外伝
最近は「アルジャーノンに花束を」を読んでます。結構ハイペースで読んでます。
次に読む本として「侍女の物語」や「その他もろもろ ある予言譚」も買ってます。
やっぱり自分は本質的に読む側の人間だなと思います。
燃える。国が、人が、未来が燃える。今まで築き上げたものが、将来の夢が、明日の生活が燃える。
真っ赤に、焦げ臭さと香ばしい肉の香りを鼻腔に届けながら。
男は、自分の愛した国が燃えているのを、小高い山の上から眺めていた。
熱気は彼の長い黒髪をたなびかせ、吊り上がってしまった目を刺激した。
ただ、彼の涙はそんな刺激への応答とは違う、別の理由からあふれ出たものだった。
真っ暗な夜に浮かび上がる赤い炎は、隣にいる男の眉間を歪めていた。
普段は仏のような糸目と微笑を湛えたこの男が、目を見開いて眉間に皺を寄せている。
「…どうしてこの国はこうなった?」
仏めいた顔を持つ恰幅の良い男は、長髪の男に問いかけた。だが男は答えない。
「なぜ、人々は互いに思いやれなくなったんだ?」糸目の男は言った。
「…敵が多くなりすぎた」
「敵?」糸目の男は、長髪の男を見る。
「様々な価値観が、様々な主張を生み、様々な敵を作った」
長髪の男は、仏ヶ浦谷継は、人肉の焦げ臭さが付いてしまった髪を、
金具を解いて出来た針金で縛りながら言った。
「我々は善悪を一つにまとめる。逆らえない慈愛をもって」
「我々は決して滅びない。攻撃対象をなくすことによって」
「我々は…再び平和を取り戻す。たとえそれが理性とかけ離れていても」
男の目は変わっていた。
長い付き合いであるはずの男、大釈迦宗治郎も見たことの無い目だった。
仏ヶ浦は言った。
「俺たちが世界をまとめよう。二度とこんなことを繰り返さないように」
大釈迦もうなずいた。
「お前が何をしようと、元々俺らは一蓮托生だっただろ?」
……「共通の敵が必要だ。誰もが憎しみを抱くような」
「教育が大事だ。メディアも。善悪の判断基準を俺らが作ろう」
「大衆に必要なのはゴールドスタインだ」
「大衆にかかせないのは優越感だ」
「あと十数年で、国のみならず、この世界は一つになる、そうさせる」
彼らの作ったグループは「国民団体」と命名された。
今回は、いずれオイノモリ達の前に現れるはずの男の話でした。
次の更新の予定はありませんが、1か月以内に更新したいです。
最近gravityってSNSをやってます。今のところtwitterより平和なので気が楽です。




