表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/107

第37.5話 アイドルの日記#1(悠可視点)

※悠可の心情を知りたい方はお読みください。


 久しぶりに、日記を書きます。

 お仕事が忙しくなった三年前ぐらいから、睡眠時間を優先してしまって書けていなかったけれど、最近は書かずにはいられないことがたくさんあり、こうしてノートを広げています。


 まずはじめに。

 わたし、白金しろがね悠可ゆうかは、所属していた芸能事務所『サーチングプロダクション』を辞めました。

 恐れ多くもスカウトをしていただき、芸能という仕事の基礎とノウハウを教えてくださった事務所には、感謝しかありません。一人の大人として成人し、社会でやってこられたのはひとえに、事務所の方々の支えがあったからだと思っています。


 ……ただ、デビューからずっと世話になっていたマネージャーの灰村はいむら千紗都ちさとさんが突然クビになったことだけは、未だに心の奥に引っかかっています。とにかく悲しくて、少しお仕事が嫌になりました。


 そんな暗い気持ちがわだかまっていたとき、レギュラー番組の企画でダンジョン配信を行いました。わたしは自分の機嫌でお仕事をしてはいけない、と千紗都さんに教えられてきたので、できる限り笑顔でがんばろうと、配信を行いました。


 結果……どハマりしてしまいました。


 千紗都さんがいなくなってから、わたしはいつも不安と疑心暗鬼に苦しんでいました。これで大丈夫なのかな、わたしはこれでいいのかな、って。


 でもそんなわたしを、ダンジョンはありのまま受け止めてくれました。

 不安で、自信もなくて、どうしたらいいかわからない流されるだけのわたしなのに……ダンジョン配信は、上手く、楽しくできたんです。


 というかむしろ、ありのままの取り繕っていないわたしの方が、観てくれる人たちは喜んでくれているみたいでした。不安を声に出して、叫びたいときには叫んで、立ち止まってしまいそうになったら、無理せず気持ちのまま歩みを止めてもいい。


 そんな、あるがままの自分で行えるダンジョン配信に、わたしはのめり込んでいきました。父の影響でずっと大好きなサッカーと同じくらいに。


 わたしはなにごともコツコツやっていくのが好きなので、配信をしないときでも、日々ダンジョンに潜って色んなことを試したり、練習したりしました。そうしたらスキルもたくさん覚えて、探索も配信の見せ方もどんどん上達して、それもすごく楽しくて。

 時間があるときは、他のSeekTuber(シーチューバー)の方の動画を見て、勉強、分析などをするようにしました。本当に、ダンジョン配信は奥が深いなと、しみじみ感じていました。


 そんなときです、“あの人”に出会ったのは。

 彼――『新卒メット』という呼び名を持つスーツの似合う男性は、ダンジョン内でもかなりの危険度とされる巨大な地竜を、あろうことか素手でぶん投げたんです!


 ズキューーーーーーン、と胸を撃ち抜かれたような気持ちになりました。

 それはまるで、はじめてロベカルのフリーキックを見たときのような衝撃でした……っ!


 一度でいいから、会って話をしてみたい。色んなことを、聞いてみたい。


 気がつくとわたしは、毎日毎日『新卒メット』さんのことを考えながら、ダンジョン探索を行うようになっていました。完全に、いわゆる“推し”というものになっていたんです。


 そして、ある日。

 なんと偶然、悪夢級ナイトメアダンジョンで、ご本人様とお会いすることができたのです!!


 その夜はもう嬉しくて嬉しくて、スクワットがはかどりすぎました……。あ、わたしは落ち着かなくなるとスクワットをするクセがあります。

 ちょうど事務所を辞めるための話し合いが進み、自分の将来への不安が大きくなっていたタイミングだったので、自分の選択は間違っていないって、神様が背中を押してくれているような気持ちになれました。


 退所後には、配信者としてはじめてのコラボも実現して、わたしは一個人として一歩を踏み出すことができました。

 さらに、コラボをきっかけに『新卒メット』さんのチャンネルの方々と親交を深めることができ、一緒にチャンネルをやっていけることになりました。美人で優しいお姉さんの山下楓乃さんと、しっかり者で配信者として大先輩の紅坂シルヴァちゃんです。

 本当に、不安で眠れなかった日々が嘘のようでした。


 そこでわたしは、前から憧れていた『ルームシェア』みたいなことをしてみたいと思い、皆さんに提案しました。聞いてもらえるか不安だったけど、わたしみたいな新参者の意見もすぐに受け入れてくれて、全員で同じ屋根の下、暮らせることになったのです。


 本当に、夢みたいなことが次々に起こっているんです。

 この幸せな気持ちを覚えておきたくて、今わたしは日記を書いています。


 先ほどまで、引越したばかりの新しいおうちで、楓乃さん、シルヴァさんと三人で、家の広いお風呂に入りました。広いとは言え三人同時に入ると少し狭かったですが、その分、お互いの距離が近くなって、すっごく楽しかったです。


「シルヴァちゃんっ、え、すっごいおっぱい大きいんだねっ!」

「ちょ、さわん、あっ……ば、どこ触って……んっ!」


 シルヴァちゃんのお胸がすごく大きくて、それでいて綺麗でポワポワして雲みたいだったので、思わずわたしはモミモミしてしまいました!


「えぇっ、楓乃お姉さまも負けてませんねっ! 失礼しますっ!!」

「こ、こら悠可ちゃ、んっ! そ、そこはダ……んぁ!」


 負けじと、敬愛する楓乃姉さまのおっぱいも形がよく、しっかりとボリュームがあり美しい果実のようでしたので、思わずポニポニしてしまいました!


「ここですか? ここが気持ちいいんですかっ?」

「そこ、は……ダ、ダメ……ッ!」「よ、よくなんか……ないし……んぁっ!!」


 両手をふんだんに使い、シルヴァちゃんと楓乃さんのお胸を、同時に激しく揉みしだきモミモミポニポニしました!

 お二人ともどんどん息遣いが荒くなって熱気を帯びていったので、わたしも負けじとスタジアム最前線のような気持ちで、さらに激しく手を動かしました!


「「はぁ……はぁ……」」

「いやぁ、女の子同士でお風呂って、すっごく楽しいですねっ!!」

「「明日からは別々ね?」」


 すごく楽しかったのですが、なぜかお二人は今後は一緒に入ってくれないみたいです。わたしの何倍ものぼせているみたいな感じになっていたので、そのせいでしょうか?


「わたし、これからが楽しみで仕方ありませんっ!」


 お風呂上りには、一緒に鏡の前で髪を乾かしたりして、姉と妹が同時にできたみたいでした。もう、わたしは嬉しくてニヤニヤが止まりません。本当に、これからの日々が楽しみで仕方ないんです。


 だって――はじめての恋も、一緒にやってきたんだから。

 こんなわたしのこれからを、どんどん発信していけたらいいな。


 また書きたいことが溜まったら、こうして日記を書こうと思います。

 それじゃまたね、今日の自分。


 おやすみなさい。



この作品をお読みいただき、ありがとうございます。

皆さんの応援が励みになっております!

ありがとうございます!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ