち合わせ時間前の8:20から待ってたので、待つ時間が増えた事にもイライラが隠せなかった。
俺は再びスマホを取り出し、東雲に電話をする事にした。
『プルルル… プルルルル…』
コールがなり続ける。すると、一時すると
『お客様のご都合により、お掛けする事が出来ません』
さっきから案内ボイスがなる一方だ。
俺はスマホの通話を切り、ポケットにしまう。
「東雲…殺す…」
「やっほー、ってえええええええええええ!!!!!????」
壁に身体を預けて東雲を殺る計画を考えていると左背後から人物はひょこっと現れたが一気に驚愕する。
「お♪お前から殺られに来たのかぁ~」
俺は両指をポキポキ鳴らして蔑む目で東雲を見つめた。
「ちょっと待って!堂上(;´Д`A ```」
東雲は祐斗の殺気に一歩後退する。
「あぁ?何か遺言でも言いたいの?」
「え!?俺今日死ぬの!?∑(゜ロ゜〃)」
東雲は早急に遅れた理由を告げた。
「堂上スマンかった。実は昨日TUTAYAで借りてたDVDを返却ボックスに返しに行ってたんだよ(T_T)」
東雲はさっきまで借りてたDVDを返しに行ってて遅れたそうだな。なら仕方ないな。ちゃんとした理由があるじゃないか。
「で?どんなDVDよ?」
俺は本当に興味本位で聞いた。しかし、返ってきた返答は―――――――――――――――
「〇学生と絶頂登校~ちょっといけない登校シリーズ第10弾~ってのを借りてたんだぁ~(〃∇〃) てれっ☆」
「おい、変態黙れ。お前のDVDは聖域エリアの品物か?」
「あったりまえ♪」
「やべぇ...ガチ殺したいわ(゜Д゜#)」
「ちょ!目が怖いって....」
「・・・・・・良かったな^^法律があって^^」
「え!?」
法律うんぬん無かったら、俺コイツ殺害してたわ。だって粕なんだもん。
「て言うかお前まだ15歳だろ。借りるなバカ」
「堂上ぉ~、18まで欲求を我慢しろって方が無理だぜ。全日本男子は18歳になってなくてもこっそり観てんだぜ?」
「・・・・・・」
マジないわー。欲求我慢できないって人間じゃねぇよ。欲望に負けんな。人間には理性があるんだからよぉ。
東雲は空気を変えるために咳払いして話題を変える。
「とりあえず、遅れてスマン。それで今から直行か?」
コイツをシカトして今日一日乗り切ろうと思ったが、それは無理そうだ。
「あぁ…直行だな。何処かに行きたい場所でもあるのか?」
「いやいや、別にねぇけど、飲み物とか買うんかなって」
「飲み物は美幸が出すってよ」
東雲は驚いた顔で訊いてくる。
「お前、美幸ちゃんと通話したの?」
「あぁ、それがどうした?」
ニヤニヤと笑う東雲。
「機械音痴な美幸ちゃんが愛しのゆーくんに頑張って電話ってラブラブだなぁ~」
俺はため息が漏れた。
「あのなぁ~…手伝い事頼む為に電話しただけじゃんか…あと、俺と美幸はラブラブじゃねぇよ」
「そうなのか?」
「何だよ、『え?違ったの?』的なリアクションは」
「だってよ~、クラスじゃあお前らカップル認定だぞ?」
「意味不(#゜Д゜)y~」
くだらん冗談だ。アイツはただの幼馴染なだけだ。それ以下でもそれ以上でもない関係だ。
「本人自覚なしっと」
「何新情報的な事言ってんだよ。ほら行くぞ」
俺達は駅のホームから商店街に行く通路を歩く。
商店街には朝だというのに、元気よく宣伝するおばさんの声がところどころから聞こえてきた。
開店前のラジオ体操や商店街に店を出して働く同士で最近のニュースや雑談を楽しんで開店時間を待っていた。
俺も小さい頃よく美羽と佐奈と三人で来たものだ。小遣いを分け合ってシュークリームを買って分けて食べたりと懐かしい記憶が甦った。
今じゃ全然一緒に来てないがな。
そんな事を考えながら商店街を歩いていると、東雲の聞きたくない声が聞こえた。
「なぁ堂上、商店街って思い出深いよなぁ」
「あぁ…そうだな。お前も色々思い出あるのか?」
何だよ。コイツも俺と同じく過去を振り返ってたんだな。
「俺さぁ、小さい頃に楓ちゃんと一緒に来たんだが、そん時はヤバかったよ。俺たちはまだ小さいから直ぐに逸れちゃってさ」
東雲は懐かしむように語る。
「俺必死に捜したんだぜ?兄として妹を」
俺はこの時何かを感じた。
東雲は妹が可愛くて好きだからという理由だけじゃなく、妹の兄としていつも傍にいてバカをやってるんだと思う。
一つ一つの行動が犯罪者レベルだが、東雲は不器用なりに妹の大切さを表現しているだけなのかもしれないな。
「へぇ~お前もやるときはやるんだな」
俺はニヤッと笑って見せた。
それを見た東雲は唇を尖らせる。
「何だよ~俺がいつも呑気にしてるみたいな言い草はぁ~」
「悪い悪い。意外だったからな」
俺は東雲から逃げるように軽く走って俺と東雲は商店街を後にした。
商店街から少し離れた場所に白雪宅がある。
白い家で清楚感が漂っており、目立つような汚れ等ないくらい綺麗な家だ。
「うっしゃぁ~ 着いたぜ」
東雲が大きく背伸びをする。
「なぁ堂上早くお邪魔しようぜ」
「分かったよ」
俺は備え付けのインターホンを押した。
すると直ぐに応答があった。
『はい。どちら様ですか?』
美しい透き通るような声がスピーカーから聞こえる。
「あ、美幸のお母さんですか。おはようございます堂上です。今日は手伝いに呼ばれてきたんですが」
『あぁ祐斗さんですね。しばらくお待ちください』
そう言うと、インターホンから音は途絶えた。
「堂上さっきの人は美幸ちゃんのお母さん?」
「あぁそうだぞ」
「へぇ……綺麗な声だったな。何歳なんだろうな?」
「さぁな、20歳後半じゃないのか?」
「うはぁ…まだ若いじゃねぇかよ」
「いや、予想で言っただけだ」
そんな会話をしていると玄関の方から声が聞こえた。
「あら、そんなに若く見えてるなんて、嬉しいわ。ふふ」
「「あ・・・」」
しまった・・・。女性に対して年齢は禁句じゃねぇかよ。
しかし、美幸母は怒った様子もなく
「おはよう祐斗さん。あら、そちらのお方もお手伝いに?」
美幸母は東雲に目を向ける。
「はい!お母様。私は東雲圭吾と申します。アナタに出会えて私は感激です!」
「あらあら、嬉しいわ。圭吾さんも今日は宜しく頼みますね」
多分この時俺は東雲と同じ事を思ったかもしれない。笑顔が眩しくて綺麗です!と。
今日ばかりは東雲と共感できてるかもしれないな。実際したくないが…。
俺と東雲は美幸母に連れられて家にお邪魔する。
玄関には壁画が飾ってあり、芸術鑑賞用の物が置いてあった。
玄関の前にはデカデカとデッカイ壺が置いてある。茶色の装飾をしており安っぽい感じだがこれも実は何万円っていう代物なんだな…。きっと。
廊下を歩いてると東雲が俺に話しかけてきた。
「なぁ美幸ん家って結構豪華な家だな」
「まぁ美幸の父親が公務員だしな。収入には安定してるからな」
「金持ちいいよなー」
「そうか?俺は普通が一番だぜ。目立たないしよ」
「お前はさぁ~、ちょっとは夢とか考えろよー。彼女欲しいとかさー」
「別にいいだろ」
東雲にうんざりしつつ廊下を歩く。
美幸母が扉を開けて中へ促す。
「さぁ中に入ってください。美幸を呼んできますので少々お待ちを」
そう言うとリビングから出て行った。
周りを改めて見ても整理はしっかりしており、掃除も行き届いているようだった。
俺の家なんか、隅っこに物をまとめて「片付けてますよ~」って言ってるような整理の仕方だ。
美幸の家を見る限り変な塊は一切なかった。
床のフローリングはピカピカに磨いてあり、その上に絨毯が敷かれていた。
赤が印象的な絨毯で部屋が明るい感じになっていた。
絨毯の上に座っていいか迷ったが、俺は意外にもふかふかなじゅうたんに腰を下ろした。
「東雲も座れよ」
「いや俺はちょっとリビング内を見るわ」
「おいおい人ん家のリビングをジロジロ見るなよ」
「いやさー、人の家行くとさならないかなー、他人の家に何があるのかっていう好奇心がさ」
「まぁないって言えば嘘になるが、マナーがあんだろ」
「大丈夫だって、戻ってきたら座るからさ」
「ったく…」
肘をついて頬杖をして視線だけ回りをみわたす。
確かに珍しいのがたくさんあるなぁ。リビングに不似合いな大きなバナナの葉っぱのような観葉植物的なものが鎮座しているが、あれは鑑賞用の認識でいいのだろうか。
他にも筒状の置物が幾つか棚の中に入っているが、まぁ俺が思うものじゃない事を祈ろう。
そんな事を思ってる中、東雲は室内を舐め回すように見ていた。
コイツマジジロジロ見てるじゃん。俺の部屋に絶対コイツを入れないと俺は決めた。怖いわ。
腕を組み朝の魚市場で品定めをするおじさんのように眉を寄せて棚の中の一点を見る。
「……」
おい、やべぇって。あれ俺が疑問に思った筒状の物見てるじゃねぇかよ。
急速に見させるのをやめなくては、
「東雲~、そろそろ座ろうぜ」
その場から離れさせる為に座らせるよう呼びかけてみた。
「あ、あぁ。だがよ、その前に堂上お前に聞きたいって言うか言いたいって言うかさ」
東雲は目を瞑り考えるように指をおでこにあてる。
「なんだ?急に」
「これ」
棚の中の一点を東雲は指を指す。
「……」
ジト目で棚の中を俺は見る。
「これTENGAじゃね?」
指を指したまま真顔で東雲は言った。
俺は頭をぐしゃぐしゃに掻き毟って言う。
「東雲!お前は言わんでもいい事をさらりと言うなや!」
「けどTENGAだよな?」
「いや真意は知らねェよ」
「中開けてみるか?」
「やめれ!!」
リビングでガミガミ言い争っていると俺達が入ってきた扉が開いた。
「おぉーよく来てくれたね。祐斗君」
入ってきたのは美幸母と美幸と俺に声をかけてきた美幸父だった。
「ど、どうもお久しぶりです」
直ぐにTENGA?らしき物がある棚から俺は東雲を引っ張りながら徐々に離れた。
「ゆーくん来てたんだ。連絡くれれば家の前で待ってたのに」
「いや…お前携帯使えないじゃねェか」
「うー…ちょっとは使えるもん!」
頬を大げさに膨らませて美幸はそっぽを向いた。
「ハッハッハまったく美幸はいつになったら携帯使えるんだ?祐斗君と連絡取りたいって言ったから買ったのに扱えてないじゃないか」
「ちょっとお父さん!変な事言わないでぉ~!」
美幸父は高らかに笑い、美幸は顔を真っ赤に染めて父をぽかぽか手をグーにして殴って文句を言ってるようだ。
父も悪気がまったくない様子だ。
「ん?もう一人の子は圭吾君かな?」
「はい結構お久しぶりです」
東雲が頭を掻きながら握手をする。
「二人とも大きくなったね~。逞しいよ」
「ありがとうございます。下も逞しいですよぉ~」
東雲の頭に俺はチョップをして暴走を止める。
「ハッハハ、そうかぁ~下もだったな。ハッハッハ」
おい、いやそうだけどそうじゃないだろ!美幸父よ!
「お父上…ちょっと確認したいんですが」
「フムフム」
東雲はコソコソと美幸父に尋ねる。
「あそこの棚に入ってる筒状の棒はもしや…」
「何と思うかね?」
東雲はちょっと目を瞑り、くわっと目を開き答える。
「TENGAですよね!?」
おいおい、普通ないだろ。人様の親父に「このエロ本新刊号ですよね!!」って言ってるようなもんだぞ!普通は触れないし聞かないだろ!このアホ野郎が。
美幸父はフッフッフと笑い東雲にボソッと呟きながら肩に手を回す。
「君見込みがありそうだ。一杯どうだね?」
やべぇ…意気投合しちゃってるよ~…。早くもフレンドリーな関係になったな~東雲よ。
それを見かねた美幸は首を傾げながら父に訊く。
「お父さん何を話してるの?」
東雲と楽しそうに話していたのが気になってきいたのだろう。無理も無いだろう。今日久しぶりにしかも何年ぶりの対面なのに急に親しくしていたものだから、気になるのもしょうがないっちゃあしょうがない事だ。
「フッフッフ、美幸にはまだ早いよ」
(何がだよ!おっさん!!)
おっと…。あまりの衝撃で他人をおっさんと呼んでしまった。
俺は心の中で美幸父に謝罪することにした。
とりあえず事を進ませよう。俺達は手伝いに来たのだ。決して猥談とかする気で来たワケじゃない。目的を見失いそうになってしまった。
俺は話も戻すべく本題をきりだした。
「美幸のお父さん、手伝いに来たのでそろそろ手伝いたいんですが、いいでしょうか?」
「あぁすまない。呼んでおいて申し訳ない。ではさっそく手伝ってもらおうかな」
やっと美幸父も本題を気づき俺達を二階にある空き部屋に連れて行く。
「スゲー空き部屋とかあるのか~。俺ん家空き部屋どころか自室もねェーよ。羨ましいぜ~」
東雲がそんな事を口に洩らしながら、空き部屋を見る。
たしかに空き部屋のようだ。部屋には棚に入りきれなくなった本や美幸が小学生で使ってたと見られる勉強机がポツンと置いてあった。
多分次に増えるのは美幸の今使ってる机も高校に進学したら買い換えられてここに新しく仲間が増えるだろうと考えていると、美幸父が部屋の片隅を指差す。
「ここにリビングにあったテレビをここに持ってきて欲しいんだ」
リビングというと俺達が居たところだろう。あそこに置いてあったテレビを運び、新しいテレビを置くというのが俺達のミッションだ。
「リビングに置くテレビは何処に?」
「それならもうすぐしたら配達されてくるだろう」
なるほど、つまり配達人が来る前にテレビをリビングから二階のこの空き部屋にもってくればいいってことか。把握。
「じゃあいっちょやりますか」
東雲と一緒に一階へと降りることにした。
「東雲降りるぞ~」
「おk」
下に下りるとリビングで美幸母がキッチンでお茶と茶菓子を用意していた。
「あら、二人とも休憩してからにしないの?来たばっかりでしょ?」
美幸母は心配そうに俺達を見る。確かに来たばかりで疲れているが球形したら逆に疲れが倍増しそうなので美幸母に遠慮した。
「すみません。せっかく用意して頂いたのに。お茶は貰っておきますね」
俺は美幸母が注いでくれた麦茶をゴクゴクと喉を鳴らして口の中を潤していく。
「え?お前茶菓子食わねェの?じゃあ貰うわ」
ブーッ!と盛大に麦茶を吹かずには済んだが、多少吹きかけたので口を押えた。
徐々に状況を理解した俺は東雲を睨んで訊く。
「おい、何茶菓子食ってるんだよ。そこは合わせろよ」
「だ、だってさー、せっかく茶菓子出してくれたんだぜ?ならお言葉に甘えようぜ~」
確かに東雲の言い分も一理ある。だが逆に疲れが一気に出るのは明白だろう。疲れた身体を癒すのは重要だ。だが、長時間休憩したあとまた身体を動かすのは体がだるくなってしまうのだ。
「運び終わってからでいいだろ」
「へーい」
分かったのか分からないような曖昧な返事を返してきた東雲は美幸母に詫びる。
「あらあら、若いっていいわねー」
美幸母はふふっと笑い、麦茶を冷蔵庫に閉まう。
「じゃあ終わったら休憩にしましょうか」
「すみませんね」「分かりました」
と返事を返し、俺達は作業する事にした。
「二階までどうやって抱えて行く?」
確かに液晶テレビを運んだ経験などあるはずがなく、そもそもこういうのは配達人がしてくれるのではなかろうか、と考えてしまうものの手伝いを申し込まれて承諾したのだからそんな事も言えるワケがない。「ん~……ちょっと試しに抱えてみようぜ」
まずテレビ自体の重さも知っておきたかったのでとりあえず抱える事にしたのだが――――――――――
「……おい……何故肩に抱える…」
東雲が肩に担ぐせいで、上下の安定がなく俺に全体重がきてるような気がする…。
身長の差もあって、俺はチビって程じゃないが、やたら東雲が頭半分くらい高いのだ。なので、こっちとしては体勢もキツイワケで…。
「ん?いや抱えるって言ったじゃん」
真顔で東雲は肩にまだ抱えたままの体勢で俺に聞き返した。
「いや…確かに……抱える…て、言ったけども、さ…」
つうか、察して早く肩から担ぐのやめて下ろせ!、と口で言いたかったがテレビが重いのではなく無理な姿勢で言う事が出来ない。
「どうした?堂上?」
「スマン…下に……置こう…ぜ(^∀^;)」
本人は悪気はないようだが、ちょっとイラッ☆てくるぞ♪
「あぁ、了解」
そういうと東雲はゆっくりと下に下ろしてくるので俺も合わせてゆっくりと床に再び置いた。
「東雲担ぐのやめてくれ…。死にます(゜Д゜)」
「わりーな。じゃあどうやって持って行く?」
頭を掻いて謝る東雲。
「普通に高さを合わせて持っていこうぜ。と言うか俺に合わせろよ?シスコン☆」
「ん?何か語尾に何か言わなかったか?」
「気のせいだ(^ω^)」
自分は短気なのだろうかと本気で考えていた最中、東雲がふと思いついたように口を開く。
「堂上前頼んでいいか?」
「前?」
言っている事が理解できなかった俺は疑問を疑問で返してしまった。
「あ~、ここから出るとき堂上を先頭に行って欲しいって事だ」
「あぁ~そういう事かぁ~」
理解したとたん、コイツの真の意味を理解した。
「前は怖いもんな~(^ω^)」
「確かにそれもあるが、俺の身長で階段上るとき確実に堂上、お前死ぬぞ?」
「う……」
確かに考えて見ればそうかもしれない。階段の段差+身長差の幅は不本意ながら、俺の身長じゃあ抱える琴は出来るのだろうかと考えると自然と拒否することは出来なかった。
「おk…じゃあ行くぞ」
「うい」
いっせーの、手で抱えてリビングのドアに傷をつけないように慎重に廊下に出す。物置にしまうと言ってもまだ故障等していないのでそれもあって結構無駄に神経を使ってしまう。
廊下に出すと次は超難問の階段だ。ここは気づかないうちに階段の角にぶつけてしまうという事がありがちなので下の隙間の間隔があるか見ながら運ばなければならない。後ろ向きながら運ぶのだから結構これもまたシンドイ…。
「じゃあ上るぞ」
東雲は首を軽く上下に振るのを確認して、一段目に上った。普段から階段は意識して上らなかったので、改めて意識して上ると足を置くスペースが狭く感じてしまう。気をつけながら一段一段慎重に二階へと上っていく。東雲も俺を気遣ってか俺と同じ位の高さまで抱えてくれてる……ような錯覚までしてしまう。
そんなこんなで俺たちは二階に運んだ。
「ふぅ~...結構重かったな」
テレビ自体重くは感じられなかったが、階段を上ると言うならば話は別だ。
とりあえず部屋に運んでお茶にしたい。
俺たちは部屋に運び、一階に降りてリビングに向かった。
リリングのドアを開いたら、美幸と美幸両親がお茶の用意をしていた。
「おー、運び終わったか。すまないな」
美幸父が俺たちに気づき、感謝の言葉を言ってくれた。
「いやいや!有り余った力でお役に立てて良かったです」
頭を掻きながら東雲は喜んで言った。
「とりあえず座ってくれ」
美幸父が言った。
俺たちは椅子に座った。
「はい、お茶です」
美幸母がお茶を出してもらって、俺たちは軽く会釈して「ありがとうございます」と小さく言って、乾ききった喉に冷たい緑茶を喉に通らせた。
「にしても、佑斗くんはいつ美幸と結婚するのかね?」
「ぶふぅっ!!」
美幸父が突然、変な事を突然口走ったおかげで、口に含んでた緑茶を丁寧に東雲目がけて吐いた。
「....。」
東雲は一時停止をしたかのように硬直していたが、俺を向いて問いかけてきた。
「なぁ、堂上。何故わざわざ俺に向いて吹き出したんだ?」
眼鏡もビチョビチョにしてそう言った。
俺は真顔で答えた。
「いや、他人の家を汚しちゃダメじゃん?」
「いや、それはそうだが...」
「というか、お父様何を言ってるんですか!?」
俺は指を指して言う。
「ん?何か変な事をいったかな?」
と不思議そうに言う。
美幸はほのかに顔を赤らませ俯く。
「結婚て!?俺たち付き合っていないですし!!」
「とりあえず、佑斗俺の話を流さんでくれ」と東雲が割って入る。
「なんだよ?」
「いや、俺に向かって吹いた事について一言言ってもよくないか?」
「あぁ、そうだな。床に緑茶垂れる前に拭けよ」
「いや!そうじゃなくてえェェェェ!!!!!!」
とりあえず俺は東雲を無視した。
「お父様」
「なんだね?」
「俺たち付き合ってないです」
「なら付き合いなさい」
「(´・ω・`)」
ダメだ。ああ言ったらこう言っちゃうよ。この人。
「お父さん!!何言ってるのよ!」
そこで美幸が恥ずかして耐えられなくなり口をはさんだ。
(よし、いいぞ。美幸!!お父さんに言ってやれ!)
美幸はチラっと俺を見て大きな声で言った。
「ゆーくんには、美羽ちゃんって言う妹さんがいるの!!」
「いやいや!!ちょっと待てぇェェェ!!」
「何!?近親相○だって!」
「何ぃ!?堂上がヤっただって?」
二名程おかしな領域にイっちゃってる人がいるよ。
「いやいや、話飛びすぎでしょ。大気圏どころかブラックホールに逝っちゃってるよ」
「つうか、東雲早く拭いてこい。顔汚い」
「何さりげなく悪口言ってんだよ!」
「はよ、拭いてこい!!お母様、こいつを洗面所に連れて行ってもらっていいですか?」
「はぁーい」
美幸母はお気楽に返事して東雲を洗面所へと連れて行った。
「話戻しますけど、俺は美幸とは付き合ってませんし、妹とも健全な接し方をしてるので問題ないです!美幸も変な事言わないでくれ(;´д`)」
俺は休憩するどころか精神的疲れが溜まってきてるよ。
「うむ、そうかね」
「ごめんね、ゆーくん」
二人は理解してくれたようだ。
俺はまだ残ってた緑茶を口に含み喉を潤わした。
「でも佑斗くん、小さい頃に美幸と結婚するんだと私にいってくれたじゃないか。あれは嘘かね」
「いや、あれはまだ俺も小さくてそう言っちゃっただけでありますし...」
「(´ω`)ショボン」
「いや、ショボンされても...」
俺は対応に困る。
「美幸を調教するんだ!!と言ってくれたじゃないか」
「いや!言いましたっけ!!?言ってたらすみません(゜∇゜ ;)エッ!?」
昔の事だ。変な事を言ってる可能性もある。
「美幸は感度がいいからヤりがえがあるぜ。ウッヘッへって言ってたじゃないか」
「絶対捏造してますよね!!??」
俺は小さいからといいそんな事を言うはずがない
美幸も横で頬を赤らませ俺から目をそらす。
「ハッハッハ。冗談だよ」
「....(;´Д`A ```」
この人と喋ると疲れる...。
時刻13:00過ぎで家をお邪魔することになり、美幸家を後にした。
「なぁ、東雲。お前このあとどうするの?」
「うーん、とりあえず家に帰ってMHFに篭るわ。」
「そっか、分かった。俺も帰って寝るわ。」
そうやって俺たちは別れることになった。
家に到着した俺は欠伸しながらドアノブを回した。
ただいまぁ、と玄関で言ってみたが返答はなかった。
それもそのハズだ。美羽は部活で両親はまたドライブかどっかに出かけているだろうからな。残りの佐奈は部屋でゲームに夢中ってところだろ。
「疲れた...。」
普段使わない筋肉を使った影響か腕のいたるところが痛かった。
「近々運動でもするか...。」
俺はとりあえず湿布を探すことにした。
リビングに向かった俺はテーブルに置いってあった封筒に目がいった。
なんとなく手に取り見た。
「堂上 美羽様...。?なんだこれ」
特に興味もなかった俺は封筒をテーブルに再び置いて湿布を探し始めるのだった。