紅落日和 前編 【another side】
時間は少し巻き戻ります。
掲示板回の後で、[欲しいモノ]の前辺りですかね。
【SIDE 里緒】
とある高校の教室の一室で数名の女生徒が姦しく話していた。
「えーwマジー?wそれヤバいっしょwww」
「マジマジwww」
「なー里緒、コイツの話しマジ受けるよーwww」
「あー、ゴメン電話来たから、チョット出るねー。」
声をかけられた里緒は非通知画面のスマホを手に持って教室を出た
「はいはーい、もしもーし。」
『やぁ、今時間は空いてるかな?』
「んー?どちらさまー?」
聞きなれない声に里緒は警戒しながら声の主を確認する。
『あぁ、すまないね。私は北区所属のエクエスだよ里緒君、いやフィールム。』
(…ッッッ??!!)
電話向こうの声の持ち主に驚き、里緒は息を飲んだ。
(一体どこでバレた?、東支部の情報を抜かれたのか…?、
しまった、今のがカマかけなら、まんまと引っ掛かったな…。)
「…、はぁ~。それで?今お昼なんだけどー?用があるなら早く言ってよー?」
里緒は諦め、むしろ開き直る様に答えた
『おや?それが君の素かな?。
まぁ良い私も時間が無いし、私も…素で話しましょうか…、
北東合同で紅い魔法少女を捕獲しましょう、と言うお誘いです。』
エクエスが清楚な口調に変え、それ以上に驚きの内容を口にした。
「…、それってマジ…?」
『はい。アナタらしく言えば、マジです。』
「んー、断ったらどうなんの?」
『他の人…具体的に言えば真帆さんや芙弓さん、仄さんに、
声をかけるつもりですね…。さて、断りますか?。』
「それってきょーはくって言うんだよー?」
『あらあら、それは心外ですね。里緒さんがご存じな名前を出しただけですよ。』
里緒が問いかけるとエクエスは真帆を始めとした、
東区に所属している魔法少女の実名を挙げて、参加の是非を返して来た。
それに里緒は端的に咎めるが、のらりくらりと言い訳される。
「名前も知らない人の話は聞きたくないかなー」
『そうでしたね、自己紹介が遅れました白鷺詩織と申します。
さて、これでお話しできますね。』
里緒が皮肉めいた言い訳をするが詩織に言い返されてしまった。
「…。はぁ~、分かった、話しだけでも聞くよー…。」
『そうですか、良かったです。では今日にでも東支部に行きますね。』
「え?はっ?ちょ――ブツッ! ツー ツー ツー
話しを聞くと言うや否や、自分の用事を話すだけ話し電話を一方的に切られた。
「マジ…、ムカつくんですけド…。」
薄っすらと眉間にシワを寄せて呟いた後、
内容を忘れない内に千裕と真帆と芙弓と仄の4人にメールを送った。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
放課後、東区支部にメールで連絡した全員が揃っていた
「りっちゃん先輩、あのメールってホントッスか?」
「嘘だったらそっちの方が良いよねー」
「あの…、私は他区の魔法少女と会った事無いんですが…。」
「あ、それ私もぉ~」
「ん~、あんまり気にする必要はないけど、ぜーいん変身だけはしとこっかー。
多分、顔バレしちゃってると思うけど、少しは効果があるかなー?。」
仄がメールの真偽を問い、真帆と芙弓が他区の魔法少女に会うのを不安がる中、
里緒が自身を含む全員に変身するように勧めた。
「え…、顔がバレてるんですか…?。」
「バレてるねー、顔だけじゃなくて名前もバレてるねー。」
「それってヤバくないっスか?」
「そこそこヤバいね、
だからバラバラになるより纏まって一度に話し合った方が良いかなー?って」
真帆が更に不安がり、仄も危機感が強まり始めた頃に
東区支部の敷地内に一台のワゴン車が入ってきて裏口に停まった。
中からはエクエスとフィロクス、
更にはB級魔獣の時に居たサーヤと呼ばれる魔法少女と、オルビスが乗っていた。
到着を聞いた里緒はすぐさま変身し、遅れる形で残りの三人も変身した。
「随分とお友達をを連れて来たものだな、エクエス。」
「フフッ、そうゆう君達こそ変身なんかして、どうしたんだい?。」
「それはコチラの台詞だと思うのだが…、どうかな?」
「ふむ…、それもそうだな、ならこうしよう。」
エクエスは言い終わると同時に変身を解除した、
そこには黒髪ストレートの清楚な女学生が立っていた。
そしてそれに続く様に今度はフィロクスが変身を解除し、
目つきの鋭い、凛としたポニーテールの女学生が居た。
(チッ…しまったな。
それをしたのにコチラが変身したままでは不和が生まれかねないな。)
フィールムは損得の算段を付け、変身を解除した。
「では改めて挨拶を。初めまして、白鷺詩織と申します。」
「この姿ではお初にお目にかかる、桐島咲夜と申します。」
「初めましてー。知ってると思うケドー、糸魚川里緒でーす、よろ~。」
詩織の後に咲夜が丁寧な挨拶し、里緒が場違いな挨拶を返した。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
場所は東区支部の小会議室に千裕主任を含む9名が顔を合わせていた。
「えぇ~っと、それじゃあ改めて聞くけど北区の要望としては
『東区主導でも良いから紅い魔法少女の捕縛の協力』って事で良いのかしら?」
「はい、いいえ少し違いますね、北区の~、ではなく国防を担う
一人の魔法少女として今回の事態は見過ごせ無いと思った次第です。」
千裕主任の再確認の問いに、詩織は情報の補足と、白々しい理由を付け加えた。
「あぁ…、そうね、それは嬉しいわね。
えぇっと…、じゃあアナタの要望?って事で良いのよね?」
「はい、そう思って頂いて大丈夫です。」
「ねーねー、なんでウチなのかなー?、南や西に声かけて無いのー?」
「はい、それについてですが、南は主力クラスのニーサが不調で、
カンナギはニーサにべったりな様子だったので。
西区につきましては、これまでの欠席率の高さから、
本腰を据えて誘うのは少々効率に問題があると思ったので、
声はかけるにしても後回しにする予定だからですね。」
「ふぅ~ん、そっかそっかー。」
里緒が詩織に東区を選んだ理由を聞いて、一応の納得をした様子だった
「えぇーっと…、時にそっちの二人は変身を解除しないのかしら?」
千裕主任の言う二人とはオルビスとサーヤの事であった、
二人は依然として変身を解除せずに、魔法少女の姿だった。
「私と咲夜は最初から変身を解除する予定でしたが、
二人には何も伝えていませんでしたので、そこは自由意志ですね。」
「それに、それを言うのであれば、君達三人も変身したままではないか?」
千裕の問いに詩織が答え、咲夜が里緒以外が変身を解除していない事を言及した。
「あーもー、メンドーだしぜーいん変身解除しよっか。
どーせコッチの顔も全部調べ終わってるんでしょー?」
「…、そうですね、白状致しますと全員の素顔、名前、学校、自宅…。
情報と呼べるおおよその事は全て調べ終わっています。」
「じゃあさー、ここから先は信用の話しになるじゃん?
ならもうさ、お腹を割って話すしか無いよねー?。」
「そう…ですね、仕方がないでしょう…。サーヤ、オルビス、お願いします。」
詩織が里緒の話しを聞き入れ、二人に変身を解除するように指示を飛ばし、
オルビスは溜息を付き、サーヤは非常に渋々と言った感じで解除した。
それを見た里緒は真帆たちに視線をやり、解除するように促す。
「さて、今度は貴方達が自己紹介をして頂けますか?」
「では私から。初めまして、宇塚井真帆です。よろしくお願いします。」
「え~?じゃあ次は私~?、え~、鶴ケ谷芙弓、よろしくね~。」
「最後はアタシっスね、初めまして!不知火仄っス!よろしくッス!。」
詩織が促して三人が本名を名乗り、今度はオルビスとサーヤが名を名乗る。
「え…えっと、初めまして、竹本小夜香です…。よ、よろしくお願いします。」
「ん…、私は節田 召子 18歳、よろしく。」
最近、ジワジワとブックマーク数と評価が増えてきて、
遂に先日ブックマーク数が100人を越えました!!
私の小説を見て頂いて大変ありがとうございます。
嬉しさのあまり小躍りしそうになりました。
これからも見て頂けるように頑張って書かせて頂きます。




