表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/34

第15話「男の娘なのに、剣道部だってよ…」

第15話「男の娘なのに、剣道部だってよ…」


妖精たちの案内で辿り着いたのは、墓地だった。


とある墓石に腰掛ける、傘をさした女性が一人。

サラサラの色素の薄い髪ミディアムヘアで、少し日に焼けた一世代昔のギャル風だ。

クロップド丈のタンクトップに、タイトなデニムのミニスカート。ヒールの高いミュールに、ヘソピアスが光を反射する。


甘い雨が降り積もり、地面も墓石も砂糖で白く濁っている。

女性の持つ傘にも、砂糖の塊ができていた。


「………アネキーター…」


ラメールは身体全体から湯気が出るかと思うほど、怒りを顕にした。


と同時に、意外にも飛び出して行ったのはティエラだ。

何かブツブツ呪文を漏らしながら、ステッキを竹刀の形に形成すると、アネキーター目掛けて突きを放つ。


アネキーターは飛び上がり、体を捻って後ろへ一回転すると、濡れた砂糖でべちゃっとした地面に着地した。


「陸、ここでやり過ぎんな」


「だって、あいつ!タイカさんと花ちゃんの墓石に座ってた!」


ティエラらしくなく、怒りを顕にする姿に、空は心臓が落ち着かない。


「てか、ティエラって普通に強い…?」


ムムとの戦闘では魔法を駆使し、ザ・魔法少女という印象が強かった。


「りっくんは剣道部なんですよー」


ティルの説明に、「え………似合わねぇ…」と、空はティエラを凝視する。


「うふふ」


アネキーターが薄ら笑顔を浮かべた。


「なぁんだ、女の子じゃないのね。つまんなぁい」


大きな輪のピアスが揺れる。


「ん…!?ティエラを男だって見破った!?俺は騙されたのに!」


「空くん、そこ論点じゃないよ!」


クリムの指摘に腹が立つ。


アネキーターはそれを聞いてか否か、くすくす笑うと空に向かって舌なめずりする。


「まぁ…そこの可愛い子で我慢したげるわ」


「え?俺!?」


アネキーターが一歩、空に近寄る。


「いや、俺よりティエラの方が可愛いし!」


アネキーターがまた一歩、空に近寄る。


ジャリジャリと、雨が止んで乾いてきた砂糖の上を踏みしめながら、アネキーターは空の顎を爪の長い指で引き寄せた。


「ハニーチェーロ…。ハチミツなのね。好きよ、優しい甘さが…」


「………!!」


怖さと言うより、アネキーターの色気が空の頭を麻痺させる。


すると、何かを察したようにアネキーターは空を離し、突然飛び上がった。

と同時に銃声が鳴り響き、空の目の前を何かが走り抜ける。


(ひぃぃっ!ピストル!?)


空は声にならない悲鳴をあげると、その場に座り込んだ。

砂糖でベタベタする。

遠くからラメールの舌打ちが聞こえた。


アネキーターが着地すると同時に、ティルが叫ぶ。


「マシュマロ・バインズ!」


地面がボコボコとマシュマロ化し、アネキーターの動きを封じるかと思われたが、アネキーターのミュールから火が出て、たちまち焼きマシュマロになり、マシュマロは溶けていく。


「新しい“フレサ”ちゃんは酸っぱいわねぇ」


アネキーターは何事もなかったように、地面に降り立った。


「ハニーくん、聞いて欲しいですー」


ティルがふわふわと飛んでくる。


「あのアネキーターこそが、カイさんの奥さん、大華(タイカ)さんと花ちゃんを食べちゃったキーターなんです」


「食べっ……!??」


ティルの告白に、空は唖然とする。


すると、たちまち色っぽいお姉さんに見えていたアネキーターが、得体の知れない人ならざるものに感じはじめ、空は背筋が凍るような感覚に襲われたのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ