聖女と山賊と海賊と… 前編
一応ですが閲覧注意です、今更ですが流血表現があります。
【SIDE ルイセ】
(貴方は神を信じますか?。と聞かれたらこの人達はどう答えるのでしょうか…。
…信じている、と答えるでしょうが、きっと信じてはいないでしょう。)
(信心深い家に生まれ育った無神論者の私、その私が手にした奇跡の様な力…。
腐った臓腑を治し、盲目に色を与え、傷病を癒す、私の魔法。)
(それを神の御業と称し、利益を独占する、醜い二人。
そして、そんな二人に育て、支えられないと生きていけない私…。
嗚呼、反吐が出ますね…。)
(この力に集まる人々も、集めた両親も、
そして、そうさせた元凶も、み~んな、■んでしまえば良いのに。)
(そう思って無理を言い、B級に志願したのに戦力外通告…。
まぁ当然ですね、私の力は人を癒すとしか、報告していないですからね。
何が「それは御業とは思えないから口にするな」ですか…。
とてもとても、私らしい力じゃないですか、それを否定するだなんて…)
「親のする事では無いじゃないですか…。」
「え?今何か言いましたか?ルイセ様?。」
考え事をしすぎるあまり口にしており、剰え付き人に聞かれてしまった。
「いえ…独り言です、お気になさらず。」
「そう…でしたか、失礼しました。」
(駄目ですね、人前で口走ってしまうだなんて……。
…一体なにが駄目なのでしょうか、まるで自らに枷を嵌めているようですね。)
独り言を呟いた事を自戒するが、
自ら自分を押し殺している事に気づき自嘲気味に笑う。
(B級の時に見た魔獣よりも獣じみた、
まさに手負いの獣のような紅いあの子なら、私を殺してくれるでしょうか?)
――『ビーッ!ビーッ!ビーッ!』
「また魔獣ですか…、最近増えている気がしますね。」
「そうですね、なにかあるのかも知れませんね。」
「ルイセ様、以前の様な無理を言ってはいけませんよ。」
「…。えぇ、分かっていますよ、あの時は心配をかけましたね。」
(B級の時の事ですか…、いつまでもチマチマとしつこい人ですね。)
「さて、怪我人した子が来ても良い様に私達も用意をしますよ。」
「はぁ…、ですがそれで運び込まれた人は居ないですよね?、ルイセ様。」
(必要のあるなしだけで言えば、貴方も要りませんよ…。)
「その万が一を引いて手遅れになってしまう方が、私は悲しいですよ。」
「いつもいつも、ルイセ様はとてもお優しいですね。」
(それはそれは、とても皮肉めいた言い方ですね。)
「フフッ、そう言って頂けてると嬉しいです。」
ルイセは笑顔で返し、付き人も微笑んだまま表情を崩さない。
そうして二人は救急搬送用の部屋に入り、椅子に腰かけた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
【SIDE ???】
ここは、一か月前にB級の魔獣が発生した□□県。
約30分前に魔獣の発生が予測され、討伐に赴いた現地の魔法少女だったが、
現在、その刃が向いているのは魔獣では無く、魔法少女だった。
「フーレス!少しは動き止めろぉ!!」
「ふっざけんな!ネムがやってみろぉ!!」
海賊帽に袖無しで腰下の前が開いている、
ダボダボの海賊コートを着た幼さが残る少女と。
コチラも似た感じの腰下の前が開いている、
フード付きのコートに革の鎧を要所要所に着けている、
ファンタジーなレンジャーの雰囲気を出している少女が、
互いを罵り合いながらも、紅い魔法少女と戦っていた。
フーレスと呼ばれた海賊少女は、右の腰に火打石で発火させて撃ち出す銃と、
左の腰にはサーベル、背中には碇の形をした槍を背負っており、
ネムと呼ばれた少女は、大きなクロスボウを背中に背負い、
手には小型のクロスボウを持っていた。
「フーレスの方が武器多いじゃん!、なんとかしてよぉ!!」
「武器が多くても手は二つだもん!!」
「もん、じゃぁねえぇえ!!」
声だけ聴けば幼女をイジメる少女なのだが、
二人は喧嘩しながらも協力しており、紅い魔法少女に攻撃を続けていた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇
時間を少し、魔獣と戦う前まで遡る。
魔獣を眼下に見下ろし、二人の魔法少女が作戦を考えていた。
「フーレス、どっちが先制入れる?」
「なに言ってるの?、同時に攻撃すればいいじゃん。」
フーレスが「おバカさんかな?」と言わんばかりなアヒル口でネムを見上げる。
「あ…。はぁ~?、一緒に攻撃しちゃうと
攻撃同士がぶつかって、打ち消すかも知れないから言ったんですぅ~。」
フーレスの言葉が的を射ていたが顔と態度に腹が立ち、
素直に認める事が出来ず、むしろ言い訳の様な事を言ってしまう。
「あぁ~、そうだもんねぇ~。
私の攻撃だと強すぎて、ネムの攻撃消し飛ばしちゃうもんねぇ~?。」
ドヤドヤした顔でフーレスが煽る。
「あ˝ぁ˝?。なに?ケンカ売ってんの?」
「なに?怒っちゃった?怒っちゃった??。」
フーレスが更に煽った為、ネムは先制攻撃所か一撃で倒そうと魔獣を見たが、
魔獣はナイフで貫かれて既に死んでおり、塵になり始めていた。
そして、それを見て硬直したネムに異変を感じたフーレスも目をやった。
「「あぁ~!!、私の獲物!!」」
魔獣を横取りされた事に理解が追いついた二人が揃って声を上げる。
「私の獲物だったんだぞ!!」
「おい!待てフーレス!」
フーレスが建物の屋根から跳び下り、ネムも追うように続いた。
「お前ぇ!何処のドイツだぁ!私の獲物を取りやがってぇ!」
「勝手に行くなフーレス!」
フーレスが碇の槍を肩に担ぎ、ネムもクロスボウを手に合流した。
すると、ボロ布を纏った人物は懐に手を伸ばし、何かを手に取った。
(ボロ布で分かりにくいが何か構えてやがる。
フーレスは…、気付いて無い、マズい!。)
ボロ布の動きに気づいた瞬間、クロスボウを構えると同時、
いや若干遅いくらいだったが、投げられたナイフを空中で撃ち落とした。
(あっぶなぁ~、辛うじて当たって良かった。
でも…攻撃してきたってのは敵って事だよな…。)
武器を構えなおすと、フーレスも攻撃された事に気づき、戦闘態勢に入った。
「ネム!」「分かってる!」
フーレスは腰のピストルを抜いて、ボロ布に構え、4連続で発砲した。
直後に銃をしまい、サーベルを居合の様に抜き放ち、
その斬り付けの影に重ねるようにネムがボルトを撃っていた。
だがボロ布は、刃渡り20㎝は超える大型のナイフの側面で銃弾を逸らしていき、
斬り掛かりもそのままナイフで止め、撃たれたボルトは空いた手で受け止めた。
そして、外套から両手を出した事で、開けるように紅い姿が露わになった。
おや?朱莉ちゃん?の様子が…。
因みに
フーレスは某国民的人気海賊漫画に影響を受けて、
フリントロックピストルでも連射できると思っており、魔法でそれを可能にしています。
因みに その②
ルイセの付き人は、ルイセの事を心底信頼しています。




