B級相当の強さ 後編
どうも、こんばんは…と挨拶してる暇の無い朱莉です。
流石に…コレは厳しいですね。
お腹の真ん中に穴が開いて、両脇腹も抉れています。
棘が抜けたら出血で死んでしまいそうですので、
腹に刺さった棘は肘鉄でへし折って刺さったままにしておきましょう。
あ~、異物感がすさまじいですし、棘を折った衝撃が内臓を揺らす感じが、
堪らなく気持ち悪いです。
棘付き棍棒と壁にサンドイッチにされた所為で、呼吸もしずらいですね…、
コレって、もしかしてピンチですか?
痛くは無いですが、血と一緒に命のような何かが零れていくのを感じ、
背筋に冷たい何かが這う気がした。
これが『死』というものですか…。
具体的な言葉を思い浮かべると急速にそれが現実味を帯びていくのを感じた。
――ここで死ぬ訳にはいかない。
そんな呟きに似た何かを口にすると、目の前に妖艶な魔法少女が現れた。
「大丈夫!?生きてる!?直ぐにルイセちゃんの所に連れて行ってあげるからね!!」
ルイセ?って誰ですか?回復役の人ですか?もしかしてシスター?
でもこの傷じゃ回復は間に合わないですね。
“回復薬か魔法薬か何かがあれば”良かったんですが…、
妖精界の回復ポーション的なのでも買えば良かったですね。
血が棘を伝ってダラダラと溢れて行くのが止まりそうに無いですよ、
これは、もう無理やりにでも止めるしか無いですね。
「・・・、火の玉を出せ。」
「?!、ダメ!!それ以上喋らないで!!」
「・・・、いいから出せ、間に合わない。」
何度も同じ事を喋るのは本当に苦手なのに、無駄に喋らされましたよ。
魔女が渋々といった様子で、
杖の先に15㎝程度の火球を出したので、それを無理やり傷口に押し当てた。
何かの映画で見たんですよ!、呼吸が出来ない事や、心臓が止まってる事よりも、
大量の出血の方が死に至る時間が早いと!。
そして焼死のほとんどは火事で発生した有毒ガスが原因か、
火傷した所が感染症になってしまって死に至ると!!
つまり!、制御された火球なら有毒ガスは出ないし!、
感染症も変身を解除すれば気にしなくて良い!
それでいて出血を止める事が出来る!!私天才!!!
――ジュゥゥ
熱っ!?、え?熱いんですけど!?。痛くは無いですが
寒い時期に熱めのお風呂に跳び込んだくらいに熱いんですけど!
あっ、魔女さんが火を消そうとしてますね?
「…、消すな、消せば私は死ぬぞ。」
杖を持った腕をつかみ、私の言葉を聞いた魔女さんが、
ビクッっと体を一度振るわせて、泣きそうな顔をしながら火球を維持していた。
泣きたいのはコッチですよ、何が悲しくて自分を焼かないと行けないんですか。
◇
傷の表面があらかた焼き潰せたので、火球から離れると、
魔女さんの方が今にも死にそうな顔面蒼白で、妖艶さの欠片も無くなっていた。
えぇ~、何か凄い罪悪感を感じるんですが…、もしかしなくても私の所為?。
でも仕方が無かったんですよ、死ぬか生きるかの瀬戸際だったんです。
おかげでまだ戦えますよ、ありがとうございます。
そんな感謝を心の中で済ませ、槍を手に取り、魔獣に足を向けた。
◇
再び…三度?、何度目でしたっけ?、まぁ改めて魔獣の前に立ちました。
かなり厳しい戦いになりそうですが、勝てばよかろうなのだ!
お腹に開いた穴を焼いた所為で、腹筋が動かせそうに無いですし、
腰回りの筋肉も使えなさそうですね。
ですがその分、手加減的な何かを止めれば良いんです、
えぇそうです、私は手加減的な何かをしていました、何かです。
尻尾を縫い付けたのが60%くらいの力で、甲羅に切りつけた時の攻防が70%程度です。
それで互角に戦い、ふとした油断で一撃を貰ってしまっただけなんです。
ココからは80%くらいの力で戦えば良いんです!!、
最初から出しとけば良いとか思っちゃ駄目なんです!!駄目ったら駄目!!!
魔獣に近寄ると棘が数本欠けた尻尾を、先ほど同様コンパクトに振り回し、
私は先ほど以上の力を込めた踏み込みをしながらそれを弾く。
魔獣の攻撃を弾いたり躱したりして、魔獣に一歩ずつ近寄っていく、
魔獣は尻尾だけでなく前足を使うようになり、さらに近づくと噛みついて来る。
尻尾はよく見て弾く、前腕は回避、噛みつきは隙があれば攻撃、
それを繰り返していると、魔獣も焦ったのか、尻尾の攻撃をして来るも、
ちょうど、棘の無い部分で攻撃してきた。
私はその部位を全力で蹴り、その足で踏み込み、槍を魔獣の頭に振り下ろした。
槍の刃が魔獣の頭の装甲を叩き割り、脳を破壊し、頭部を縦に斬り裂いた。
頭を二つに両断された魔獣は遂に倒れ、その身体が塵になって腕に纏わり付く。
ようやく、倒せましたね…。今回は本当に厳しかったですね。
下手をしたら倒れていたのは私の方でした、ですがコレでしばらくは安泰でしょう。
「さて…と、そろそろ良いかい?、君は何処の誰なんだい?。」
三角帽子の魔法少女を筆頭に見かけた魔法少女達がコチラを警戒していた。
先ほどの魔女も少し後ろで警戒していた。
「おや?、まただんまりかい?、だが今度は話してもらうよ。」
「・・・、何も話すことは無い。」
「それは困るな、力づくで聞くしか無くなってしまう。」
えぇ~、そんなのアリですか?、そんなのして良いんですか?、
政府公認の魔法少女ってそんなのが出来ちゃうんですか!?
「・・・、出来るとでも?」
「出来ないとでも?」
三角帽子の魔法少女が被せる様に答え、
同時に着ぐるみパジャマの魔法少女が半透明の狼を数体召喚し、私を囲む。
「なに、同じ魔法少女の好だ、手荒な真似はしたくないんだ。」
―― 同じですか?、私は妖精界側の契約社員(自称)なので、
貴方達と同じと言うと少し語弊がありますよ?。
少し話をしている間に身体がどんどん動かなくなってきました、
このままでは捕まってしまいますね。
私は全力で地面を槍で破壊し、砂埃を巻き起こして逃走した。
砂埃の中、体のあちこちを切り裂かれる感覚がし、
保護領域の端近くまで逃げた後、傷を確認すると、
腕や胴に限らず、首にも深い傷が付いており、早々に倒れる事が予見出来た。
かなり正確に斬られていますね、一体どうやって?。
いえ、考えている暇があったら少しでも距離を離しましょうか。
今回はかなりの儲けになったハズですが、次は妖精界の薬でも買っておきましょうか。
あ~、他にも色々と欲しいものがあるんです、買えると良いな~。
私も帰ろ お家に帰ろ でんでん でんぐりかえって バイ バイ バイ
感想を頂く事が少し増えたのですが、所謂「感想返し」なる物をする方が良いのでしょうか?
私の返信で読者を不愉快にしてしまわないか、少し心配になった筆者です。
話を無理やり変えるために、少しだけ小話を
一応ですが魔法少女としての名前は法則性があります(主人公を除く)




