第10話「非日常がすぎる」
第10話「非日常がすぎる」
「ボクの家おいでよ」
とのティエラの誘いに、空は有頂天になっていた。
「いや、あいつは男だから!同じ境遇の友達ができて嬉しいだけ!」
「空くん大丈夫?挙動不審だよ!」
そんな空の周りを、クリムは心配そうに飛び回った。
空はティエラの家の前まで来ると、お隣さんが黒い塀に囲まれた、まるで要塞のような建物に口を開けて立ち尽くす。
「ハニーくん、どうしましたかー?」
その時、ティルが上からふわっと現れた。
ティルが現れた先を見ると、黒い塀の隣の家の2階の窓からティエラが手を振っている。
そして、更に驚くことに、メロが黒い塀を飛び越えて飛んできたのだ。
「クリムお兄様にハニー様!」
メロはワンピースの裾を持って挨拶する。
「ごきげんようなのよ」
「メロ、ごきげんよう!」
「ご、ごきげんよう……」
元気に挨拶を返すクリムとは裏腹に、空は黒い塀を眺めた。
メロがここから出てきたと言うことは…
(ラメールの家なんだ…。黒光りでこえぇぇよぉぉ)
魔法少女の存在より、非日常に感じるラメールの存在感…。
空は内心、関わりたくなかった。
2階の窓から、ティエラがメロに話し掛ける。
「今日はカイさんいるのー?」
「いるのだわ!今日はお休みの日なのよ」
「それじゃあ、ハニーくんとお家行っていい?」
「もちろんなのよ!」
やり取りを聞いた空は血の気が一気に引く。
(ラメールん家行くの!?こんな黒光りのヤーさんの巣に!?
監禁されるかもーー!!?)
空の妄想が広がる。
『「俺のシマに勝手に上がり込んでんじゃねぇよ、このドブネズミ野郎」
ラメールはタバコを吹かし、拳銃を空の額に当てる。
「生かしちゃ帰せねぇ。縄張りに勝手に入ってきたのはお前さんだぜ?」
カチリ、と鳴る拳銃。
その瞬間、空の額には赤い鮮血を吹き出しながら穴が開く……』
(監禁どころか命がヤバいぃぃぃぃ!!)
「ハニーくん、行こっか」
いつの間にか降りてきたのか、ティエラが玄関から出てきた。
「!!??」
その姿に空は動きを止める。
私服のティエラは、プリーツスカートにパーカーと言う、ラフながらもカジュアルな可愛らしさが……
「ってか、なんでスカート!?」
普通に女子じゃん!
ティエラはやっぱ女子なんじゃ…!
「私服なんだから、好きな服着ていいだろ」
ティエラはぷくっと頬を膨らませる。
「待って、脳内爆発する!」
ティエラたちは、そんな空を無視して黒光りする門のインターホンを押していた。
「うわぁぁぁ!!!もう訳わかんねぇーー!!」




