第28話「陸の盛りすぎチャレンジ!」
第28話「陸の盛りすぎチャレンジ!」
ポツポツと……暗雲から雫が落ちてきた。
甘い香りのするその雫は、体にねっとりとまとわりつく。
「シュガーシロップじゃん…」
空を含め、その場にいる全員がサッと青ざめる。
こんな雨を知っているからだ。
これは、まさしく………
「アネキーター……」
陸が橋の下で雨宿りする人物を捉える。
雨は地面に落ち、白く濁った砂糖の塊に姿を変える。
すると、アネキーターがふっとこちらを向き、ニタァと笑った。
背筋にゾクゾクと悪寒が走った。
アネキーターが魔法少女たちに姿が見えるように、橋の下から出てくる。
と、甘ったるい香りを放っていたシュガーシロップの雨が止んだ。
その瞬間、アネキーターが鋭い爪を振りかざしながら二人に突進した。
刹那、陸が空と自分の手前にステッキをかざし唱える。
「ゼリー・マレ!」
半透明な水色の壁が現れ、プルプル揺れた。
アネキーターはゼリーの中に突っ込み、抜け出そうともがいている。
まるで、沼に足を取られて身動きが取れないでいるようだった。
「ティル!」
陸が叫び、ティルはメロと連絡を取り合う。
「俺もなにか…ひぃっ!」
空は自分がなにかできないかと思考を巡らせようとした時、アネキーターの爪が少しだけゼリーから出てくるのが見えた。
「キロ・レト!」
陸が唱えるとゼリーが二倍に膨らみ、アネキーターは再びゼリーに取り込まれる。
「なんかゼリーの中泳いでるーーー!!」
アネキーターがゼリーから出ようと、手足をばたつかせている様子を見て、空は縮み上がった。
「泳いでるんじゃないよ!食べてるよ!」
アネキーターがもがく度に、ゼリーが小さくなっているのをクリムが指摘する。
「くそっ!メガ・レト!」
陸が叫ぶと、元の三倍……しかし、アネキーターが徐々に食べているため、二倍にゼリーが膨らむ。
「はぁぁ…美味しいわぁ♡爽やかなソーダ味ね〜♡」
「マジに食ってんじゃん!!」
アネキーターの言葉に、空は絶句する。
「ギガ・レト!」
陸は更にゼリーを膨らませて、ティルに催促した。
「ティル!メロと連絡は!?」
「今向かってますー!」
その時、ゼリーからにゅっとアネキーターの手が出た。
「!!ヨタ・レト!!」
陸が叫ぶと、ゼリーがさらに分厚く膨らんだ。
「これ以上は盛れない!」
「ギガとかって盛る魔法だったの!?」
空が驚くと、クリムが緊迫感のない声で聞いた。
「下から順番に盛り盛りにする単位は?」
「キロ、メガ、ギガ、テラ、ペタ、エクサ、ゼタ、ヨタ」
答えなくてもいいのに、陸は丁寧にクリムに単位を言い並べた。
「うわぁーお」
クリムが関心している間にも、アネキーターはゼリーから出ようと、目を見開いて空を見た。
(俺、見られてる!?)
カイさん、はやく来てーーーー!!
声にもならない声で、空は叫んだ。




