【SIDE ソシエル&アルクス】 紅との戦闘
【SIDE ソシエル&アルクス】
再び顔を合わせたソシエルは動揺を隠せずにいた。
それは、彼女の顔に、ひとすじの傷跡があったからだ。
なんで?、どうして?。変身し直したら怪我は全部無くなるんじゃないの?!
それならどうしてあの時出来た傷が残ってるの?!
吐息に触れそうな程近くで見た、今尚、脳裏に残る美しい顔に付いた傷。
思い出すだけで呼吸が浅くなり、瞳に涙を浮かべる程、
自身の中では大きな出来事だった、それが傷跡として目の前に再び現れた。
「さすがに、そろそろ何とか言ってくれないかなぁ?」
悔恨に呑まれていると、アルクスが語気鋭く問い詰めていた。
「あ!、あのっ!。」
このままではマズい、何としなければと…、思い裏返りそうな声で割って入った。
「お…お久しぶりです。えっと、怪我の具合は如何ですか?。」
一体何を言ってるんだ?、と怪訝な顔をアルクスが浮かべるが、
改めて紅い魔法少女の顔を見て、その傷を見つけた。
紅い魔法少女はその言葉に少し俯き額の傷をなぞり、
改めてコチラに目を向けてきた。
「ねぇ?どうゆう事?、何で傷残ってんの?」
アルクスがイラ立つ様に聞いているが、同じくソシエルも知りたかった。
変身している時に負った傷は生身には引き継がれず、
変身し直した際には傷は治る、それはソシエル達もそうだった。
じゃあ、何故、彼女は傷が残ってるのか?
一昨日の夜から変身の解除をしていないのか?
変身を維持したまま傷が癒えれば後に残るのか?
生身に傷が引き継がれていないか?
彼女の傷は一生治らないのか。
そんな考えが胸中を渦巻く中、遂に彼女が口を開いた。
「・・・、怪我をすれば傷は付く、それは何も奇怪しい事ではない。」
「そんなっ…。ならアナタは一体、何者なんですか…?」
魔法少女なら怪我は治り、傷は残らない、
なら傷跡残る彼女は一体どういった存在なのか。
「ん~、よく分からないんだけど、一先ずさ、私達の支部で話しない?」
「っ!、そうです!。お話しませんか?。
その…、以前のお詫びのような事もしたいとも思っていまして…。」
この機を逃がすと、次はいつ会えるか分からないから、
何としても今、この場で引き止めたかった。
「・・・、謝罪も馴れ合いも不要。」
そう言って背を向け、以前の時の様にまた消えてしまう、と思ったその時
「ふ~ん、じゃあ無理やりにでも連行するよっ!≪パラライズショット!≫」
と、アルクスが背を向けた彼女に矢を射掛けた、
その攻撃自体は身じろぎするような最小限の動きで躱されてしまう。
「アルクスッ?!」
「何やってんのソシエルッ?!。さっさとアイツ捕まえるよ!」
魔獣対策局では野良の魔法少女を保護する事も職務の内に入っており、
抵抗する場合、怪我をさせない範囲での武力行使は許可されているため、
アルクスが取った行動自体は間違ってはいなかった。
「《スタニングショット!》」
再び射られた矢は薄黄色い光の尾を引き、その攻撃も紙一重で回避されそうになるが、
その矢が彼女を掠めようとした時、
―――パキィィイ・・・・・ィィインッッ!!!!
矢が炸裂し、眩む程の閃光と耳を劈く程の高音が鳴り響いた。
「≪バインドショット!≫」
細い鎖が絡まった矢が射られ、彼女に纏わりつく様に拘束した。
「つぅっ…!、ァルクスちゃん…、さすがに無理やりすぎるよ…。」
「…、そうは言っても傷が残るって事は、
致命傷受けた時点で本当に死んじゃうかも知れないんだよ、あの子。」
「ッ!!、それは…、そうかも知れないけど…。」
「私たちのお仕事は命を守る事だよ、だから仕方ないと思わないと。」
「・・・・・・、そう…、だね…。ごめんね≪スリープミスト≫」
納得出来ない心を押し殺し、死なせない為に仕方ないと言い聞かせ保護に動く。
「・・・、流石に不愉快。」
閃光と爆音に眩んだ状態から回復した彼女が鎖を引き千切り、
眠りを誘う霧から逃れた。
「あれ引き千切るとか…、化け物じゃん…。」
「アルクスちゃんのやり方は無理やりだったかも知れないけどっ!、
アナタを死なせない為だから、お願いだから止まってっ!!」
アルクスは拘束を引き千切られた事に驚愕し、
ソシエルは説得の為に大声で叫んだ。
「・・・、私は死なないし、私には戦う理由がある。」
「死なないって…、今回だって怪我してるでしょ!」
猿の魔獣に引っ掻かれた腕から血が流れ、指先から滴っている。
「・・・、こんなものは怪我には入らない。」
「じゃあ戦う理由ってなんなのっ!!」
痛ましく流血した怪我を無みする発言に慟哭するような声で問い詰めた。
その問いに少しだけ塵が渦巻いて消えた腕を見た後に彼女は答えた。
「・・・、答える義理は無い。」
それは明確な拒絶だった。
「ソシエル、説得は無理だよ諦めて、取っ捕まえて問いただした方が早いよ。」
「そう…だね。少し痛いかもしれないけど、我慢してね。」
「・・・、大丈夫、そんな事はおこらない。」
そんな返事すると、いつの間にか手には槍を持っており、一歩一歩近づいて来た。
「ッ!≪クイックドロー!≫≪ラピッドファイア!≫≪パラライズショット!!≫」
「≪ソーンバインド!≫≪フラッシュバン!≫≪パラライズウェーブ!≫」
とっさに二人は、自身が使える非殺傷の攻撃をたたき込んだ。
「・・・、無駄、速さが足りない。」
その言葉とともに、槍の一振りで持って全ての攻撃が消し飛ばされ、
一瞬でアルクスの目の前に移動した。
「ッ!早っやッ!!≪サンダーアロー!≫」
間を詰められたアルクスだったが雷の矢を手に持って振るおうとしたが、
胸元に掌底を食らい、壁に叩きつけられた。
「アルクスッ!。ショックウェ―――「無駄と言った。」
倒れ込んだアルクスを見て、怒りを露わに攻撃をしようとしたが、
アルクスと同じく懐に入り込まれ一撃を貰い倒れ伏してしまった。
「ッ…、ッ…、」
呼吸すらままならなず、意識を失いかている中、
紅い魔法少女とは別の、赤い魔法少女が見えて気を失った。
休日じゃなければ書けなかった程、一番書くのに時間がかかった割に、文字数が少なめです…。
(´;ω;`)ブワッ
第三者視点による解説と、主観の入った心中の思いは別の書き方にした方が良いのかなぁ?