第一章
笑いあり、感動あり、えっちぃもあり?を出来るだけ表現よく紡いでいきたいと思います。
至らない事もあると思いますが、どうぞ宜しくお願いします。
この小説を愛読して更新を待っていられましたらコメントください^^
その人たちの為に頑張って時間使って更新したいと思いますので!
私、堂上祐斗は小説や漫画みてぇな非日常的な展開が大嫌いだ。
よく友人がバトル系や恋愛系を俺に無理やり進めて来るが、正直意味が分からなかった。
どうして、在りもしない展開を見て楽しまなくちゃいけないんだ。
命を救う英雄や妹や姉の着替えを見てしまうとか、そういう展開は実際にありえない事だからだ。
それを見て楽しむ事に俺は理解できなかった。
何故、こんな事を言い出したかって?
俺は今朝妹と喧嘩したんだよ。
喧嘩の発端は些細な事だった。俺が、妹を起こしに行ったら『私の部屋に入ってくんな!!』って怒鳴られて蹴られ殴られたわけだ。
笑いたけりゃあ笑うがいいさ!!
これが俺の小説やらが嫌いな理由だ。
まぁ、小説や漫画が嫌いと言うか『妹』が大嫌いだ。
小説や漫画には妹といちゃいちゃするシーンとかある物が結構多いじゃん?
それ見てると、
(何処の世界で、妹とラブラブな家庭があるんだよ!!!)って思うわけよ。
そういう現実味が無い類の物も俺は嫌いだ。
「・・・痛ッ!!」
俺は妹に蹴られ殴られた腹部を擦った。
「アイツ・・・ガチで襲いかかってきやがったなぁ!!」
俺を虎の様に襲って来たのは、妹の堂上美羽。
スポーツ万能、学業優秀、文武両道と言ったら堂上美羽と検索ワードでかけたらHITして出てくるであろうっと言っていいほどのよくできた妹だ。
妹は中学1年で学校では憧れの存在だそうだ。
(ふん!! 兄貴の俺に言わせてもらえば実に面白くない話だ。)
美羽は柔道部に入部しており、最も顧問から期待されてるらしい。
そんな妹を持った俺の立場は兄の威厳なんて全然なかった。
親父もお袋も美羽!美羽!美羽!ばっかりだ。
別に構わない。妹が輝きすぎて俺には無関心なのはもう慣れっこだ。
俺は平凡な人生で結構!俺は俺の人生を生きる。アイツはアイツの人生を歩めばいいだけの話だ。
だから今も普段通りに通学路を歩いて学校に向かっている最中なのだ。
考え事しながら通学路を歩いていたら、ふと後ろから声をかけられた。
「ゆーくん、おはよう。・・・って大丈夫?何か生々しい傷があるみたいだけど・・・」
声の主は『うわぁ・・・痛そ・・・』と俺の身体をジィ-っと見て呟いた。
「よ!美幸、おはよう」
俺は痛さを隠すために敢えて元気に挨拶を返した。
こいつの名は、白雪美幸で俺の幼馴染だ。
ちょっとドジで危なっかしいところがあるが、いつも俺の事を心配してくれるのだ。
「ゆーくん、美羽ちゃんと何かあったの?」
早速、ピンポイントで当てるコイツもコイツで鋭いな。
「あぁ・・・、妹様に朝っぱらから調教を受けて来たところだ・・・」
美幸は微笑ましい笑顔を俺に向け、
「仲がいいねぇ♪」
「はぁ!?どう聞いたら、そうなるんだよ・・・」
俺は美幸の思考回路がまったく分からない。多分美幸の頭の中では俺と美羽がじゃれてる様にしか思ってないのだろう。そんな生易しい表現じゃねぇんだよぉ!美幸には理解出来ないみたいだが・・・・・・orz
「ところで、ゆーくん。高校は何処受験するのぉ?」
「あぁ~、そうだなぁ~・・・」
(そういえば、俺は今年から受験生だったなぁ~・・・。自覚ねぇわぁ~。)
俺はとりあえず-----
「まだ決めてない」っと俺は答えた。
自分の進路は人生で一番大切な選択肢と言うが、俺にはまだその選択肢すら出ていないのかもしれない。
「そっかぁ~。まだ何だ。うふふ」
「・・・おい、何で笑うんだよ?」
「ふふ・・・だって、ゆーくんだなぁ~って、うふふ」
俺は控えめに笑っている美幸を横目で見ながら、「意味分からん。(・Д・^)」っと言って、無駄話をしつつ学校に向かった。
「堂上~、待ってたぞ~」
美幸と一緒に教室に入って別れた直後、窓側の一番後ろの俺の机に乗っかって手招きしてる人物を見てため息をついた。
「んだよ・・・。東雲何か様か?」
「何だよ、その態度はよ~。てか、何故昨日はINしなかった!!」
東雲圭吾
黒髪の短髪で、眼鏡を掛けてて少し知能的に見えるが、見かけ倒しの中身はカスな俺の数少ない親友と呼べる存在だ。
「いや、俺言わなかったっけ?明日新聞配達あるから夜更かしできないから、出来ないって」
俺は親父の勧めで新聞配達をしている。親父は俺がだらけない様にとの事だ。
「いやでもさぁ、ちょっと位してくれたってよかったじゃん。俺7時からINしてたんぞ?」
俺は呆れ気味に
「お前・・・7時からINしてたって、どんだけ俺としてぇんだよ!!お前ホモに目覚めたのか」
「ハハハ、友達を大事にしてると言ってほしいよ」
東雲と口論してる話題は、モ〇ハンっていう社会的に人気があるゲームだ。
俺と東雲はモ〇ハンのMMORPGをしているわけだ。
確か、昨日はエス〇ナスっつうモンスターを狩る約束だったが、結局いけなかったわけだが。
「じゃあ、また今度でいいわ」
俺は簡単に引き下がった東雲に驚いて、訊いた。
「あれ?今日はしなくていいのか?」
すると、よくぞ、聞いてくれました!的な笑みを浮かべ答えた。
「いやさぁ~、楓ちゃんがね、お兄ちゃんと一緒に外食したいと言ってきたからぁ~ えへへ~///」
東雲は彼女が出来たみたいな笑顔で。嬉しそうに。
「・・・・・・。つまり、あれか『最近、質素なご飯しか食べてないから外食に連れてけ』ってやつか」
「堂上!お前俺の家に盗聴器か隠しカメラあるだろ!!いくら、俺の楓ちゃんが可愛いからってやっていい事と悪い事があるぞ!!」
いやいや、お前が逆に怪しいわ、っと思いつつ、
「お前・・・妹好きなの?」
「おう!!大好き!」
(即答かよ!!)
東雲圭吾には妹がいる。
名前は東雲楓と言う。俺の妹と同じこの中学の1年生だ。
確か生徒会執行部の書記係だったはずだ。
兄が馬鹿な一方、妹の楓は俺の妹にも劣らない学力の持ち主だ。
「んで?お前は今日用事があると?」
「そういう事だ。まぁ、楓ちゃんとデートだから悪いな」
「・・・」
コイツ頭沸いてるんじゃね?
妹と出掛けるのに、デートって・・・。俺の妹なら『は?死ねば?』って返答がきそうな発言だもん。
俺だって言いそうだわ。
そんな俺の心の声も聞こえないわけで。
「まぁ、頑張れよ・・・」
俺はその一言しか言えなかった。
だって他に何言えってんだよ!!逆に聞きたいくらいだよ。
そうする間にSHRの鐘が鳴ったのだった。
「ふぁぁ~、ただいま~」
俺は美幸と帰り、自宅の玄関で大きく欠伸をしてリビングに向かった。
リビングに入ると、お袋が買い物袋の野菜やお肉を冷蔵庫にせっせと詰めていた。
「お袋、ただいま」
お袋は俺の存在に気づいたみたいで、作業を止めた。
「あら、祐斗居たのね。おかえりなさい。お腹減った?ヨモギ餅あるけど、食べる?」
「いや、いらないわ。晩飯まで待つよ」
「あら、そう」
お袋は、それだけ聞くと、また冷蔵庫に物を詰め始めた。
俺は、自分の自室に戻ろうとした時、お袋が俺を呼び止めた。
「あ、じゃあこのヨモギ餅を佐奈にあげてきてもらえるかしら?」
「あぁ、分かったわ」
俺はヨモギ餅を受け取って、リビングを後にした。
リビングを出た俺は、階段を上って、三つの扉の内、一番左奥の扉まできた。
コンコンとノックして木の軽い音を響かせた。
「佐奈~、起きてるか?お袋がヨモギ餅佐奈にって、持ってきてやったぞ~」
『・・・・・・・』
おいおい、もしかして寝てるのかよ。
「入るぞ~」
俺はまるで、こっそり部屋に進入するかの如く入った。
一応言っておこう。俺は妹に餅を持ってくる為に入ったんだ。ちゃっと口実はある。
(・・・・・・。)
何言ってんだ?俺。
部屋に入ると、部屋の中は薄暗く窓から射し込む夕日で茜色に染まっていた。
そこの一角のベットの中に、黒髪が背中の中間辺りまで垂れさせ寝息をたてながら、すやすや眠る我が妹が眠り姫の様に寝ていた。
異世界の架空の存在のような、目を離したら、消えてしまうような壊れてしまうような雰囲気を俺は感じた。
俺は起こすのに躊躇ったが、晩飯も近いので俺は妹を起こす事にした。
「おい佐奈、餅持って来たぞ」
「ふにぃ・・・ここ何処ぉ~?」
「(゜∀゜)」
俺の妹さんは、今日より記憶喪失になったみたいだ。
なわけあるか!コイツボケてやがる。
「お前の部屋だ。目を覚ませ」
「あ・・・、私寝ちゃってたんだぁ」
佐奈は目を指で擦りながら、むくっとベットに女の子座りした。
「ん・・・、私どれ位寝たんだろぉ?」
「さぁあな、お前よっぽど疲れて------っておいッ!!佐奈お前なんちゅう格好で寝てるんですか!?」
おっと、気が動転しすぎて妹に敬語使ってしまったよ。
俺が佐奈に振り向いたら、当の本人はTシャツ一枚着ているだけな状態なのだ。さすがに、パンツは履いてると思うが・・・。
「ふにぃ?お兄ちゃんどぉしたの?」
「いや、おま・・・・・・自分の格好おかしいとは思わんのか!?」
「あ~、寝るとき暑苦しかったからぁ、涼しい格好で寝たくて脱いだんだぁ★」
「脱いだんだぁ★----じゃあねぇよ!!」
佐奈はテヘへと頭を掻く。
「お前・・・恥ずかしくないのかよ・・・。俺にそんな格好見せてよぉ・・・」
すると佐奈は、頬を赤く染めて恥ずかしそうに答えた。
「お、お、お兄ちゃんは別にいいもん」
あぁ、そうか。俺は男として見てないわけね。
「まぁとりあえず、餅食えや」
そう言うと、俺は佐奈にヨモギ餅を渡した。
「ありがと」
「はいよ」
俺たちはお互いお礼を交わす。
次女の堂上佐奈俺の妹だ。
「んじゃあ、自室戻るわ」
俺は佐奈との二人っきりのぎこちない空気から逃げるように自分の部屋に戻ろうとした。
「ま、待ってよぉ」
佐奈が俺の袖を掴んで、呼び止めた。
「な、何だよ」
俺は急に袖を掴まれて動揺してしまってた。
「・・・あのね、お兄ちゃん?私にお餅食べさせてくれないかな・・・」
「はぁ!?」
俺は俺で驚いて声が裏返ってしまった。
「お前!何言ってんだよ」
「私、今まで寝てたから気だるくて食べれそうにないの・・・」
佐奈は、うるうる瞳を潤わせてながら、お願いのポーズをする。
(おいおい、そうされたら俺は断れないだろ・・・・・・)
別に俺はシスコンじゃないぞ?忘れてると思うが、俺は妹といちゃいちゃするのは嫌いだし、したくない。
シスコンは世間的に引かれる事だと俺も十二分理解している。
だけどさ、妹にお願いされて断れる奴いるか?純粋に頼んできてるのを俺は断れないね!!
「分かった、分かった。だからそんなに泣きそうな顔すんな」
俺は観念しておkと返事を返した。すると、佐奈は、にぱ~と笑顔を俺に見せた。
「お兄ちゃんありがと♪大好き♪」
佐奈は俺の身体に抱きついてきた。
「お・・・おい!!お前やばいだろ!!」
何故ヤバいかって?忘れていないと思うが、佐奈はTシャツに
パンツという組み合わせの装備のわけで・・・。いろいろ問題があるわけよ?
俺は無理やり身体を引き剥がしにかかった。
「おい、佐奈!!離れろ。色々ヤバい状態だ!自分の身なりと状況を把握して行動しろ」
今も佐奈は俺に身体を擦り付けてるワケであって・・・。
(マジでヤバイって!!(゜Д゜`))
もう一度言うが、俺は別に変な気持ちや『幸せだ~』なんて思っていない。そこは死んでも誓う。だけどね?私の海綿体は反応しちまってるワケですよ!!
ヤバイ・・・流石にヤバイ。
「お・・・おい、佐奈離れてくれ。お前の兄貴は色々と忙しいんだ。早くしねぇと出てくぞ!!」
すると、佐奈は残念な顔をして俺から離れてくれた。
「・・・分かった。」
「ありがとな」
ふぅ、助かったぜ。あと少しで俺のゴールデンフィンガーが『呼んだ?』ってなるとこだったぜぇ。
「・・・」
「・・・」
「なぁ、マジでしなきゃダメか?」
「(こくり)」
佐奈はゆっくりと頷く。
「そ、そうか」
「・・・。お兄ちゃん・・・あーんして」
そういうと佐奈はおもむろにヨモギ餅を指で摘まんで、俺の口元に近づけてきた。
「食えってか?」
「うん。最初にお兄ちゃんに食べさせてあげる」
俺はこの時一体どんな顔をしていたのであろう。顔は引きつり、羞恥と驚きが入り混じったなんとも説明しようがない顔であったことだろう
だが、俺堂上祐斗は妹に・・・女の子にこんな事させておいて、引き返すという行為は全国の男共に『このヘタレ!!』と言われミンチにされるであろう。
OK OK 俺はもう引き返さない。今この瞬間。佐奈は餅を摘まんだ指は小さく震え待っていた。
最後にもう一度だけ言わせてくれ!今から妹に『あーん』ってされるが、別に俺は嬉しくとも何ともない。妹といちゃいちゃはごめん蒙る。
「じゃあ・・・た、食べる・・・ぞ?」
「う・・・うん。食べて・・・」
(・・・。うん。これ間違ったら誤解されるぞ!マジで!)
俺は意を決して、口を開き、佐奈が指に摘まんでる餅を食べようと近づける。
俺の吐息が佐奈の指に当たってると思うと、恥ずかしくなってきちまったじゃん!
俺は慎重に餅に食いついた。
一つ一つの動作が長く感じる。
佐奈は俺が食いついたのを確認すると、餅から手を離した。
「お兄ちゃん、美味しい?」
佐奈は俺の顔を覗き込むように聞いてきた。
「あ・・・あぁ、柔らかくて美味しいよ」
佐奈は嬉しそうに笑った。
「じゃあ次は、お兄ちゃんが私に食べさせてよ」
「お・・・おう。」
やっぱそうだよなぁだが、佐奈はしたんだ!俺が出来ないでどうすんだ!
俺は自分を言い聞かせ、餅を一つ摘み上げた。
にしても、餅ちっせぇ!一口サイズじゃねぇかよ。
そんな事をぼやきながら、準備完了。
「ほら佐奈、あ・・・あーんしろ~」
「うん♪あーん♪」
何で、嬉しそうにしてんだよ!俺だけ恥らってるのバカみてぇじゃん!!(゜Д゜)
ゆっくりと佐奈のお口にヨモギ餅二号機を口内着陸させようと近づく。
自分の心臓がドクンッ!ドクンッ!と活動しているのがハッキリと分かる。
「ひゃんっ!!・・・」
「うおおおおおおおおおいいい!!!!!!!!!」
我ながら、滑稽な驚きようだった。
だって妹がいきなり変な声出したら誰だって驚くだろ!なぁ、全国の妹持ちの兄貴の諸君!同感だろ?
「お、お前いきなり何て声出すんだよ!!!」
「ご、ごめん。急に唇に当たったから、驚いちゃって・・・」
「そ、そうか」
緊張で俺は手元が狂ったみたいだ。集中!集中!
「気を取り直してまた行くぞ」
(何で俺声裏返ってんだ!)
「う・・・うん」
再び佐奈の口へと寄せる。
「はむ・・・」
佐奈の口に上手に運べたようだ。クエストクリアだ!G級モンスターより難クエだったぜ・・・。
「パク」
ん?パク?
どうやら、乱入クエストが発生したようだ。
うん?俺がどういう状況かって?よし教えよう。落ち着いて聞いてくれ。
妹が餅ごと俺の指を口に含んでるんだ。
「食べられてるぅぅぅぅっぅうううぅぅっぅ-------(゜∀゜)---------!!!!!!!!」
おっと、すまない。俺が一番動揺してるみたいだ・・・。
え?だってよ。妹に指舐められてるんだよ?どゆこと?
「ちゅぶ…ちゅぶ…おにいひゃんの手、おおひくて、暖はいねぇ」
佐奈は「お兄ちゃんの手、大きくて、暖かいねぇ」って言ってるのだろう。
佐奈はそのまま、口に俺の指を咥え続ける。
「ハハハ、そうだろ。」
やべぇ、俺動揺しちまって変な事言ってるぞ?
「いやいやいや!!!そうじゃねぇだろ!!佐奈・・・何をなさってるんです?」
佐奈は不思議そうに上目遣いで首をかしげる。
「ふにぃ?おもひをお兄ひゃんから『あーん』っふぇさせてもらっふぇ食べてるふぁけだよ?」
訳(え?お餅をお兄ちゃんから『あーん』ってさせてもらって食べてるだけだよぉ?)
「いやいや、貴方手も食べちゃってるから!!っつうか、俺の指に舌を絡めるな!!!!」
「ァ・・・ァン・・・おにいひゃん、指動かさない・・・で・・・ァ・・・ん」
「だから変な声出すな。早く俺を解放しろぉ・・・」
海綿体起きちゃうって・・・。ガチで。
何コイツ俺の指をちゅぱちゅぱしてるんだよ。キモいっての。俺としては。
「おい、佐奈。とりあえず、口開けようか?」
「なんふぇ?」
佐奈は何で?と首をかしげる。
「いや、コレヤバイって、ガチでやべぇよ。誰かに見つかったら俺死刑よ」
妹に口に指突っ込んで弄んでる兄というレッテルが貼られるって間違いなく。
佐奈は俺の指を咥えるのを止め、指を外気に開放した。
佐奈は俺の指と佐奈の唇の先端に一筋の涎の糸を垂らしているのをお構いなしに問うてきた。
「ぷはぁ・・・。お兄ちゃん、やめてほしいの?」
「・・・・・・」
我ながら、何故すぐに『やめい!』と言えなかったのか、俺にも分からなかった。
して欲しいのか?俺?
いやいや、断じてそれはないハズだ。俺は妹なんて糞だと思ってる。姉の方が欲しかったくらいだ。
どれ位の間があったのだろう。
窓に備え付けられたカーテンが風に靡く音が空間を支配しているようだった。
多分、俺がすぐに答えが出せなかった理由が今なら分かる気がした。
それは――――――
佐奈の目が真剣だったからだ。
コイツはいつも快活で笑顔は美しいと俺は人に自信を持って言えるだろう。
そんな佐奈が真剣に俺に訊いてきたから俺はすぐには言えなかったのだと思う。
だってよ。真剣な質問に適当な回答は質問者に失礼だと思うのよ。一部除いてな。
「まぁ嫌っていうか…女の子がこんな事するのはいけないと思うぞ」
「そうかな?」
「お前…もしかして…クラスの男子にそんな事してないよな?」
すると、佐奈は顔を赤くして怒鳴ってきた。(可愛い怒鳴り)
「ば、バカッ!こんな事…お兄ちゃん…しか…しないよ」
「ん?何だって?」
最後の方が聞き取れなかったが、クラスメイトには行っていないようだ。ホッとしたぜ。ガチで。
「とりあえず、やめよう。色々まずいから」
「(m´・ω・)m しょぼ~ん」
「いや、しょぼ~んじゃねぇよ」
とりあえず俺は佐奈を宥める事に成功した。
「ならお兄ちゃん、ゲームしない?」
「あ?ゲーム? モン〇ンか?」
「うん♪ 私ね、火竜の滅鱗が1個必要なの」
「どんだけレア素材なんだよ。絶対時間掛かるだろう」
「え~、じゃあ明日やってくれる?」
佐奈は後ろの収納ケースをガサゴソ四つん這いでPSPを探す。
一応言うが、佐奈はTシャツにパンツだ。
ん?どうしたかって?いや、チラチラ見えるワケよ。絶対領域とはこの事かって思うほどによ。
「…。なぁ佐奈よ」
「何?お兄ちゃん♪」
佐奈は顔をこちらに向けてくる。
「お前、わざと俺にパンツ見せてるだろ?」
「ギクッ!!」
「おいこら。ギクッて何だ?図星か?」
「いやだなぁ~お兄ちゃんはぁ~。私がお兄ちゃんにパンツ見せてお兄ちゃんムラムラして襲って来ないかなぁ~♪なんて思ってないんだよ?」
「おい、何言ってんだよ!」
佐奈はあ…て硬直して
「テヘッ☆彡」と自分の頭にゲンコツを落とす。
「あのなぁ…何?お前俺に襲って欲しいの?」
「うん♪」
「うん♪じゃねぇよ!(゜Д゜#)」
「え~(`・ω・´)」
佐奈は唇を尖らして残念そうにした。
俺は佐奈がブラコン気味なような気がしたがまぁ気のせいだろ。スルーしよう。
「ったく…。お前は…まったく」
俺が頭抱えていると、俺の携帯が鳴り響いた。
「おっと、佐奈悪い電話だから静かにしてろよ」
「はぁ~い」
佐奈は元気に返事を返してベットに寝転んだ。
だから、見えるって言ってるだろぉ!!(゜Д゜#)
液晶画面を見てみると、美幸と書かれていた。
(美幸から電話か。珍しいな)と思いつつ応答ボタンを押して返事する。
「美幸、どうしたんだ?お前から電話って珍しいじゃねぇか」
すると電話の向こうで慌てている声が聞こえてきた。
「ゆ、ゆ、ゆーくん!!??」
「おい、テンパるなよ。お前から掛けておいてよ」
「だって…いきなり声が聞こえたからぁ~…」
美幸は機械音痴でこの手の機械が苦手なのだ。
「そうだったな。お前テレビの録画も出来ないんだもんな」
俺は呆れ気味に言った。
「ゆーくん酷いよぉ…」
電話越しの美幸はさぞかし泣き気味になってるであろう。
「で?機械音痴の美幸さんが何故俺に電話という美幸にとっては未知たる機械を使ってまで電話を?」
「ゆーくん!!何か色々と酷い事言ってない!?」
「気のせいだろ?」
俺は幼馴染を弄る。別に苛めてるんじゃない。コイツの反応が面白くて、ついからかってしまうのだ。
そろそろ本題に戻すか。
「そんで?用件は?」
すると美幸は用件に思い出し本題を言った。
「あのね、明日私の家に来てお掃除手伝って欲しいの」
「掃除?お前ん家そんなに汚かったっけ?」
美幸の家は近所じゃ有名な一軒家で聞いた話だとお手伝いさんがいるとかいないとか。
「違うよぅ~。汚くないよぉ…」
おっと、また苛めてるような絵になってるじゃねぇか。
「じゃあ何でまた?」
「お父さんが液晶テレビの70V型を購入したから男手を借りたいって言ってたから電話したの」
「え?(゜∀゜)お前ん家またテレビ買ったの?」
「うん。お父さんが時代に乗りたいって」
「乗りすぎだって。お前の親父ウハウハじゃねぇかよ」
「仕方ないよ。お父さん機械好きだし」
「お前は機械音痴なのにな」
俺は笑いながら美幸と通話していると、佐奈が口を膨らませてフグのようになっていた。
あ~、放置してて怒っているんだな。そろそろ終わるか。
「分かった。明日行くよ。東雲も呼んでもいいか?男手は多い方がいいだろうしよ」
「ごめんね、せっかくの土曜日なのにありがとぉ~お父さんも喜ぶよ~」
「いいって事よ。どうせ暇だしよ。たまには力仕事もいいだろ」
「じゃあ時間はまた明日...連絡...する」
「次は驚くなよ」
俺は意地悪く言ってやった。
「ちゃ、ちゃっとかけるもん!」
美幸は拗ねたみたいだ。
「OK じゃあ明日な」
「うん バイバイ」
俺は通話終了の押して携帯をズボンの前ポケットに入れた。
前を見ると、佐奈がジッーと俺の顔を睨んで寝転んでいた。
「佐奈、どうしたんだ?」
「お兄ちゃん?明日美幸さんの家に出かけるの?」
佐奈は俺に問いただす。
口は笑ってるが目が笑ってないですよ!佐奈さん!
「あ、ああ…明日美幸の家にお手伝いしに行かにゃあならんのだよ」
「ふぅん…」
佐奈の冷たい視線が俺に突き刺さる。
「お兄ちゃん…私と明日モン〇ンするって言ったよね?」
しまった!原因はコレか!
「お兄ちゃんは妹の約束をほったらかしして美幸さんにどんなお手伝いをする気ですか?共同作業でもする気ですか?」
「待てぇぇぇ!!何か誤解してないか!?違うって!美幸の親父が力仕事手伝って欲しいって言われたんだよ。ってか、俺明日モン〇ンするって約束した覚えないぞ?」
「(:ω:)」
あー、泣いちゃうなぁ…まったく仕方ない…。
「佐奈分かった。日曜日お前と一日中、一緒にいてやるから許せ」
ピクッ!
もし佐奈に耳と尻尾があったなら動かしていただろう。
「お兄ちゃん…一日中私と居てくれるんですか?」
「おう、とりあえず鼻血拭こうな?」
佐奈の鼻から血がつぅーっと垂れてきたのだ。どんだけ、興奮してんだ?このバカ妹は?
「おにいひゃん、約束ですよ?絶対ですよ?」
「分かったって。そんじゃあ俺は行くぞ」
「はい♪またです」
俺は佐奈の熱い眼差しを背中に受けながら、佐奈の部屋を出た。
俺は、佐奈の部屋を出た後、東雲に電話する事にした。
ポケットから携帯端末を取り出し、アドレス帳の一覧から「東雲」を開いた。
(あれ?そう言えば、アイツ妹と外食行くって言ってたな。)
俺は一瞬邪魔になるかとメールで済ませようと思ったが、アイツ、メールに気づかないまま帰って寝てしまいようなので仕方なく直接電話をする事にした。
『プルルルル…プルルルル…ガチャ』
コールが終わり、電話が繋がったようだ。
俺は手っ取り早く用件を済ませたかった為、単刀直入に言おうとした。
「おう、東雲。実は明日手伝って欲しい事が――――――――――――」
『楓ちゃんマジ天使!!』
俺の問いかけを押し切って、電話越しの向こうから明らかに狂った妄言を言ってる人物がそこにいた。
「……」
『堂上ぉぉ!!楓ちゃんが食べかけのイカフライ俺にくれたよぉ!///』
『ば、バカ!!食べかけなんかじゃないわよっ!!』
何やら、東雲妹が怒鳴り散らしてるのが聞こえてくる。取っ組み合いになってなければいいのだが…。
「お前ら…店内で騒ぐなよ?他に客も居るんだしよ」
俺は冷静に東雲兄の心配より店内の客と店員の心配をした。
すると、東雲兄の東雲圭吾は問題ないと言った態度で話す。
『フッフッフ、俺達は他のお客様に迷惑かけていないぜ…。何故なら、他に客は居ないからだ!どうだぁ~、貸切だぞ~。楓ちゃんと二人で貸切食事なんて最高だわぁ~///』
東雲はこの上なく幸せそうだ。さぞかし、幸せそうな顔してるのであろう。見たくないが。
「あれ?客居ないのか。客がお前らだけって結構過疎ってるな。」
ジョイフルがまだ19時回ってないとは言え、客が一人も居ないなんて珍しいなんてもんじゃない。
普通19時前なら家族連れの人や友人と一緒に雑談している集団がいてもおかしくないんだが…。
「客が居ないのは不気味だがな…」
お食事処に客が居ないなど、店が潰れてもおかしくない状態だ。
『居ないつうかよ、他の客が俺を見て逃げるように店出るんだよ。マジ可笑しいわ』
「いやお前、それお前のせいだぞ?」
『え?俺のせい?何でよ?』
「お前店内でどんな事したよ?」
俺は階段を降りずに、その場に座った。
『どんなって…。別に普通に楓ちゃんと飯食ってるんだが?』
すると、東雲の話を聞いていた妹の楓が横から意義を立てた。
『……兄?私に「楓ちゃん///お口拭いて~////」てのは、素でしてたの…?』
「おい東雲…、俺たち…他人からやり直さないか?」
『ちょっと待てぇぇ!!え?何?俺今から友達失うの!?』
「あぁ、そうだが?」
真顔で圭吾に答えてやった。
『ちょちょちょっ!失望しないで欲しいんだべ?』
「うん、何故訛った?」
だってさ、皆も考えてくれ。友人に周囲の目も感じず、「お口拭いて~///」ておねだりする野郎が居たらどう思うよ?友達でいられるか?俺は無理だわ。
多分、それを目撃したお客は気持ち悪い野郎が女の子におねだりしてるのを見てしまって、みんな去って
行ったんだろう。そりゃあ、逃げるわなぁ…。だって気持ち悪いし、本人には言わないが。
『お乳突いてくれ。堂上!!』
「お乳突いてって何だよ。傍から見ると変態発言言ってる奴なんだが?お前この状況で俺に何を要求してんだよ」
おいなんで漫才みたいになってんだよ。勘弁してくれ。お前と糞通話する為にかけたわけじゃないんだが。
『スマン、あまりにも驚いて噛んでしまった。落ち着いてくれって言おうとしたんだよ』
「すげぇ噛み方だな。とりあえず、お前が落ち着け」
俺は冷静にボケを処理していく。
『待ってくれ、堂上。確かに俺は周りからの冷たい目線で快感を得てたさ!認めよう。だがな、妹と久々のコミュニケーションだったから、つい嬉しかったんだよぉ…』
「う~ん~…途中途中に、ガチ引きなカミングアウトされた気がしたんだが、まぁ気のせいだろ。」
圭吾がドM的発言したような気がしたが、間違いだろう。
「お前…そんなに妹と居れて楽しいのか?まぁ楓ちゃんに失礼だが、妹なんて兄の事を慕ってくれないぞ?自分勝手な行動ばっかするしよ」
『……』
圭吾は静かに俺の愚痴を終わるまで聞いてくれていた。
「だからさ、お前の「妹好き~」って気持ちが理解できないよ。何故ストレス溜まらないか教えて欲しいくらいだ」
俺は他人に愚痴を言う性格じゃないが、この日は何故か口が止まらなかった。
俺は口には簡単に出さんが、兄妹っていいもんじゃないと兄生活で幾度となく味わった。
お袋も親父も妹の事ばっかりで俺の事は2の次3の次だ。
確かに、俺はもう自立しないといけないのは百も承知だ。
多分その気持ちも妹が妬ましいからだろう。
何事も上手く事が進む完璧な妹に。
俺はやっと長々とした愚痴をやめた。これ以上言うのはただの悪口になりかねんからだ。そんなのはあってはならない。
俺は一心不乱に愚痴を聞いてくれた東雲に謝った。
「スマンな、東雲。お前に関係ない事なのに聞かせて悪かった。」
『………』
東雲からの応答がない。ただの屍のようだ。
俺は通話が切れたのか画面を見るが、通話時間は動いている。
「東雲?」
俺はもう一度名前を呼ぶ。
『うひょ――――――(゜∀゜)―――――!!楓ちゃん君は世界で一番可愛いよぉぉ』
「……」
コイツ俺の話、シカトしてたな。
「はぁ…」
俺は何でコイツにガチで話したんだろうな…。俺は深いため息をつく。
こんなバカに愚痴言うんじゃなかったな。
俺はコイツに愚痴ったのを後悔した。
「あぁ…お前は気楽でいいな…。じゃあな……切るわ」
電話する気力が根こそぎ奪われたわ。
シカトはアカンって…。
俺は切ろうとしたら、東雲が俺に喋りかけた。
『切るのか。なら最後にお前に一つだけ言っとく事がある』
東雲はデレデレ口調から急に普通に戻る。だが、その口調には真剣さが混じってた。
『お前の妹さんは知らんからなんとも言えん。けどな、どんなに嫌われようがどんなに蔑まれようがな、兄は妹の味方で好きであり続けなければいけないんだよ』
俺は東雲の妹自慢や熱愛語りはいつもウザく感じたが、今回は何故か身に染みた。
東雲だからだろうか、説得力が十分に感じた。
「祐斗~。佐奈~。ご飯出来たわよ~」
リビングのドアを半開きにして俺たちを呼びかけるお袋の声が聞こえた。
俺はその場を立ち上がった。
「あぁ、そうかもな」
俺はそう答えるしかなかった。罵倒したり突っ込むような空気を感じなかったからだ。
『まぁ、妹は大切にな。大切にしすぎてprprするなよ』
「お前じゃねぇよ。一緒にすんな」
何故コイツは最後に俺を引かせるんだよ…。さっきまでのコイツの熱弁がどうでもよくなりそうだった。
「じゃあな、またな」
『ちょっと待て』
「ん?何だ?」
俺は頭を?にする。
『結局何で電話したんだ?』
「Σ(゜Д゜)」
そうだった忘れるとこだった。
コイツのバカな愚行等ですっかり忘れてた。危ない危ない。
「あぁそうだった。あのな、明日美幸の家で手伝って欲しいって連絡あったのよ」
『fmfm』
「そんで、お前にも手伝いを要請したくて電話したんだよ」
『あぁ、分かったぜ。明日は暇してたところだし』
「スマンな」
『いいって事よ』
何気に東雲は友達思いなのだ。まぁそれが俺がコイツを友人として認めていいコイツの良い所だ。
「じゃあな」
『あぁ、楓ちゃんとラブホに…ゴホンゴホン!!!』
「?お前聞きなれない単語が聞こえたんだが気のせいか?」
東雲の口からいかがわしい台詞が聞こえたような気がした。
『き、き、き、気のせいだ。問題ない』
「あぁ、そうか。じゃあまたな」
『あぁ、じゃあな友よ』
俺は東雲との会話が終わり、通話終了ボタンを押した。
一応用件も済ませたので飯を食べに行こうと階段を降りる。
すると、玄関からガチャッと扉が開いた
「ただいまー」
帰ってきたのは、長女の美羽だった。
肩に垂れるほどの茶髪で暑苦しいのかゴムで髪を結っており、うなじを露にしていた。
美羽は部活終わりのようで柔道の胴着を着たままの帰宅だった。
胴着のハズなのに美羽が胴着を着ているにも関わらず、一瞬見とれてしまった。
胴着なのにファッションと思わせてしまうのだから、さすがの美貌である。
中学生でありながら何処となく大人っぽい感じがする。
俺が美羽を口を開けたまま見てると美羽がこっちを睨みつけてきた。
「こっち見ないでくれる。気持ち悪いから」
美羽の視線が変質者をみるような目で俺はむっとした。
「はいはい、別にお前なんか見てねぇよ。被害妄想乙」
「あぁ!?」
やべぇ、めっさ怖いです。勇気振り絞って反撃したが自滅のような気がしてきたぞ…。
俺は美羽に睨まれ行為から逃れる為に目を反らそうとしたが出来なかった。
だって怖わすぎて逆に目を反らせねぇよ(:ω:)
さすが、親父に似てるぜ。眼孔が鋭すぎだって…。
俺は美羽の蛇睨みを受けてる中、気がついた。
美羽が全身が汚れているのだ。
美羽の肌に小さいが幾つかの生傷があった。
「お前、その傷なんだよ?」
俺は美羽の蛇睨みを受けてる中美羽に訊いた。
すると美羽は腕の傷を隠した。
「きも…、私の身体じろじろ見んな!!キモッ!!」
美羽はウエェ(´Д`)って顔になる。
「あぁ、そうかよ。俺だってお前なんか見たくないわ」
「あっそ。じゃあとっとと、あっち行って」
コイツの言語一つ一つがムカッってくるわ。
「あぁ、言われなくても行くわ」
俺は美羽をほっといてリビングに行った。
俺はこの時、疑問に思えばよかった。
道場で稽古するはずの胴着に土が付着していた事に………。
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