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底は変わらず


キーンコーンカーンコーン


「ふぅ...」


やっと4限目が終わり昼休みになった、久しぶりにちゃんと勉強をしたからいつもより疲れてきた、それでもまだ学校を苦だとは思ってない、それ以上に楽しく感じる。


「隼人〜お昼ご飯食べよーぜ!」

「今日お弁当ないから食堂行ってくるから待ってて!!」

「ん、珍しいなお弁当ないの、まあいいやまっとくよ〜」


今日から5日間お弁当がないと考えると......


「あんまり使いすぎたら足りなくなるなぁ」


そうポツリと声を漏らし急いで食堂へ続く道を歩いて行く。


「隼人〜!!」

「伊織?どうしたの?」

「いや〜俺も飲み物欲しくてさ!」

「そっか!教室で言ってくれたら一緒にここまで来れたのに〜!笑」

「ごめんごめん笑隼人が出てった後に水筒飲み干しちゃってさ〜」


伊織が来てから食堂への道が短く感じた。


「あ!隼人!!」

「...?おい隼人呼ばれてるぞ」

「え?誰から?...あ!凛さん!えーと久しぶり?」

「久しぶりでもない気がするけど〜学校来たんだねー!!今日部活は来る?」

「んー部活はちょっと考えるけど多分今日は行かないかも?」

「そっか!でも新しい顧問に挨拶ぐらいはしといたら?多分職員室とかにいると思うよ!!」

「新しい顧問...?来るの早くない?」

「んー予備顧問みたいな?わかんないけど!!」

「まあ昼ご飯食べた後か放課後にでも行くよ、教えてくれてありがと!」

「いえいえー!あ!私もう行かなくちゃ!友達と話してるところごめんねー!!」

「全然!またね!」


新しい顧問...顧問かぁ、正直部活自体がちょっと怖いからなぁ...うーんまあでも一回は会ってみようかな!今のぼくなら行ける気がする!


「隼人?今の誰?彼女?」

「え?いやいやそんなんじゃないよ〜部活のマネージャーだよ!中学から一緒だから仲良いんだよね!」

「え〜!陸上部のマネージャーってあんな可愛いのか?ずるいぜ隼人〜」

「あはは、全然バレー部のマネージャーも可愛い人でしょ?」

「いやいやあれに比べると結構な差でるって」


なんて些細な話を続けて教室へと戻る


「お、隼人こんなとこにいたのか探してたぞ」

「成田先生?何の用ですか?」

「いや少しお前の家庭の話をしたくてな、ここではあれだから相談室に移動するぞ、伊織はすまんが今日は隼人と昼飯は諦めてくれ」

「え?あ、はいわかりました、じゃあ隼人教室で待っとくから!!」

「ん!わかったー!」


さっきとは打って変わって無言で廊下を歩く、ぼくが何をやらかしたのか、それともぼくの母親が何かやらかしたのか、そんな事を歩いている間考え続け、頭がパンクしそうだ。


「そういや隼人昼飯は食べたのか?」

「あ、いえまだです」

「そうかなら相談室で食べると良い」

「あ、はいそうします」


さっきの様に会話が弾まない、ぼくが伊織の様に会話を振れたり膨らませることが出来たら、こんな時間は続かなかったのかもしれない。


ガラッ


「.......っ!!」

「隼人久しぶりだな元気にしていたか?」

「お父さん......?なんでここに」

「隼人のお母さんが中々電話に出なくてな、お父さんの方に電話をしたんだ」

「あのクズが授業料を払ってないって聞いてな、わざわざ有給をとって来たんだ、今あいつは何をしているんだ?隼人教えてくれ」


嫌だ...教えたくない、教えれるもんか、だって教えたら......教えたら、だってだって


「隼人、何か喋ってくれ、あのクズのことは今隼人しかわからないんだぞ」

「お父さん落ち着いてください、隼人もお父さんに会えて嬉しいんじゃないですか?」

「ん...まあそうだな、すまんな隼人少し焦りすぎたみたいだ」



足が震える。

腕が震える。


逃げないと、そう全身が告げる。



もう会えないと思っていた、いや会いたくないと思ってた、そんな人は今、今目の前に現れた。

何をしに?何のために?......わからない、わからないからこそ怖い、あの日々を思い出して逃げたくなる、あの夜から隠していたものが、自分に逃げ―――


「すみません先生久しぶりに家族で話したいので良ければ2人にしてもらえませんか?」

「あぁ確かにそうですね」


あぁダメ出ていかないで、2人に、2人にしないで


ガシッ


(待って)


そう言い小声で先生を止める


「どうしたんだ隼人、先生に迷惑だろう」

(隼人、すまない、俺には何もできないだから離してくれ)


そんな、こいつの何処にそんな権力が......


ガラッ


あぁ、もう会えないからこそ、少し父親に対して可哀想と思ってた、あの時は母親のしていたことが知らなかったから父親から逃げた、でも今はどっちのしていたこと、していることを知ってしまった。

怖い、怖い、怖い、伊織に凛さんに圭人に総一郎に、誰でも良いからこの部屋から連れ出して......



「さあ隼人久しぶりなんだ2人で話をしようじゃないか」

「......うん」

「さあ早く座れ」


このまま椅子に座れば全てが戻る気がする、あの時にあの狭い世界に戻ってしまう気がする。


ドンッ


「早く座れ」


扉に向かう足は重く動かないのに、椅子に向かう足は軽く速く動いてしまう。


椅子を引き肩をすくめながら座る、それはあの時の様に、あのリビングであった短いのに長く感じたあの時と同じだった。


「さあ隼人腹を割って話そうじゃないか」


あの日の続きが今始まってしまった。

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