山頂から麓へ
インフル絶対許さない
◆
ジリリリリリリリ......
カチッ
「もう朝か」
久しぶりに気分の良い朝を迎えたような気がする。
昨日の夜の出来事がずいぶん前の事のように感じるほど楽しいひと時だった。
でもあの時間はもう来ない......そうあの時間は
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凛
この通話は終了しました 23:33
『楽しかった!また電話しよ!!』23:34
『うん!またしよー!!』23:34
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「誘ってみるもんだな」
そうぼくは次の機会を得てしまった、まだ人生捨てたものじゃないのかもしれない。
やっぱ確率は収束するものだよなぁ
ゲームにおける確率というのはぼく的に収束するものだと思っている。
不運が続けば、後に幸運が続く、その逆もまた然りだ、それは現実でも言えることであって、これは嫌な事が起き続けたから次は良いことだらけなのでは、と思っている。
ま、ただの持論なんだけどネ
でもこれはその前触れ、いや良い事の一つ目と言える、なんならもうぼく的にはお釣りが来るぐらいの良い事ではあるが、それでも多分まだまだ良い事が起きると信じてこの先を過ごしてみよう。
「うーんそれでもまだ学校には居場所はないわけだし、部活にもなぁ......もう少しだけ学校休んでも良いよね」
今学校に行ったとしても多分また自分へと成り変わる、それは気分を上げる行動でもあるが、同時に現実への評価を下げる行動でもある。
今現実の評価が上がってるタイミングで下げることをしてしまったら良い事も良いと思えないかもしれない。
「でもこのままだと逃げてばっかだよねー」
逃げるのも自分に成るのも似たような行動だと思ってしまっている以上どちらにせよ現実の評価を下げていく一方なのではないか?
「あーもう!中々どうして上手くいかない」
考えがまとまらない以上少しリフレッシュするために別のことでもしようかな―――
プルルルルルルル......
「...?誰からだ?」
画面には担任の名前が表示されている
「担任?なんでこんな時に?」
ガチャ
「もしもし成田先生急に何のようですか?」
「あー隼人か、今家に親はいるか?」
「いないですよ」
「そうか、なら隼人これは親にも共有してほしいんだが、お前出席日数が全然足りてないんだよ」
「えーっとどのくらいですか?」
「そうだなとりあえず実技教科のある日は休んだらダメだ、それとあと休めても5日だな、これ以上休めば留年だ」
「......なるほど、わかりました連絡ありがとうございます」
「まあ明日から休まなければ留年はないからあまり重く考えすぎるんじゃないぞ」
「あーそれとだな」
「はい、何ですか」
「隼人これは親にすぐ共有して欲しいんだが、授業料が半年分しか払われてないんだよ」
「は.....?って事は退学って事ですか?」
「あーいや進級するまでに払ってくれれば大丈夫なんだが、生憎隼人のお母さん今電話に出ないんだよ、だから隼人が口頭で伝えといてくれ」
「な...なるほど、わかりました」
「まあ母親1人でお前を育ててくれてるんだ、許してやれ」
「はい、わかりました、それでは」
「あぁしっかり学校来るんだぞ」
ガチャ
悩む必要がなくなったのは良いことだよな?
でも休めなくなったって考えると辛いなぁ、今から居場所作るのは無理だよね、だってもう後二ヶ月で進級するし、まあ1人で頑張るかぁ。
それにしても授業料の件は速めに解決しないとまずいなぁ、嫌だなぁアイツと会話するの
ピロピロピロ......
「また?誰から?」
電話の画面には母親と表示されていた。
「噂をすれば何とやらってやつか」
出たくないけど出るしかないか。
ピッ
「...もしもし、なに?」
「あっ隼人ぉ?私仕事の関係で一週間ぐらい家帰れそうにないから、その間家事とかちゃんとしといてね?」
あぁそうかやっぱりもうCまで進んでるのか、電話の向こうからはいつもとは違う母親がいる。
「わかった...ねぇお母さん大丈夫?息切れすごいけど運動でもしてたの?」
「えっ!?あー運動そうそう運動してたの、だから大丈夫よ、心配しないで、じゃあ電話切るね」
ピロンッ
「キモい」
その一言しかでなかった、やっぱり知らなくていい事も多いなぁ。
「どうせゴムなんてしてないだろうな」
「もういいや朝ごはん食べる気も無くなっちゃったし」
明日から学校......それを考えるだけで嫌気が刺してきた。
休んではいけないそれはわかってるけど、人はすぐには変われない。
「でも一応......」
寝る前に制服に手を伸ばして、やっぱりやめた。
でも畳んだままにしていた昨日とは違って、
ハンガーにかけ直した。
でも行くかどうかは、まだ決めていない。




