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陽の当たる場所  作者: 十司新奈
第一章
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第一章第六節

今回でやっと懇親会の章が終わりです。次回からは新人研修に入ります。今回はちょっと短いので登場人物紹介を近く書こうと思ってます。これから登場人物も増えると思うので。あと更新は多分止まらない…かもしれないです。とりあえず書ける時には書いていきます。

 懇親会の片づけが終わったころにはすっかり辺りは暗くなっていた。灰色の『団体』会館は白く見える。昨年の『団体』の危険発電即日停止デモは進歩的な成果を見せ、今や我が国は世界各国の中でも5本の指に入る少ない発電量で生活を送る国家となった。そんな進歩的な夜道を転々とオレンジ色に照らすのは、最もクリーンかつ安全な「人力発電」の光だ。

オイノモリはソーシャル・ウォッチのスケジュール帳から、明日の予定を確認した。明日の午前までは、デモ対象と決まった人物・団体の非進歩的要素を見つけ出したり、調査課の調査結果を基にセンセーショナルなデモのスローガンやコールを考えたりといった普段通りの仕事だが、午後からは配属される新会員への青少年健全育成委員会の研修がスタートするようだ。懇親会終了時点で新会員の最終志望先は集計され、配属作業は始まっている。明日の午前にはAIが志望先を基に第三希望までに就けるよう割り振りするのだろう。


オイノモリは自転車に繋がれた耐水ケーブルに左腕から外したソーシャル・ウォッチを取り付け、充電可能にしてから自転車をこぎ始めた。ソーシャル・ウォッチを外してしまうと、心拍や発汗、会話内容の把握は勿論、点滴も当然ながら出来ない。充電を行う都合上仕方のないことだが調査課の目という意味でも不都合極まりないので、オイノモリはあまり好きではない。電気で動く以上は今は仕方がないことだが、『団体』の科学管理課の技術革新を待つよりほかはない。帰った後はシャワーを浴びてすぐベッドに入らねばならない時間になっていることだろう。

『進歩的社会はそれぞれの職務に対する犠牲的奉仕からなる』のだ。睡眠時間は確保せねば。

オイノモリはウシロヤチと反復した『団体』スローガンを思い出していた。だんだんと寒くなってきた。そろそろ『団体』の制服も冬着を出さなければ、と思いながらオイノモリは自転車をこいだ。

ソーシャル・ウォッチには、進歩的な電気が供給されていった。



教育施設で暗記するスローガンっていう発想はまた「すばらしい新世界」が元ネタですね。スローガン自体は『1984年』にも出てくるので、ディストピアもののお約束感はありますね。人力発電も元ネタはあるんですが、小説じゃないので…。媒体が違うと、知らせても別に興味ないんじゃないかな?となりますね。ソーシャル・ウォッチは外すとその機能が殆ど役に立たなくなるうえにある程度自由に外せるということなので、『1984年』のテレスクリーンよりはマシでしょうか。発汗や心拍を感知できるとなれば嘘はつきにくくなるのでそこはテレスクリーン以上かもしれませんが。

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