第14話「色々ずるい…」
第14話「色々ずるい…」
ティエラが部屋の窓を閉めようとした時、甘い香りが鼻を突く。
「これ、雨じゃない。キーターの仕業だ」
雨を一粒指で受け止めると、それはシュガーシロップだった。
「大変だ!みんな、変身だよ!」
クリムが変身を促すと、ラメールは立ち上がり後ろを向く。
ラメールの頭が光のモザイクで覆われるのを見て、空はあわてた。
「おっさんの裸なんか見たくねーー!!」
見たくなくても視界に入る。
ラメールの着物が弾け、光と共に魔法少女の衣装を形成していく。
鍛えられた背中に彫られた錦鯉が存在感を放つ。
(そうだ、ティエラも全裸になるんじゃ…)
空の視線が無意識にティエラに集中する。
と、ティエラはステッキを振りかざして叫んだ。
「フレサティック・ベンディシオン!」
すると、ステッキが布のように広がり、フレサの周りを取り囲んだ。
「ええ!何それ!全裸にならないなんて反則じゃん!」
「わぁ、よかった!空くんは全裸が好きなんだね!」
クリムの発言に、「そんなわけねぇよ!」と返す空に、変身後のティエラが冷たく言い放つ。
「ハニーくんも早く変身しなよ。全裸でも気にしないから」
「気にするー!」
駄々っ子のように仰向けになって手足をジタバタ動かす空の顔を跨いで、ラメールがタバコを吹かした。
「とっとと変身しちまえよ、漢らしくねぇぞ?」
「う……ひゃい……」
モロにラメールの下着を見て、空は吐き気を催しながらゆっくり起き上がる。
「ト、トイレ借ります…」
そう言って、変身するために部屋を出て行く空。
「クリムお兄様、変身呪文教えてあげてないのだわ?」
「うん。ハニーチェーロの呪文、忘れちゃったし!」
メロとクリムの会話をもし空が聞いていたら、クリムに殺意を覚えたかもしれない。
「ラメールも呪文使わないんだね!」
クリムの問いにラメールは
「そんなもん必要ねぇよ。変身できりゃなんでもいいんだ」
と、漢らしい一言が返ってきた。
変身を終えた三人は、黒塗り高級車に乗ってキーターがいるであろう場所へ向かう。
「こっちから気配がするのよ」
「もう少しですー」
「二人とも、キーターの居場所が分かるの?すごいね!」
妖精たちが道案内しているが、明らかに一人、役立ずがいる。
「クリム、お前王子なんだろ…?」
「王子だよ!王太子だよ!」
「うあ…マジかよ。シュガリーナ死んだな」
空はクリムが王位を継いだら、キーターに壊されるより早くシュガリーナが滅ぶ予感がした。




