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陽の当たる場所  作者: 十司新奈
第四章
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第四章第三節

今回ちょっといつもより短いです。

次の日、昼食を済ませたオイノモリは、クリーム色の『団体』本部のロビーで流れるニュースを聞いていた。あの爆発の原因は国防軍の装備庫から持ち出されていた小型ミサイルだったらしい。発射されたのは政界の要人が集うゴルフ場からだったそうだ。

 「これで現在の政権を含め、関与した政治家は重罪を受けることは間違いなく、『大暴動』後の政界の不祥事としては数年ぶりに30人以上の死者が出ることに…」

周りではニュースの流れるスクリーンに向かって喚き散らしている。手元のペンを政治家の顔に投げつける会員たちの中で、オイノモリは一人安堵していた。どうやらタツさんは本当に無関係だったらしい、と周りの喧騒の後方で、一人だけ冷静にスクリーンを見ていた。

 彼女はどこか憎めないというか、良い人だったな、とオイノモリは思った。馴れ馴れしいようなフレンドリーなような、プロラクチノイドを使う気にならない、性別を超えたような人だった。進歩的な無性別性を持った非進歩的喫煙者たる女のことを考えながら、オイノモリはデモ課のオフィスへと向かった。


 デモ課の自身のデスクに座ると、クグリザカの椅子が目に入った。そろそろ「昇華」が始まる頃か、と思い椅子の背もたれに手をかけたオイノモリは、午前中から続けていた溜まった仕事を、一つ一つ、手早く片付けていくことにした。

 「あれ…?」

溜まっていた仕事の中に、違和感を感じた。それは、参政課からのデモの要望をまとめたものだった。デモの爆発があった日に提出されていたその資料の内容は、国防軍の装備の移動に民間の目をつけるため、デモを行ってほしいという内容だった。本来は青少年の教育に関係するデモを担当しているオイノモリに送られる内容ではない。政治的なデモを起こす小部門に送られるものだ。オイノモリは資料をそちらに送信し直し、事情を説明した後、自分の仕事をこなしながら、先程の違和感のことを考えていた。


クグリザカの復帰は次回か次々回ぐらいだと思いますが、その時に昇華についてもうちょっと掘り下げれるかと思います。

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