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魔法少女スカーレッド  作者: ブラウン
第二章
31/49

西区の魔法少女 後編

【SIDE ペリトゥス】




奇怪(おか)しい、現場について30分は経ってるのに連絡がない。

 イレギュラー(異常事態)にでも遭ったか?。)



一人で魔獣討伐に行った相方が、

連絡も無しに時間だけが過ぎている事に異常を感じた少女が居た。



(どうする、あのバカの悪戯(イタズラ)か?、

 だがアイツはバカだが()()でふざける事はまず無い。

 それに少し嫌な予感がする…、アメリアに連絡入れて私も出るか…。)



頭の中で、現状で下せる判断を即座に選び、スマホを手に取った。


『アメリア、ジェーンが戻らん、私も向かう。』


『え?なになに?、ジェーンが?マジで?ランクは?』


『Dだそうだ、後は自分で調べろ。』



誰何(すいか)せず名指しで要件だけ話し、

電話向こうから20代中頃の女性の声が返ってくるが、

それも必要最低限の返答だけ返し電話を切る。



(何があったか知らんが、死んでくれるなよ。)



心の中で現場に行った相方を思い、変身して装備を着込みながら現場に向かった。



~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~



現場に到着しても尚、保護領域は解除されずに未だ張られており、

相方のジェーンからの連絡も未だ無い。



プレートキャリア等の普段の装備に加えて、

生身まで負傷している事も想定し医薬品が入った(カバン)も持ち、領域内に侵入した。



領域内は特に荒れているという事も無く、

異音も聞こえない普段通りの静かな領域だった。



(これじゃ何処に居るか分からんな…、どうする…、考えろ!)



焦る心を落ち着かせようと思うが中々上手く行かず空回りしている。



(どうする…、音で分からないなら見るしかない…、

 高所から見渡すか…、だが時間が惜しいな…。クソッ!考えが纏まらん!)




数秒迷った結果、高所を取ることにし、

自身の魔法である()召喚で、捕鯨銃を召喚しそれを電波塔に向けて射出した。


ハープーン(捕鯨砲)の召喚も、銃への小型改変なんて初めてだぞ!

 クソッ!こんな時にぶっつけ本番で改変召喚なんてさせやがって!

 戻ったら覚えとけよ…。ジェーン…!!。)




電波塔のふちに座り、捕鯨砲を出したまま狙撃銃を召喚して、

目に見える範囲の物を見ていた。


右目でスコープから見える風景を、左目で広い視界を保ちながら、

動く何かが見えるまで目を凝らしていると、

少し開けた土地で何かが動くのを捉えた。



それを凝視すると、今まさに蹴り上げられた相方の姿が見えた。


(見つけた!やはりイレギュラー(異常事態)か!)



敵の姿はぼろ布を纏った様な姿でD級の魔獣にしては動きが異常に早かった。


銃口をぼろ布の頭に合わせ、引き金を引こうとした瞬間に姿が消え、

すでにジェーンの懐に入って一撃を入れており、

撃とうにもジェーンとの距離の近さから引き金が引けなかった。



直後にボロ布がジェーンを投げるが、ジェーンが受け身も取らず、

それどころか立ち上がる事すらしなかった。


(一体何をした!?、そして何故立ち上がらん!!)



通常の攻撃で無い事は目に見えていたが、

どういった技なのかは見当もつかなかった。



そしてボロ布は近くに刺さった紅い槍を引き抜いた後に、

ゆっくりとジェーンに近づき、その側で動きを止めた。



それに合わせる様にボロ布の頭に照準を合わせ、引き金を引いた。

だが直後にボロ布が動き、銃弾は右肩を貫くに終わった。


(しまった!焦ったか!、…だが遅ければジェーンが死んでいたかも知れん…。)



二発目を撃とうとしたが、ボロ布は落とした槍を拾い射角の影に隠れた。


(クソッ…、確実に仕留めるべきだったか…。)



初発で仕留める事が出来なかった事が()()に響いてきそうだと思ったが、

今はジェーンの無事を確かめる事を優先する事にした。




スコープ越しではジェーンの変身は解けていないが、

呼吸による胸の上下も浅く、致命傷になっている事は明白だった。



すぐにでもジェーンと合流したいが、

ジェーンを囮に罠を仕掛けられている可能性を考慮し、

位置を変えた後に少しだけ待機する事にした。





五分ほど経っただろうか、ボロ布は一切姿を見せず、時間だけが過ぎた。



(流石にコレ以上待っていたらジェーンの変身が解けるな…)



変身が解けてしまうと、負傷は生身へのダメージになってしまう為、

その前に何とか決着をつけたかったが、それは叶わなかった。


武器を狙撃銃からコンパクトな小銃に切り替え、

捕鯨銃で射出したロープを、道具を使わないファストロープ降下方で素早く降り、

倒れているジェーンの救助に急行した。




(あぁクソがっ、こんな事なら最初から付いて行きゃ良かった)



誰もいない通りを速度を落とさずに全力疾走し、

現場の2ブロック手前から速度を落とし、警戒しながらゆっくりと近づいて行く。



(クッソ…、焦れったいな…。)



倒れている相方を視界に捉えながらも、ボロ布が何処かに居る事を思えば、

直ぐに救助に向かう訳にもいかなかった。



倒れたシャリスを中心に(0,5)ブロック分を、外周からクリアリングし、

ボロ布が居ない事を確認出来たため、速やかにジェーンに近づいた。




『シャ…、ジェーン無事か?!』


『…、ゴフッ…、ペリ…トゥス?』



声をかけると顔は向けずに、むせ込みながら返事だけ返して来た。



(意識はある、外傷性出血は無い、呼吸も乱れているが出来ている。

 だが、トラウマプレートが陥没している、内臓は怪しいな…。)



声をかけながらも速やかに体の状態を確認していく。



『動けるか?すぐ此処から抜けて向こう(現世)に戻り次第、支部に帰るぞ。』



ジェーンを担ぎ上げようとすると返事があった。



『待って…、アイツは消えた…もう居ない。

 それよりも、何か落としたのを見た…、それを回収しよう。』



ジェーンのその言葉に驚愕を覚えつつも、

事実であれば様々な利点がある事を思い、ジェーンに肩を貸しながら路地に入る。




『それ…、そのボトルを…、捨てたのを見た。』



その言葉の先に視線をやると、

見慣れない、ラベルも貼られていない金属の小さなボトルが転がっていた。



『それを…、傷口にかけてたんだ…。』


『つまり、傷薬の類か?』


『うん…多分だけどね。』



(魔獣が傷薬?そんな事例は聞いた事が無いが…、そもそも魔獣では無かったのか?。

 今は気にしている場合では無いか…、回収して現世に戻るか…。)


『これの他には何も無いか?』


『うん…、大丈夫、特に無いよ。』



ボトルを回収し保護領域を解除して、アメリアに車を回すように連絡する。



『ジェーン、あのボロ布はどんな奴だった?』


『ハハッ、聞いて驚け、アイツはスカーレッドだったんだ!。』



変身を解除し、怪我が治ったシャリスが嬉しそうに言う。


『スカーレッド?、何だそれは?。』


『えぇ~?知らないのぉ~?』


『その顔止めろ、風穴を開けたくなる。』


『ハイハイ、でスカーレッドだけど、B級の討伐で活躍した魔法少女なんだ!』


『は?、B級の?と言うかその顔も止めろ、ムカつく。』


『この顔は真顔だよ!』



冗句を言いながらも頭の中でスカーレッドについて思い出そうとしていると

ジェーンではない人物から声をかけられた。



『はぁ~い、お二人さん、乗ってくかい?。』



そこには車の窓から金髪ロングヘアの女性が顔を出して声をかけてきていた。



『アメリアか。早かったな。』



その人物の名前はアメリア・J・シゲモト。

魔獣対策局○○県西()()支部、魔法少女課主任の女性だった。




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[気になる点] コイツは...ツンデレの匂いがプンプンするぜ..!
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