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魔法少女スカーレッド  作者: ブラウン
第一章
22/49

魔法少女たちの憂鬱 後編

【SIDE フィールム】




紅い魔法少女が戦線離脱してから、一体どれぐらい経っただろうか?。


魔獣は未だ健在で、私達では自分の脅威足りえないと理解しているのか、

悠々とした足取りで攻撃を繰り出している。



「フィールム奴の動きを止めろ!、フィロクス私に合わせろ!!」



エクエスの出した指示に従い、紐と言うよりもはや綱と言った太さで、

魔獣を縛り上げるが、身じろぎするだけで何本か切れてしまう。



「長くは持たん!確実に決めろ!!」


「当然だ!、フィロクス!!」「エクエス!誰に言っている!!」



エクエスに魔獣を拘束した事と、時間制限がある事を告げると、

フィロクスを引き連れ魔獣の首の、鱗の隙間に交差するように斬り付けた。



「チッ!浅いな、鱗下の皮も並の硬さでは無いなぁ!」


「御託は要らんぞ、一度で無理なら連続だ、続け!」



フィロクスが好戦的なギラついた目で魔獣を見据え、エクエスが追撃を開始した。


そして魔獣はと言うと、薄皮を切られた事に苛立ったのか、

顔の近くを飛ぶ羽虫を払うように、

拘束している綱ごとエクエスとフィロクスを薙ぎ払った。



「グッ…、魔獣一体も抑えれないのかね?、フィールム。」


「文句を言わないでくれ、相性が悪いにも程がある。」



全身刃物で覆われた巨体など、拘束するだけで精一杯だと言うのに。



「一つ分かった、奴の外殻は魔法を弾くぞ、外殻下の皮なら通るが…。」


「隙間を狙って魔法を当てるのは厳しく、隙間を斬るのも容易くない、か…。」


「何かしらの方法で鱗を剥いで、そこに魔法を…。おい、紅いのが生きてたぞ。」


「何ッ!?、無事だったか!。」


「アレが無事とは…、見えんがね。」



そこには、腹から流した大量の血の後に、傷口はグズグズに黒く炭化しており、

その傷の周囲は皮膚が爛れて、皮膚の下の筋肉が露出している箇所もあった。


腹も窪んでおり内臓の幾つかは文字通り焼失しているだろう。


そして内臓ごと腹筋も無い為、動きは歪で、身体より手足が先に動いている

糸で操られた人形の様な不気味な動きで魔獣の前に立っていた。



「ねぇ…()()は一体()なの?」


声に振り向くと、青白い顔をして(やつ)れたニーサが立っていた。


「あんなの…、人間の出来る事じゃない!!

 私が助けに向かった時にあの子何したと思う?!。

 私に炎を出すように言って、それで傷口を焼いたのよ?!。


 それだけじゃないわ!、あの子の顔に、腕に傷があったのよ!!。

 今日出来た傷じゃない、ちゃんと塞がった傷跡があったのよ!!。

 

 でも、病院で手当てを受けた跡じゃないわ!!、無理やり傷を塞いだような、

 ケロイド状になっていたり、皮膚が引きっつった跡があったわ。」


ヒステリックに叫ぶような声でニーサが言葉を続ける。


「ねぇ…。

 変身した時に傷跡なんて出来た事無いでしょ?だって()()()()()()なんだもの

 私だけじゃないわ!、アナタたちだってそうでしょ!

 …ならあの子は、なんなのよ?。」


今にも膝から崩れ落ちてしまいそうな程、憔悴しきったニーサが絞り出す様に言う



「・・・、それは、本当かい?ニーサ。」


「えぇ!エクエス、アナタも見れば良いわ!、

 あの子の目を、傷を、どれか一つでも見れば異常性が分かるわ!!」


「話は後だ!()()を死なせないように立ち回るぞ。」



二人の会話を途中で止めさせて、

彼女(紅い魔法少女)の支援に移ろうとした矢先、魔獣の尾を血を流しながら蹴り上げ、

振り下ろした槍で魔獣の頭を叩き斬った。



「異常…、と言うほか無いな。」



エクエスが呟く、全くもって同意しかないが、

他の魔法少女と大きく異なるのはこの先だった。



「なん…だ、アレは…、奴は何をしてるんだ?」



魔獣が塵となって、紅い魔法少女の腕に渦を巻いていた。



「…、全員を集めろ、奴と()をしよう。」


「それは…、あまり穏やかでは無さそうだね。」



エクエスが()()()をしようとし、私が非難した。



「ふむ…、なら君が話をすれば良い。」


「…、分かった。」



エクエスめ、一体何を考えている…。



フラフラと揺れて、まっすぐ立てていない、紅い魔法少女の腕に、

渦を巻いた塵が無くなってから声をかけた。



「そろそろ良いかい?、君は何処の誰なんだい?。」



彼女は顔を向けるだけで何も答えない。



「おや?、また()()()()、だが今度は話してもらうよ。」




私自身、確かに興味があるが、

それ以上に少しでも答えてくれないと、エクエスが何をしだすか分からない。

だから、何でも良いから返事が欲しかった。



「・・・、何も話すことは無い。」




その返事では無く、せめて名前だけでも答えて欲しいんだが…、

私としては勝ち目は無いし、今頃は魔獣に殺されていたかも知れない事を考えると

命の恩人と言って過言では無い為、エクエス達に手荒な真似はさせたく無い。


「それは困るな、力づくで聞くしか無くなってしまう。」



「・・・、出来るとでも?」




出来るか出来ないかで無く、エクエス達は必要とあらばするだろう。

それを言って伝わるとは思ってはいないが…。


「出来ないとでも?」



私の返事の裏で、エクエスがオルビスに小声で命じ、

紅い魔法少女を囲むように半透明の狼が姿を現した。


エクエスめ、やはり力尽くで聞き出すつもりか…、



「なに、同じ魔法少女の(よしみ)だ、手荒な真似はしたくないんだ。」


 頼む!何でも良い!答えてくれ。




「・・・、私は、お前たちと同じではない。」




なん…だと、同じ()()()()()()()()、だと?。




あまりにも衝撃的な内容で呆然としていると、()()が槍を振るった。

彼女の力で抉られた地面は爆発したかのように砂煙をあげ、彼女は逃げて行った。


そして、何時(いつ)倒れても良いように、

彼女の体に忍ばせた糸も、全て無理やり引き千切られた。


まさかっ?!気付かずに動いて切り裂かれてはないだろうか…、

断ち切った感触ではなく、糸が千切れた感触だったから大丈夫だろうか?。



「そんなに手を見つめてどうかしたのか?」



千切られた糸の繋がった手を見ているとエクエスが話しかけてきた。

コレは素直に言うべきだろうか、あまり信用ならない奴だが・・・。


「…、いやなに、四肢に巻き付けた糸が全て千切られてね、

 切り離すのが遅れて、指を痛めただけだよ。」


「…、ふむ、そうか。」



誤魔化せただろうか…?。



「時にフィールム、あの紅い魔法少女…、あの紅い人物についてどう思う?。」


「…、さてな、分からない事だらけだね。」


「なに、直感的な物で良い、()()()か?。」



味方とは考えていないのか…、それだけでお前が何をするかは察しが付く。



「現状、敵ではないだろう、まぁ戦って勝てる見込みも無いがね。」


「・・・、そうだね、その通りだ。よし、話は終わりだ、総員撤収するぞ!」



エクエスが号令をだして保護領域からの撤収を始めた。

次話は両サイドの後日談的な物を挟むつもりです。


評価を入れていただければ嬉しいです。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 傷がずっと残ってるのは痛覚無効の代償なのかな? [一言] 次話も楽しみに待ってます!!
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