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部活



6時間目も終わり、帰る準備をしはじめる。


「疲れた.....」


そんな小さな声は、気づけば外に漏れていた。


「疲れた?隼人今日ほぼ寝てただけだろー?笑」

「あっ伊織!聞こえてたの?」

「小さい声で漏れてたぜ笑、まあ久しぶりの学校だったし、疲れるのも無理ないか、ゆっくり休んでな」

「うん、そうするよ!」

「今日は部活はオフなのか?」


あ.....部活か、行かないと顧問は古い人だから多分.....いや絶対怒られる。最悪、殴られるかもしれない。噂で前に体罰を受けた部員がいるみたいなのを聞いたことあるし...今日は部活に行くしかないか。


「今日は部活あるよっ!だから部活行かないと!」

「そうか、頑張ってな!」

「伊織もバレーがんばって!!」


そう言いながらぼくはロッカーから陸上用のスパイクを取り出しグラウンドへ向かった。





「お前は最近休みすぎだ!!何をしている!!」


ぼくはいま顧問の山下先生に怒られている。


「いや最近は学校を休んでたから行けませんでした...ごめんなさい」

「なら連絡ぐらいするべきだ!!違うか?」

「...はい」

「なんだその反抗的な目は、俺は何か間違ったことを言っているか?」

「いや、そんな目してな――」

「なんだ?反抗するのか?」

「違う……えっと、違います。もしそう見えたのなら、ごめんなさい」

「...ちょっと隼人こっち来い、ここでは見える」

「わかりました」


見える...?部員に見えるとまずいことってな――


パシッ。


視界が揺れ、左頬が熱くなる。


「最近の若いものは上っ面だけの奴が多いからな、言葉よりこういうので伝えていかないとならん。隼人!次からは休んだ分だからな!」



思考が上手くまとまらない、熱かった左頬には一本の水が伝っていく。


「.....え?」


小さい戸惑いの声はもう山下先生(顧問)には届かない。





気がつけば、アップが終わっていた。

怒られている時に終わったのだろう。



「あ、隼人〜どこいたの?アップもう終わっちゃったよ?」

「あ、マネージャー(凛さん)ごめ...じゃなくて、えと...あの、えーとトイレ!トイレ行ってたの!ごめんね!」

「そんなんだー大丈夫だよー久しぶりだしゆっくりでもいいからアップしてきな?」

「う、うんそうす――」

「隼人!早くアップに行ってこい!!」

「あちゃ怒られちゃったね、ごめんね私が引き留めちゃったから」

「いや、違うよ!ぼくが遅いからだよ!謝らないで!」



怖い怖い怖い、また...また殴られるかもしれない。早く急がないと、もっと早く早く走ってよ、ぼくの足!!




「隼人!なんだあのアップの仕方は!休みすぎでアップの仕方すら忘れたのか?」

「早く追いつかないとと思って...」

「だからと言ってあんなアップの仕方があるか!」

「ごめんなさい」

「隼人、お前は何回怒られるつもりだ?もう一回喰らっておくか?」

「嫌...あ、えと...ごめんなさい、次から言われた通りにするので許してください、お願いします」


自然と涙が流れだす。


次の瞬間、引いたはずの痛みが戻ってきた。



「そんなことで涙を流すな気持ち悪い、男だろ?男が脅されたくらいで涙を流すな」

「.....はい」



そう言い残し、部室から出て行った。



ガクッ.....

立たないといけないのに、何故が立てない、足が震えて...いや体全体が恐怖で震えて動けなくなってしまった。



「ちょっと!隼人!?大丈夫?」


上手く喋れない、涙で前も見えない。


「立てる?何があったの?」

「せんせいにな...ううん、怒られた、怒られただけ」

「ほんとに?隼人すごく震えてるよ?」

「大丈夫...立てる、立てるから」

「隼人?左頬あかい...何があったの?しかも両手首も傷跡ついてるし...本当に何もなかったの?」

「.....」

「隼人、何があったか教えて?中学の時は楽しく陸上してたのに最近の隼人楽しく無さそう、私のこと信用してよ中学からだけど三年も一緒だったじゃん!」



逃げたい、逃げたいけど言ったらまた怒られる気がする。



「とりあえず保健室行く?左頬とか冷やした方がいいかもしれないし」

「.....行く」

「わかった!一緒に行こ」

「いや、1人で行くよマネ仕事しないといけないでしょ」

「先輩マネいるし大丈夫だよ!それ以上に隼人が心配!」



止まりかけた涙がまた溢れ出す、久しぶりに優しさに触れた感覚だ。


「ほら!顧問に言いに行こ!」


顧問に言いに行く...?

涙...涙拭かないとまた殴られる。


「待って涙拭くから」





「保健室?なんで隼人を保健室に連れていく必要がある」

「左頬が赤いので冷やした方が良いと思って連れていくつもりです」

「そんなの暑いから赤くなってるだけだろそんなので連れていくな」

「.....なら隼人の両手首の傷が腫れてるのでそれを見せに行きます」

「...そうかならまあ良い1人で行かせておけ」

「いえ、私もついていきます」

「何故マネージャーのお前がついて行く必要がある」

「心配なので」

「そんなしょうもない理由でついて行くな、マネージャーの仕事は部員の手伝いだろう?」

「部員の怪我の治療も手伝いと言えるのではないでしょうか」

「チッ面倒くさい、わかったわかった勝手についていけ、でも田中お前戻ってきたら少し話がある」

「わかりました」



ぼくはその会話をただ聞くことしかできなかった。

自分のことなのに。

田中凛

中学の時から隼人と同じ陸上部に入っていた。中学の時は選手として走り幅跳びをしていたが高校に入りマネージャーになった。部内で唯一隼人と仲良く喋る人で、周りからは隼人と付き合っている疑惑がでたが、別にそんなことはなく、実際連絡先も持っているだけで連絡し合うことはないし、中学の時から部活以外ではあまり喋ることはない。

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