第16話「フレサフロールとフレサティエラ」
第16話「フレサフロールとフレサティエラ」
ボクの名前は妃乃 陸。
魔法少女“フレサティエラ”として、相棒の“ティル”と一緒に“キーター”と戦ってる。
元々、ティルはボクの相棒じゃなかった。
と言うか、ボクは元々魔法少女じゃなかった。
魔法少女だったのは隣の家の“茂野 花”ちゃん。
二つ上のお姉さんだった。
ボクが物心ついた時からすでに仲が良くて、幼い頃から「大きくなったら結婚しようね」って約束した仲だった。
今でも覚えてる。
魔法少女として戦う花ちゃんは可愛くてかっこよくて、ボクにとって憧れの存在だった。
キーターはその頃、直接出てくることはなくて、お菓子の兵隊で町を荒らした。
だから、お菓子の兵隊がキーターなんだと、ボクは思ってた。
キーターが出ると、花ちゃんのお母さんのタイカさん、たまにお父さんのカイさんも同行した。
花ちゃんはまだ小学生だったし、ボクは幼稚園児だったから。
ボクが小学生になってから、お母さんに頼んで剣道を始めた。
ボクが竹刀で、花ちゃんがステッキでキーターを叩いた。
花ちゃんとボクがいれば、キーターなんて敵じゃない。
そんな日々が4年か5年くらい続いた。
だけど、ある日変なキーターが現れた。
お菓子の兵隊じゃない、人間みたいなお姉さん。
“アネキーター”とお姉さんは名乗った。
でも、ボクと花ちゃんで簡単に倒せると思ってた。
その日も、タイカさんと一緒だった。
いつものように、簡単に…
そうなるはずだったのに、
アネキーターは速くて…
花ちゃんの魔法も当たらなくて、
ティルとタイカさんで作戦を立てて、ボクがアネキーターと話してる間に、花ちゃんがステッキで後ろから叩こうってなった。
みんな、アネキーターを甘くみてたんだ。
本物のキーターは初めてだったから。
ボクは作戦通り、アネキーターに話しかけた。
アネキーターはボクに視線を合わせてしゃがんだ。
その隙に、花ちゃんはステッキをいっぱいいっぱい振りかざして、アネキーターの後頭部を叩こうとした。
その時、いきなりアネキーターが花ちゃんを振り返ったんだ。
ボクは何が起きたかわからなかった。
記憶にあるのは、血まみれの花ちゃんを庇うように抱きしめた、これまた血まみれのタイカさん。
カイさんが来てくれたけど、アネキーターは一言「甘くて美味しかった」と言って、血まみれの爪を血まみれの口元で舐めていなくなった。
当時、花ちゃんは12歳。
ボクは10歳だった。
ボクは花ちゃんの使ってたステッキを手に、ティルに頼んだ。
“ボクを魔法少女にして!花ちゃんの仇を打つんだ!”
ティルは頷いてくれた。
花ちゃん…“フレサフロール”を次いで、ボクは“フレサティエラ”になった。
ボクが花ちゃんから継いだのは、“フレサ”の名前と、衣装とステッキ。
そして、相棒のティル。
ボクは、今でも花ちゃんと一緒に戦ってる。




