第66話 誕プレ大作戦 悠可編 #悠可視点
今日わたしは、横浜に大地さんへの誕生日を買いに来ています。
久しぶりの女子だけのお出かけだったので、準備のときからわくわくが止まりませんでした!
横浜駅には、アイドルとしてのデビュー前に二度ほど来たことがあります。
相変わらず人が多くて、まさに大都会!って感じです。
一応、身バレしないように帽子とマスクで変装しています。
イマドキはマスクの人も多いので、ちゃんと溶け込めてるはずっ!
楓乃姉さま、シルヴァちゃんと一緒に電車を乗り継いで来たけど、今は別々に、大地さんへの誕生日プレゼントを選んでいるところです。
最初の段階では、みんなで相談して一つの物を贈ろうとしていたのですが、話し合っているうちに『誰が一番喜ばれるプレゼントができるか勝負!』ってことになり、こうして各自で買い物をする形になりました。
まるでチャンピ〇ンズリーグの組み合わせ抽選会みたいで、ドキドキしちゃいますよね!
お二人は、どんなものを贈るのかな?
自分たちのサッカーを貫くことも大切ですが、敵を知り戦略を立てるということも、勝利のためには大事ですよね!
と、いうわけで。
わたしはひとまずシルヴァちゃんの尾行をすることにしました!
自分の目的地へ一直線……と、見せかけて。
回れ右して人混みに紛れ、目立つ銀髪美女の後姿を追います。
なぜ、シルヴァちゃんを選んだのかと言うと。
シルヴァちゃん、前日からすっごく怪しい感じで、大きな荷物を準備していたからです。あれはかなり、気合の入った物を贈るつもりです!
今日も何度か「なに入ってるの!?」とアプローチしたけど、絶対中身を教えてくれませんでした。
わたしの予想では、前日にこっそり大地さんの部屋から持ち出していたリクルートスーツじゃないかって思っています(犯行現場、目撃しました!)。
だってシルヴァちゃん、部屋で嬉しそうにジャケットを抱きしめていましたから。
あれは絶対、スーハーしてますね!
でもシルヴァちゃん、普段はしっかり者で、年下なのにすっごく頼りになります。
わたしが一タレントとして自分だけで色々とやっていかなくちゃならない状況で、知っている限りの知識やコネを教えていただきました。
いつもはしっかりしている分、たまに甘えん坊になっちゃうんだよねって、勝手に考えています。
なんにせよ、シルヴァちゃんカワイイな!
「……やっぱり! そういうことかっ」
シルヴァちゃんの健気さにわたしがもきゅもきゅしていると、当の本人は男性用スーツのお店に入っていった。
対応した店員さんが、シルヴァちゃんの大きなカバンから――スーツが出てきてビックリしている。わたしの予想、大正解!
シルヴァちゃんは、スーツを贈ろうとしているみたい。
前にシルヴァちゃんは『大地のスーツ、もっといいのにした方がよくない?』って言ってたもんな。本当、優しいなぁ!
「……よし、わたしもそろそろ自分の贈り物、探さないと」
真剣にスーツを選んでいる様子のシルヴァちゃんの横顔を見て、わたしもいよいよ自分のプレゼントを吟味しに行く。
なにを贈るか、覚悟は決まりました!
わたしは今回、自分が大好きなもの――サッカーグッズの詰め合わせを贈ろうと思います。
大地さんの随所での言動を聞く限り、たぶん中々のサッカー好きなはず。
だって、わたしがパジャマでサッカーチームのユニフォームを着ていると『わ! 中田いたときのローマのユニフォーム、似合うね!』って、だいたいチーム名を当てて褒めてくれるし。
というわけで、チャンネルメンバーのみんなでフットサルをする!という野望へ向けての第一歩として、大地さんの誕生日を盛大に祝っちゃおうと思います!
お買い物のあとは、三人でお洋服を見て、シルヴァちゃんオススメのホラー映画を観て、カフェでお茶して公園を散歩して帰ります。
本当に、楓乃姉さま、シルヴァちゃんとの時間が尊すぎて、ニヤニヤしっぱなしです!
そしてなにより、大地さんがプレゼントを喜んでくれる顔を想像しただけで、嬉しいような恥ずかしいような、胸の奥がきゅんとした感じになります。
たくさんたくさん、皆さんには幸せをもらっているので、これからもどんどん、みんなの誕生日をお祝いできたらいいなって思っています!
この作品をお読みいただき、ありがとうございます。
皆さんの応援が励みになっております!
ありがとうございます!!




