第六章第四節
一週間空いちゃいましたが多分これから先こういうことはまた増えていくと思います。
最近はゲームセンターでちいかわのぬいぐるみを集めてました。推しはくりまんじゅう先輩です。
オイノモリは、ベッドで紙の「すばらしい新世界」を読みながら龍飛崎がシャワーを終えるのを待っていた。ツインのベッドの片方は龍飛崎の荷物で溢れていたが、それを全て龍飛崎が移動したおかげでオイノモリのベッドが出来上がった。
流石に同じベッドで寝ることにはならないよな、とオイノモリは様々な感情の入り乱れた複雑な思いを抱きながらプロラクチノイドを打ち、ソーシャル・ウォッチを取り外した。
間もなくシャワールームから出てきた龍飛崎のショートパンツ姿をプロラクチノイドで上手くスルーしながらシャワールームへ向かった。
シャワーを浴びたオイノモリは、普段よりもパジャマのボタンを留めた上で出たが、龍飛崎はショートパンツでアルコールを飲みながらペーパーPCをスワイプしていた。
四角い瓶には黒地に白の文字で酒の名前が書いてある。
「飲む?」
視線に気づいた龍飛崎が酒を勧めた。
少し逡巡した後に「じゃあ、せっかくなので」と答えたオイノモリに、龍飛崎は酒と氷の入ったグラスを手渡した。
グラスを口にしたオイノモリがむせるまでそう時間は掛からず、龍飛崎がニヤニヤとしながら「ゆっくり飲みなね」と言って新しいグラスにチェイサーの水を注いで渡した。
「…つまりは自由と幸福どちらを選ぶか、って話なんですよね、うん」
「思想の自由や職業選択の自由の代わりに一生涯幸福が保障された暮らしが手に入る世界だからね」
「幸福と自由っていうのは決してイコールではないわけで…バーナードは自由も幸福もって欲張ってるような気が…」
「そうかもね、そろそろ水飲みな」
酒に不慣れなオイノモリに酔いが回るまでそう時間は掛からなかった。
「『なぜなら批判という行為によって、自尊感情が高まり、自分をより大きな存在だと感じることができるからだ』っていうアレが…」
「本当はその社会からの恩恵を求めているくせに社会を批判しているのが納得いかない?」
「そう!」
「水飲みなって」
作中のセリフは「すばらしい新世界」からですね。バーナードがジョンを連れ帰ってチヤホヤされるようになってからの地の文のセリフです。バーナードはどうしようもなく小物なんですが何かリアルで嫌いになれないんですよね。こういう奴いるわ、みたいな。前も言ったかも知れませんが「すばらしい新世界」は戦前に書かれた作品とは思えないほど現代の問題に触れてると思います。親子の関係とか自分の職業の好き嫌いとか。




