第21話「空、頑張る」
第21話「空、頑張る」
空が放った矢は、アニキーター目指して一直線に伸びた。
イケる……!
そう思ったのも束の間、アニキーターは飛んでくる矢を掴むと、バリバリと音を立てて飴細工でできた矢を食べはじめた。
「うめぇ!甘さが染みるぜぇ!」
「うげぇっ!あいつ食いやがった!」
空が動揺している間に、ティエラがアニキーターの懐まで急接近する。
「ティエラ!危ないっ!」
空が叫んだ時、ステッキをいつの間に竹刀へ変形させたのか、ティエラはアニキーターのみぞおち目がけて突きを放つ。
「ぐおっ!!」
アニキーターはモロに突きをくらい、立ったまま後方へ押しやられる。
が、その瞬間、アニキーターはみぞおちを抑えながら固くコーティングされたナイフ型のチョコを口から吐き出した。
ティエラは連続で攻撃を入れるべく、再度アニキーターの懐に入り竹刀を下から脇腹を狙って打ち上げた。
が、アニキーターは先程吐いたチョコナイフでティエラの竹刀を上からぶっ刺す。
ティエラの竹刀とアニキーターのナイフがぶつかり合う。
鋭いナイフに竹刀は耐えきれず、先端から裂けるように真っ二つになった。
「っ!!」
その瞬間、竹刀がステッキに戻り、ホールケーキステッキはケーキとフォークが分離。
ケーキは力無くべちゃっと地面に落ちて潰れる。
ティエラの変身も解けて、その場にうずくまるように倒れ込む。
ティルと空が叫んでティエラに駆け寄った。
「りっくん!」
「ティエラ!」
空はティエラに背を向けて、アニキーターに向かって弓を構えた。
(射っても、また食われる…!)
空は手が震え、じっとりとした脂汗が背筋を伝った。
「ティル…」
空がアニキーターと睨み合っていると、ティエラは呟くように声をかけ、ホールケーキステッキと分離した銀のフォークを手でしっかりと握りしめた。
「魔法少女って、また契約できる?」
空の背中越しにアニキーターを睨みつけるティエラの目は、新たな憎しみを含んでいた。
「できますー!」
ティルも呼応するように、力強く頷く。
「あいつ、花ちゃんのステッキを壊したんだ」
「ティルも見てました!」
「でも、花ちゃんのフォークはまだ生きてる…!」
「花ちゃんはまだ生きてますー!」
「うん、花ちゃんはまだ生きてる……!!………………だから!!!」
アニキーターがマリトッツォを複数召喚すると、空めがけて投げつけてきた。
「大サービス!チョコソース付きだぜぇ!」
「うわぁぁ!!」
迫り来るマリトッツォに、空はしゃがみ込んで避ける。
「無理ぃぃぃ!!ティエラ、逃げろー!!」
しかし、ティエラは反対に立ち上がる。
「…………ムカつく」
ギンッと向かってくるマリトッツォを睨みつける。
「……ムカつく!……ムカつくーー!!花ちゃんのステッキ返せーーーー!!!」
ホールケーキステッキの名残りのフォークを、飛んでくるマリトッツォにティエラは突き刺した。
マリトッツォとフォークが共鳴する。
「バニラ・ヴァニリィ・ロックオンですー!」
ティルの叫びにティエラは叫び返した。
「バニラ・ヴァニリィ・ロックオン!!」
すると、マリトッツォがひらひらと布状になり、光と布がティエラを包み込んだ。




