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第46話 ツッチー、OPAを観測す


「「「「「かんぱぁーーい」」」」」


 週末のお昼。

 我らが4LDKの拠点には、宴をはじめる声が響いていた。

 いつものメンバーに加えて、今日はゲストが一名いる。


 無事に退院し、新しいチャンネルメンバーとなる土田つちだ紗香さやかさん、通称ツッチーさんである。


「ツッチー! 今日はアンタが主役なんだから、じゃんじゃん飲みなさいよねっ! アタシは飲めないけど!!」

「シルヴァを差し置いて申し訳ないけど……じゃんじゃん飲むわね!」


 肩を並べて座るシルヴァちゃんと、子供同士で悪だくみするみたいに、グ、と親指を立て合う姿が微笑ましい。

 ツッチーさんの顔色を見ると、血色が良く肌ツヤも活き活きして、眼の下の暗黒のクマもかなり薄くなっている。もはや溢れ出る美人オーラがとめどない。


 こう言ってはなんだが、たぶん倒れる前より健康的になっている感じだ。

 本人も「点滴、さらに栄養バランスの考えられた病院食と、寝るべき時間に寝れた私は健康そのもの。三日寝ないで働ける」と言っていたし。いややめろ。

 その後も「退院前にニンニク注射もぶち込んでやりました! これで一週間は不眠不休でいけます!」とナゾのドヤ顔をしていたっけ。だからやめろ。てかそんなに効くの、ニンニク注射?


「今日はアタシのマネージャー、ツッチーのための会だから、全部アタシが面倒みるからねっ! 大地、楓乃、悠可も遠慮しないで楽しみなさいっ!! アタシは飲めないけどねっ!!」

「「「あざますっ!」」」


 そう、今日はシルヴァちゃんが中心になって計画した、ツッチーさんの快気祝いと、チャンネル加入を祝う会なのだった。

 こんなにおめでたい日なのだから、昼から飲んじゃっても、いいよね!


 ……というか俺ら、なにかにつけては酒飲んでる気がするなぁ。


◇◇◇


「それにしても、今んとこは誰が一番優勢なんですか? シン・カノ争い」

「「「え?」」」


 と。

 そこそこに酔っぱらってきたタイミングで、ツッチーさんがグラスを傾けながら何気なく言った。

 女性陣全員が、固まる。俺も固まる。


「どう……なんでしょう。ね?」

「どうかしら……ねぇ?」

「どうなんですかねっ!?」


 楓乃さん、シルヴァちゃん、悠可ちゃんの視線が俺に集まる。こんなに美しく可愛らしい顔面を持つお三方に同時に見つめられるなんて、マジで俺きゅん死しちゃう。


「ふむふむ、今の皆さんの反応でなんとなく察しはつきました。それじゃここは皆さんのために、私が一肌脱ぎましょう。どれどれ……」


 と、なぜかツッチーさんは羽織っていた上着を脱ぎ、Tシャツ一枚になる。

 おぉ……! 今まで全然気づかなかったけど、ツッチーさん、なかなか立派なOPAをお持ちですこと……!


「マネジメント業が長いこの私、ツッチーこと土田紗香が、ここにおわす美女三名のスペックを明らかにし、大地さんに正確な情報をお伝えして差し上げましょう。それを少しでも、今後のお役に立てていただければと思います」

「「「え?」」」

「大丈夫、安心してお任せください。私、こう見えても女性のおっぱいは一揉みするだけでカップ数を当てるという特技を持っていますので。先っちょだけ、ね?」

「「「え?」」」


 などとわけわからんことを言い、手をわしわししはじめるツッチーさん。

 おいこら、おふざけがすぎるぞ! 女の子のOPAをお揉みになり、そのカップ数を言い当てるだなんて、なんてけしからん特技をお持ちなんだ!

 俺はそんなこと絶対できないから、きっと握力がなくなるまでたくさんたくさんお揉みにならないとわからない! わからなくてもいっそいい! むしろタッチだけでも! 先っちょだけでも!!

 ……すいません、取り乱しました。


「では、シルヴァから。どれどれ」

「あ、ちょ、ツッチーやめっ…………んぁ!」


 と、言うが早いかツッチーさんは隣のシルヴァちゃんヘと、その魔の手を伸ばした。

 無防備なパーカーの襟から、一気に胸元へと片手を突っ込み、そして容赦なくOPAをもみんもみん。シルヴァちゃんも抵抗しようと身をよじるが、ツッチーさんの力が強いのか、はたまた揉み方が()()過ぎるのか、さしたる抵抗もできずに終わる。


 ずぼ、と勝ち誇ったように手を抜き出すツッチーさん。手に残る感触を確かめるように、中空で手をもみんみもん動かす。サイズを確認しているのだろうか。これこそまさにエアOPA揉みである。なんのこっちゃ。


「はぁ……はぁ……」

「シルヴァは……Fカップですね。どちらかと言えばふわふわ系の揉み心地です。先っぽはかなり敏感で、ちょっと触れただけで声が出ちゃう始末です」

「ちょっ、ツッチー! なな、なに言ってんだっつの!!」


 今し方のエアOPA揉みから得られた情報を、淡々と羅列するツッチーさん。

 ふむ、ここは俺もツッチーさんにならって淡々と頭の中にメモしようではないか。Fカップ……ふわふわ……先っぽが敏感……ダメだ、下半身への激しい血流を止められねえ。


「じゃあ次は……楓乃さん」

「ひゃ!?」


 忍者のような動きで、瞬時に楓乃さんの背後を取るツッチーさん。

 あれこの人、まさかダンジョン外でスキル使ってる? いやいや、まさかね。


「どれどれ、お手並み拝見……」

「ツッチーさ……ぁんっ! そ、そんないき、なり……ダメっ」


 ツッチーさんは楓乃さんのシャツの下から器用に腕を侵入させ、片手で楓乃さんのOPAをもみんもみんした。な、なんという早業……!

 もはやツッチーさんにとってアレは、たしなみでありたわむれのようなものなのかもしれない……!


 だって余裕綽々《よゆうしゃくしゃく》な態度で、揉んでる最中にもう片方の手に持ったワインを飲んでいらっしゃるんだもの! 楓乃さんのOPAは酒のツマミか!? 俺もツマミにしてみてぇぇぇ!!


 ……お、恐るべし猛将、土田紗香……!!


「はぁ……はぁ……」

「楓乃さんは……Dカップですね。大きさはシルヴァが上ですが、ハリとコシがあって上向きで形が美しいので、実際より大きく見えるタイプのおっぱいです。揉み心地はしっかり目で、揉めば揉むほど手に馴染んでくるので男を病みつきにさせますね。こちらも負けず劣らず敏感で、触れる前からもうビンビンでした」

「い、言わなくていいですからっ!!」


 またも淡々と情報を羅列するツッチーさん。対して楓乃さん、顔がシャ〇ザクぐらい真っ赤である。

 くそう、ツッチーさんに負けていられない。俺もOPA観測隊隊長(いつなった?)としての意地を見せなければ。


 楓乃さんのOPA情報を、頭の中にメモしていく。

 Dカップ……ハリコシ……揉めば揉むほど……ダメだ、さらに下半身へ激しく血が流れ込んでいく。


「では最後に……悠可さん」

「は、はいっ! よろしくお願いしますっ!」

「ふむ、覚悟はできているようですね。よろしい」


 くい、と一息でグラスのワインを飲みほしたツッチーさんは、最後の標的となった悠可ちゃんへと、両手をわしわしさせながら近づいていく。

 ドキドキしているのか、悠可ちゃんの頬はすでに上気している。


 あぁ、ついに悠可ちゃんまでツッチーさんの毒牙に……生きて帰って来てね!!

 ちなみに『毒牙って思ってんなら止めてやれや』とか、野暮なことは言わないでね? 男同士の約束だぞ?


「どれどれ、お手並み拝見……」

「…………っ!」

「ふむ……これはいかがか……」

「っ…………ふっ……っ……んぅ……っ!」


 ツッチーさんは悠可ちゃんの背後から腕を回すように、遠慮なく両手をサッカーユニフォームの中へと突っ込んだ。そしてその慎ましやかなOPAを、もみんもみんと揉みしだいた。

 口元を強く引き結び、必死になにかに耐えている悠可ちゃん。頬がさらに赤くなり、瞳には潤いが増してきている。


「はぁ……はぁ……」

「悠可さんは、Bカップですね。決して大きくはありませんが、形がキレイで肌もきめ細かいので、とにかく手に馴染みます。本当にマシュマロのような触り心地ですね。感度は……まぁ、ご想像にお任せします」

「わ、わたしちょっとお手洗いに行ってきますねっ! き、気にせずご歓談くださいっ!!」


 と、俺がツッチーさんからもたらされた悠可ちゃんのOPA情報をメモすべく身構えていると、悠可ちゃんはいそいそと席を立ち、リビングを出て行った。

 いかん、これはさすがに悪ふざけしすぎただろうか……?


「京田さん。ちょっと」

「え? あ、はい」


 俺が心配になり、悠可ちゃんの後を追おうとしたタイミングで。

 主犯格のツッチーさんが、手招きをした。


「悠可さんなら大丈夫です。はじめての経験で、少し驚いているだけだと思います」

「は、はじめて? なにがですか?」

「ああいう、えっちなこと」

「ぶほぇ?!」


 俺は思わず、咳き込む。


「感度はたぶん、悠可ちゃんが一番ですよ。お手洗いに行ったのはおそらく……そういうことです」

「げふぉぇ!?」

「京田さんがお望みでしたら、まだ続けますが?」

「すいません許してくださいもう勘弁してください」


 耳元でささやくツッチーさんに、俺は敗北宣言をする。

 もはやリビングには、みだらに服のはだけた楓乃さんとシルヴァちゃんが、息を切らして横たわっている。聞こえる息遣いが、もうエんロいのなんの。

 

 俺のような凡人に、これ以上こんな状況が耐えられるわけがない。

 もうギチギチで、俺がトイレに立てこもりたい気分です……。


「ふぅ、これから楽しくなりそうですね」

「俺は耐えられるか自信ないです……」


 達成感を漂わせるツッチーさんに対して。

 ただただ、お辞儀するように縮こまるしかない、俺なのだった。



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