小さい星
隼人パートが久しぶりで隼人の喋らせ方が変なのは大目に見てください
◆
時間はもう20時を回ってしまっている、結構な時間寝てしまっていたようだ。
予想通り家に母親はおらず、スマホを見ると二件のメールが来ていた。
一件は案の定母親からで、もう一件は凛さんからの返信だった。正直どちらのメールも見たくない、母親の嘘メールなんて見るだけでしんどいし、凛さんのメールもぼくの惨めさを突きつけてくる。
「はぁ……もういいや」
そう思った瞬間、スマホの画面を伏せた。
見なくても分かる。どうせ、どっちも今のぼくには重たい。
世の中じゃ、こういう言葉は弱さだとか、甘えだとか言われる。
きっと正しいんだろう。
それでも、ここまで生きてきた道を全て歩いた上で、同じことを言える人がどれだけいるんだろう。
「はぁ消えたいなぁ」
誰もいない部屋に、言葉だけが落ちた。
「……洗濯物、入れないと」
夜はもう完全に出来上がっていた。
夜空は闇はぼくの心の中のように暗く、そして深く広く広がってる。
窓の外は暗くて、それなのに――
「……星、こんなに見えてたんだ」
暗い夜空の中に、小さな光がいくつも浮かんでいる。
こんな場所でも、ちゃんと。
こんな綺麗な空と、ぼくの中を比べるのは、空に失礼だったのかもしれない。
この星々は全てぼくにとって遠い存在
今からなにをしても取れる物ではないと夜空に浮かぶ三日月に嗤われている気がした。
・・・たまに思うあの人とぼくはどう違うのだろうと
でもその結果はいつもあの人はぼくと違って汚れた心でも体もない、あの人はたくさんの光をもってる、ぼくと違って赤い線も真っ暗な闇も何にもない綺麗なものだって。
だからいつもその結果から逃れるようにぼくの場所に帰る。
ぼくの今まで生きてきた跡を綺麗に消して、自分へと成り変わり新たな跡を強く残していく...その跡が本当の生きてきた跡と勘違いさせるように......
「こう思えば惨めな生き方してきたなぁ」
何もかもから逃げて逃げて逃げてきた、その度にぼくの光も逃げて行ったのかなぁ......
「こんなんじゃ今から取れる星もないよな」
ピロピロピロ......
「電話?誰から......」
表示された名前に、目を見開く
「凛さん...?」
ピッ
『もしもし!聞こえてる!?」
『.....聞こえてるよ!どうしたの?』
『え、えーと心配でさ、隼人最近学校全然来てないし、私のこと庇ったせいで多分怪我してるでしょ?それにリスカの事も心配で...全然既読つかなかったからさ』
『あ、あーなるほどね......その事ならまあ大丈夫だよ心配しないで、それより凛さんの方が心配だよ、あんなに強く叩かれてたらあざとかできたんじゃない?』
『私の方はそこまで傷にはなってないよ、隼人の方が強く叩かれてるんだから私じゃなくて隼人ももっと自分の心配した方がいいよ!』
『あはは...そうだねー実際怪我はしてるけどそこまでだよ、リスカの方もまあ腫れてるだけって感じかなぁそこまで心配されるような事じゃないよ!ありがとね』
『そっかならいいんだけど...ねぇ隼人さ自殺とかしないよね?』
『え?しないよ自殺とか』
『本当に?』
『本当に』
『ならいいけど...』
一瞬、言葉が止まった
『もし自殺したら私許さないからね!!』
その言葉は今まで関わってきた大人のように建前の言葉ではなく、
強く、しかし少し震えてる。
そんな言葉に胸の奥がぎゅっとした。
『大丈夫だよしないからさ!!』
『...........』
『え?凛さん?泣いてる?』
『だって、隼人いつもより元気無さそうな声してるしもう学校に来ないのかなって思ったりしてさ、心配してすぎてちょっと涙出てきちゃった』
『......大丈夫、大丈夫だよ学校には絶対行くし、部活も行くし、自殺なんてしないから!!』
『わかった......ねぇ隼人が良ければなんだけど夜ご飯まだ食べてなくてさ食べ終わるまで繋いでていい?』
『全然いいよ、なんならぼくもまだだしね笑』
......光っていうのは案外近くにあったのかもしれない。
人の光で闇が濃くなるなら、
人の光で、闇が薄くなることもある。
あぁ幸せだ、友達とこんなに喋るのはいつぶりだろう、少なくとも高校に入って初めてなのは確かだ。
一日がここで終わってもいい。
この日が、記憶に残り続けるなら。
『ちょっと隼人私の話聞いてる!?』
『ごめんごめん考え事してた笑』
それはきっと、
ぼくの中に残る、小さな星になる。




