朱莉の相談事 後編
誤字報告して頂き大変助かっております。
(どうも、こんにちは、朱莉です。)
(一を聞いて十を知り、百も知らない事があるのが分かった今日この頃です。)
(まぁそれは置いといて、何とかしてクリスが来るのを止めないと駄目ですね。)
「・・・、来ちゃ駄目。」
「駄目って…、何か疚しい事でもあるのかい?。」
(うわっ…、ウザイ文句を言いますねぇ…。)
「・・・、無いけど…。」
「なら、問題は無いと思うんだけどね?」
(むむむむむ、このままでは付いて来るのが確実になってしまいそうですね。)
「・・・、条件がある」
「どんな内容だい?、聞く前に答える事は出来ないよ?。」
(チッ…、簡単には行きませんか…。)
「・・・、闇属性魔法で出来る事と、役割、あと名前。」
「うん、分かった、それなら良いよ。
じゃあ闇魔法だね…、うん…、色々出来るね…。」
(はい?、答えになって無いじゃないですかっ!!)
「・・・、具体的には?。」
「えぇ~、ホントに色々出来ちゃうんだよ…。
他人の認識にも干渉できるし…、引力と斥力にも干渉できるし…。
ちょっとだけなら空間と時間…つまり時空にも干渉する事だって出来るよ。
本当にちょっとだけなら、だけどね?。」
(えぇ~、それって凄く強く無いですか!?
認識阻害に重力操作、さらに時空干渉ですかっ?!最強じゃないですか…。)
「・・・、なんでそんなに出来るの?」
「ん~、確実な事は言えないんだけどね…。
普通は色って混ざって行くと黒くなってしまうでしょ?、色の三原色的な奴。
でも魔法の属性は増えても黒くはならないんだ。
それは、魔法の属性は光の三原色の様な物だからなんだけど、
じゃあ闇は何処にあるか…、それは三原色を使わない事なんだ。
つまり原色が使われていない所が黒なんだ。」
(それって他の属性で使えない範囲の力を使える、って認識で良いんですか?
それってズルじゃないですか?、チートですか?。)
「・・・、反則じゃないですか?。」
「え…なんで敬語?。
…フフッ、でもそうかぁ、反則かぁ…、言われた事無いから新鮮な感じだよ。」
クリスはヌイグルミの見た目でありながら、何かを含んだような苦笑をした。
「話を戻すけど他の条件は…、役割だっけ?それってどうゆう意味なんだい?。」
「・・・、はぁ~。役に立つと言うなら、どんな魔法で手伝ってくれるのか、
戦うのならどの距離で戦えるのか、ポジションは何処か、そんな話。」
「おぉ~、久々に長文が聞けて何だか嬉しく思うね。
で本題だけど、攪乱なり陽動なり出来るし、戦うなら中遠距離になるのかな?。
でも、一つ言っておきたいのが、僕は魔獣と戦わないよ?。
あくまで、他の魔法少女と戦闘を起こるのを抑える為に行く予定だからね?。」
(はぁ?なんですか、人を誰彼構わずケンカを売る戦闘狂みたいに…。)
「まぁ、もしも交戦する事になったらしっかり止めるから安心してよ。
それで?最後は何だっけ?、名前…、だっけ?。」
「・・・、名前を呼ばれたら正体がバレるから、呼んじゃだめ。」
(なんだか、はぐらかされた気がしますが…。
もう良いでしょう…、コッチの方が重要です。)
「あぁ~、確かにその問題があったね、うん確かにそれは大事だね。
まぁ簡単な所で偽名で良いと思うんだけど…、何か良い案はあるかい?。」
「無い。」
「う…う~ん、それじゃあ…、お互いの偽名を考えるってのはどうだい?。」
朱莉の即答に苦笑気味な顔でクリスが提案する。
「・・・、クロ。」
「…?。それってもしかして僕の名前だったり…、しちゃうんだよね…?。」
「・・・、うん。」
「朱莉って…、ホントに口下手だねぇ。」
クリスは呆れと言うよりも、疲れた様な感じで呟く。
「今すぐに偽名を決めるんじゃなくて、もう少しだけ考えて良いかな?」
「・・・、分かった。」
「それじゃあ、まとまり次第、何が良いか聞くけど良いかい?。」
クリスの問いに、朱莉は何も言わず頷いた。
「・・・、一つ聞きたいんだけど。」
「おや?朱莉から何かを言うなんて珍しいね?良いよ何でも聞いておくれ!。」
「・・・、魔獣の強さの基準。」
「魔獣の強さ?つまりはランクの事かい?
知っての通り上からA~Eまであって――「そこじゃない。」
えぇ~っと、じゃあ何が聞きたいのか具体的に言って欲しいなぁ。」
朱莉が話を遮る様に被せ、クリスが苦笑しながら聞き返す
「・・・、ランクが高くても弱かったり、低くても強い時がある。
その違いと、違いが生まれる理由が知りたい。」
「あぁ~そうゆことかぁ…、えっとねぇ、一番は相性の問題だと思うんだけど、
それ以外だとランクが5段階しか無いからだと思うね。
人間の強さが5段階では測れないだろう?、それと同じだね。」
「・・・、相性よりも5段階でしか測れない方が問題じゃないの?」
「う~ん、段階を多く設けると分かりにくくなったりするし、
相性によってはDランクでも朱莉じゃ勝てない場合もあるけど、
良ければB級の上位でも十分戦えると思うよ?。
それくらい相性は大きく関わってくるんだ。」
(おっと、色々と聞きたい事がさらに増えてきましたね…。
相性も色々聞きたいですし、上位と来ましたか、それなら下位もありますね。)
「・・・、相性って?」
「文字通りの事だけど決して侮れない要素だよ。
さっきも言ったけど、相性が悪ければDランクでも勝てない…、
つまりCやBランクなら負ける、最悪は死ぬ可能性も十分にある。
それだけは決して忘れないでいて欲しいんだ。」
「…ッ。」
B級魔獣の時に感じた[死]というイメージが、
実は身近だった事を知り朱莉は息を飲んだ。
「まぁ、そうならない手伝いをする為にも、付いて行くんだけどね?。」
(…、咄嗟に反論が出来なかった時点で、認めてしまったような物ですね。)
「・・・、分かりました、同行を認めましょう。」
「うん、上から目線でありがとう。」
(チィッ!今に見ていなさい!!いつの日か必ず泣かせて見せますからね!!)
「・・・、こき使ってやる。」
「アハハ…、ほどほどにお願いね。」
(この際ですし、色々と聞いてやりましょうか…。)
何かに負けた気がした朱莉は根掘り葉掘り、色々聞いてやろうと思った。
「・・・、魔法道具ってなんなの?」
「え?いきなりだね、しかも答えにくい質問だし…。
ん~、地球で言う機械の類だけど…、聞きたいのそこじゃないよね?」
「・・・、うん。名前の理由と作り方とか知りたい。」
「名前?、魔法道具って名前の何処が知りたいんだい?」
「・・・、マンガだったら魔法具とか魔道具って名前なのに、
魔法道具って地味に長いのは何で?」
「え?…さぁ?僕も知らないね。気にした事も無かったし…。」
「・・・、はぁ~、つっかえ。」
「結構な事言うじゃないかい…。
朱莉だって個別具体的な物の固有名詞の起源は分からないだろう?。」
(なんだか難しい事ばっか言って、はぐらかそうとしてませんかぁ~?
朱莉ちゃんはそんなの通じませんよっ!!)
(自分に『ちゃん』はないですね…。)
「・・・、それじゃ作り方とか教えて。」
「それなら僕にも説明できるね。
魔法道具にしたい素材に、少し特殊な方法で魔法術式の回路を印字するんだ。」
「・・・、弱点は?」
「ん~。地球の機械と違って、濡れても良いし、電気に晒されても大丈夫。
まぁ、正確に言うと印字される素材に強度が依存してるんだけどね。
あ…、あと印字って言ってるけどインクがある訳じゃないから、
物理的に隙間が無くても施すことが出来るからサイズも小さく出来るね。」
(なるほど、魔法道具の強度は素材依存ですか…。
つまりは素材以上に頑丈には出来ないし、逆に使い捨ても作れるって事ですか。
ですが隙間が一切無くても、と言うのは少し引っ掛かりますね…。)
(印字という事なら素材の表面に処理をする事を前提に考えると、
一枚の鉄板には印字が表面の一か所、出来て裏面の二か所ですが。
鉄板と同じ厚みになるまで重ねたアルミ箔とかでしたら、
その数も増やせると考えて良いのでしょうか…?)
「・・・、むむむむむ。」
「まぁ僕も専門家じゃないから全部を知ってる訳じゃないけどね。」
(ふ~む、聞けば聞く程分からない事が増えていきますねぇ。
でも、もし機会があれば私も魔法道具を作りたいですね。)




