第27話「相合傘は恋の予感?」
第27話「相合傘は恋の予感?」
-甘さが足りない…。
魔法少女を食べた時、とても美味しかったわ…。
ああ、あの子がいたわね。
三人の魔法少女の中で一番甘そうな…
ハニーチェーロ……-
上空はどんよりして、今にも雨が降り出しそうだった。
帰り支度をし、教室から外を見上げると、どんどん黒く厚い雲が折り重なってくる。
「うわぁ、早く帰んなきゃ」
空が呟くと、陸がカバンから折りたたみ傘を取り出す。
「降ってきたら、小さいけど一緒に入る?」
その言葉に反応し、クリムが静かに語り出す。
「………その時、空の胸が高鳴った。
傘の下で触れ合う肩、片方は濡れているが、触れ合う肩は熱を帯び……」
クリムが言い終わらないうちに、空はティルに消しゴムを渡す。
「ティル、クリムの口を塞いでくれ」
「はいですー」
消しゴムを受け取ったティルは、クリムの口に突っ込んだ。
「ぶへっ、ぐへぇっ!!」
消しゴムを吐き出すクリムを他所に、「早く帰ろう」と陸の肩を叩く。
「空くん、ティルまで使うなんて、クリム耐性が上がったんじゃない?」
陸はコロコロ笑った。
「陸くん、お姉ちゃんか妹いないの?」
クリムが唐突に聞く。
「空くんってば、陸くんがドンピシャでタイプみたいだから、その遺伝子を持った子が他にいれば救われるかなーって」
「なに言ってんだコノヤロー!!」
空はクリムが吐き出した消しゴムを、再び口に突っ込んだ。
二人は暗い雲の下を、肩を並べて通学路を歩いている。
妖精二人は、手を取り合いくるくると回りながら二人の周りをうろうろしていた。
「クリムが…なんか悪いな。
俺のこと勘違いしてるみたいで……」
空はげんなりとため息をつく。
「妹ならいるけど、紹介しようか?」
「え?陸って兄ちゃんだったの!?」
陸に妹がいるのが嬉しいのか、陸のことを知れて嬉しいのか、どちらかはわからないが、空は暖かいものを胸に感じた。
そんな平和な時が音を出して崩れて行くのは、河川敷を通り過ぎたあたりだった。
「りっくん!キーターの気配がしますー!」
ティルが慌てて告げる。
「えぇ!?ここでかよ!」
「キーターはボクらのことなんか気にしてくれないからね。とにかく、変身しよう」
陸は冷静に、辺りに誰もいない事を確認する。
空は隠れられるような場所を探すが、見当たらない。
変身を終えた陸が布を取り出し、ティルと端を持って空を隠した。
「陸ー!サンキュー!!」
「でも、前しか隠せてないよ!お尻は僕が隠すね!」
そう言って、クリムは空のお尻の周りを飛び回った。
(それ、隠せてねぇし……)
しかし、人っ子ひとりいないのは確認済みだ。
仕方なく、空は変身したのだった。




