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僕らの毎日  作者: 目黒市


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幽霊のユウさんとフリーターのリオくん、を見守るフジノちゃん

『能無し巫女ですが、気づけば神霊さまに溺愛されていました』という架空の脳内小説です。

「あれは精霊でしょうか?」

「そうだな。まだ若いが精霊であるな」


 紀藤フジノがふと街角で見つけた二人組。

 二人、と言ってもそれはフジノの目にそう映るだけ。すれ違う人々の目には青年がひとり歩いているようにしか見えない。


「ミタマ様。しかし、あの方は巫女ではありません。その、私の目には男性に見えるのですが」

「うむ。ワシの目にもそう見えておるぞ」


 かくいうフジノも傍からはひとり。高校からの帰路に就く女学生としか見えていない。この辺りでも有名なお嬢様学校一文字学園の制服。

 そして彼女の隣には誰からも見えない連れの姿。長い白髪をなびかせる美丈夫。ミタマ様と呼ばれた彼はフジノに笑いかける。その顔にフジノの胸がドキリ、と動く。


「そうだな。普通、精霊やワシのような神霊は巫女とともにある。しかし女だけが巫女となれるわけではないさ。もともとは神子なのだからなぁ」

「紀藤ではそのような記録」


 フジノの家は代々続く退魔の家系である。

 代々巫女として選ばれた者が、紀藤家の持ち神であるミタマ様と契約を結ぶ。

 男が巫女を務めたという記録は紀藤家にはないし、他家でもそのようなことは聞いたことがなかった。


「うむ。しかし男であろうと問題はないのだ。そうだな。お前は歴々の巫女でも目が良いからな。ほれ、よく視て見るがいい」


 フジノの虹彩が薄紫に淡く輝く。


「えっ?」


 視えた光景に驚き、その小さい口を両手で塞ぐ。


「あの方すごい霊力を」

「だろう。とても面白い」


 ミタマが可笑しそうに笑う。


「で、ですがミタマ様」

「わかっておるさ。霊力は番となった精霊や神霊との契りを必要とする」

「は、はい」


 ミタマの言葉でフジノの顔が真っ赤に染まる。

 そもそも現在、退魔師には女性しかいない。

 それは霊力を持たない人間が悪霊と戦うために、加護を与える精霊や神霊と契りを通して霊力を体内に蓄える必要があるからだ。必然退魔師には女性が選ばれるのだ。


「どうやらあの男、フジノ以上の霊力を蓄えておるようだな」

「そ、そうですね」

「おっ、悔しいのか?」


 ミタマの顔が近づく。フジノはふいっと顔を背ける。


「お主は児戯のような契りしかせんからな」

「なっ! まだ私は学生です! そういうのはその、早いです」

「まぁ、ワシとて数千年生きてきた神だしな。数年ぐらいは喜んで待つさ。こんな児戯でも今はそれで充分さ」


 恒例となっている契りを行う。ミタマはその形の良い唇でフジノの額に口づけを落とす。

 暖かい何かがフジノの体の中に満たされていく。

 これは退魔師としてのお勤めなのです、と気を引き締めるがこの時間がフジノはとても心地よかった。

 前を歩く男も自分と同じなのだろうか。そう思ってフジノの頭に疑問が浮かんだ。


「殿方同士ですのに。あの方々はどうやって霊力を」

「どうやっても何もなぁ。男同士だって、女同士だってまぐわい方はあるものだ」

「そ、そうなのですね」


 再び、前を歩く青年に視線を送る。

 あの二人、まぐわったんだ。

 するとフジノの胸が高鳴りを覚える。

 ミタマ様と契りを交わす時に覚える気持ちとは違う。けれど同じように胸が高鳴ってドキドキする。

 同じだけれど違うこの感情はなんだろう。


「ミタマ様この気持ちは」

「ははっ、堅物巫女にとっては初めての感情であろうな」

「この気持ちを知っているのですか?」

「あぁ、知っているともワシの可愛い巫女よ」


 それはな、と言って愛おし気にフジノの頭を撫でる。


「萌え、というやつだ」

「萌え」


 現代最強の退魔師が萌えを知った日のことだった。

 読んでいただきありがとうございます。こういう当て馬系ではない女性キャラの登場は好きです。二次創作でも顔無し一般人目線は良きです。

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