第24話「姐さん…だと…?」
第24話「姐さん…だと…?」
アニキーターとの戦闘以来、魔法少女の存在は世間に明るみになった。
そして、キーターとの戦いはクッキー兵士やプリン怪人など、緩い戦いが続いていた。
「花ちゃんが戦ってたお菓子の兵隊みたいだ」
ティエラ…いや、陸が言った。
「あの頃の兵隊よりは強いですー。なんだか、レベルを合わせてきてるような、嫌な感じがしますー」
ティルが言った。
ティルとクリムは、陸お手製のバンダナで姿を隠している。
何故なら、俺らは学校に来ているからだ。
……これでも高校生だし…。
クラスでは、魔法少女の話題で持ちきりだ。
「魔法少女の衣装の完コピ、マジカルブランドから出るんだって!」
「マジー?ハニーチェーロの欲しい〜」
……なぜ俺の衣装…?
「ティエラヴァニリィ可愛いよな!」
「属性盛りすぎじゃね?俺ならハニーチェーロのグダグダ感が守ってあげたくなるなぁ」
…………なぜ俺…?
「ラメール姐さんマジ美人!」
………………なぜラメール?いや、カイさん…?
あのムダ毛まみれが見えないのか?
腕毛、胸毛、すね毛!!
しかもガタイよくてどう見てもおっさんだろ!
「姐さんに踏まれたい〜」
…………………なんだ、ただの変態か…。
てか、みんな魔法少女を“少女”だと本気で思ってるのか…?
「テレビで見ると、みんな女の子に見えるよ!衣装って大事だね!」
衣装のおかげか。
まぁ、性別を勘違いしてくれるなら、身バレの心配はないだろうな…。
家に帰っても、魔法少女の話題で両親が盛り上がっていた。
夕飯を囲みながら、父と母は意気揚々と語る。
「うちも女の子がいたら、魔法少女とか憧れるんだろうなぁ」
「あんな可愛い服とか、着せてあげたいわねぇ」
クリムが空の袖を引っ張る。
「どの魔法少女推しか聞いてよ!」
「…………は?」
「もしかしたら、魔法少女じゃなくて僕推しかも!」
(それはない。
お前は陸お手製のバンダナで常に透明妖精だからな)
空はクリムの夢のために、黙っていることにした。
すると、不穏なニュースがテレビに流れてくる。
『野生動物でしょうか…。腹部を食べられたような遺体が発見されました』
刃物を使った形跡はなく、爪で抉られたような傷らしい。
しかし、どの動物にも共通点はなく、爪痕の形状から、人間のものであることも否定できないようだ。
だが、人間ならばこんな野生的な殺人を犯すだろうか?
しかも、腹部がなくなっている。
野生動物ならば、柔らかい腹部を食べるのは理解できる。
野生動物の専門家の見解では、『野生動物の仕業に見せた、人間の犯行』ではないか?
とのことだ。
『遺体の周りに毛や糞などがない、獲物を巣穴に持ち帰るも土で隠すなどの行動もないことから、動物である可能性は低いと思いますね』
ニュースを見ていた母は不安そうに呟く。
「近くじゃない…。最近は変質者も出るし、物騒だわ…」
空は縮こまりながら味噌汁を啜った。
(変質者は…出ないように頑張る……)
「ねぇねぇ、魔法少女で誰推しか聞いてよ!」
クリムの催促に、空は唐揚げをクリムの口に突っ込み、物理でぶん殴る魔法少女らしく、物理で口を塞いでやった。




