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第8話「魔法少女が魔法少女じゃなかった」

第8話「魔法少女が魔法少女じゃなかった」


「ハニーチェーロくんだよね?大丈夫?」


新たな魔法少女は、腰を抜かしていた空に手を伸ばす。


「あ、ありがとう…キミは?」


空は魔法少女の手を取ると、顔に似合わない意外と大きな手に驚きはしたが、華奢な体に小さい背丈、なにより可愛らしい大きな瞳の魔法少女に心臓が跳ねるようにが高鳴った。


「ボクは“フレサティエラ”。ハニーくんと同じ魔法少女だよ」


(ボクっ娘だーーー!!かわよーーー!!)


空はフレサティエラの登場に鼻息を荒くし、心から喜んだ。


「“ティエラ”って呼んでね!」


ティエラにウインクされ、空は顔が緩みながらこくこく頷く。


ムムはというと、プラスチック容器の中でプラスチックをゼロカロリー化していた。

ゼロカロリー化で溶けた穴から、這って出てくる。


「よくもやったな!オカマ魔法少女!」


「………。マシュマロ・バインズ」


ティエラがホールケーキにフォークを刺したようなステッキを地面に向けて呟くと、ムムはマシュマロ化した地面に足がもつれて埋もれた。


「ハニーくん!今だよ!」


「へ?…お、おう!」


ティエラに促され、空はバームクーヘンステッキをムムに叩きつけようとする。

が、ムムの頭に当たったバームクーヘンは柔らかく、手応えが全くないまま弾き返される。


「え?なんで??」


空の戸惑いに、ムムは埋もれたまま演算開始し始めた。


「バカハニー!強化しないとステッキも強くならねーぞ!」


可愛らしいティエラがそう叫んだ。


「……へ?」


空はそのギャップに固まる。


「ゼロカロリー化!」


ムムはマシュマロを消し去ると、新たに数式を練り上げ始める。


「なに固まってんだ!」


ティエラは空を抱えて直ぐさま後退し、飴細工でできた壁を形成する。


「キャンディ・ウォール!」


ティエラに抱き抱えられた空は、あることに気付いた。


………ティエラちゃん、ものすんごく貧乳…。

でもそれも良し。


空を軽々と抱き抱えたにも関わらず、空はそんなことには無関心だった。

力と大きな手と貧乳を合わせると、答えが出るだろうに……。


「ハニー、またムムの動き止めるから、今度は強化してぶん殴って!」


「女の子がぶん殴るとか言っちゃダメー!」


空が泣き叫ぶように言うと、ティエラの目が瞬時に冷気を帯びる。


「ボク、男の子だけど?」


「………ひゃい??」


空がぶん殴る前に、空自身が頭をぶん殴られたような衝撃を感じた。

頭の中に煌めく銀河系が走り、お花畑が見える。





……………………。


「はっ!」


空が気付いた時には、ムムが薄紫のテディベアになって横たわっていた。


「き、記憶がない…」


ムムが妖精に戻っていると言うことは、空がバームクーヘンステッキでぶん殴ったのだろう。

ムムはそのまま薄くなり、シュガリーナに消えて帰っていった。


「ハニー、お疲れ様」


ティエラは笑って空の肩を叩いた。

が、ティエラの肩にちょこんと座っているパートナーの猫がガタガタと震えているのが気になる。


ティエラが俺に何かしたのか…?


「すごくいい連携だったね!今、スイーツ部隊が処理に来てくれるって!」


クリムが今頃顔を出す。


「おまっ!後処理頼んでねーよ!援軍!ラメールに来て欲しかったんだよ!」


「そうだったの?でも、ティエラが来てくれたから結果オーライだよね!」


悪びれなくクリムは言った。

そして、ティエラの肩で震えているクリムの色違い…黄色い猫に向き直った。


「フルンティル!久しぶり!」


「クリムお兄様〜!」


メロと再会した時のように、二人は手を取り合いくるくると宙を舞う。


「紹介するよ!僕とメロの弟の“フルンティル”だよ!」


「“ティル”って呼んでください〜」


ティルは可愛らしくお辞儀する。


「僕のパートナーの“フレサティエラ”くんです〜」


「“ティエラ”って呼んでね!ちなみに、ボク男の子だから、間違えないようにねっ!」


空は二度目の衝撃を覚えた。


え…?

こんな可愛い子が男…だと…?

でも声…高いし…事情があって男のフリしてるとか…


空がこじつけるようにそんな事を考えていると、ティエラは更に衝撃を与えてくる。


「ボク、声変わりしなかったんだ」


「ぐはぁぁぁぁぁっっ!!」


空は精神的ダメージを真正面から食らったのだった。

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