表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/7

4. 特別な能力

「特別な、能力?」


 俺は頭をかしげた。

 ユニも不思議に思ったのか、シューに聞く。


「なんのことですか? 特別な能力って」


「あぁ、それはまた戻ってから言うよ」


 ごまかすように答える。

 何か言えない理由でもあるのだろうか。

 すると、クマガリさんが口を開いた。


「君、助かったよ。レベル1にここまで強いモンスターが出るとは思わなかった。兵団の確認ミスだろう。でも、話を聞いてると、こうなることが分かっていた様に聞こえるのだが?」


 シューは頭を掻きながら言う。


「あー。なんとなくは分かっていました。分かっていたから俺達がここにいるんですから。あなた達に怖い思いさせたのは……本当にすみません。でも、あなた達のおかげで、また兵団が強くなるということだけ言っておきます」


 兵団が強くなる?

 なんのことだろう。


「あぁ、そうか。よく分からないが、結果全員生きているからいいよ。みんな感謝している。本当にありがとう」


 腹部かと頭を下げたクマガリさんを見て、謙遜した様子で言う。


「いいっすよ、そんなの。俺達が悪いってところもある……ってかほとんど俺達のせいですから」


 そんな会話を見ていると、次は俺達に話しかけてきた。


「っあそうだ、お前ら二人、いやあの子も含めて三人か。魔石、取らねぇのか?」


 魔石?……魔石か!

 壮絶な戦いですっかり忘れていた。


「そうだよ! 幻想種の魔石! 初めて見られるね、セト」


 ユニも忘れていたようだ。


「そうだな、とりあえずあいつ呼ぶか」


 俺は後ろに振り向き、壁にくっついて座っているカリスのもとへ向かう。

 近づいていくと、カリスの顔が笑っているのがわかった。


「なに笑ってんだよ。魔石、取りに行くぞ」


「うん。そ、そういえば、あんた達にしては良かったわよ。あの戦い」


「そうかい。ありがとな。じゃあ行くぞ」


 後ろから着いてくるカリスからは、何か満喫したような笑い声が聞こえた。



「開くぞ」


 グサッ、ベリッ


「わぁ、なんだこれ!」


 クラーケンの体内には、赤く光った魔石があった。


「見たことないわ、こんな魔石」


 俺達は、魔石に見とれながら、回収を始めた。


「量は意外と少ないんだね」


「あんなでっかかったのにな」


 黙々と勧めていく。

 回収は意外と早く終わった。


「なんかあっけないわね」


「これがどのくらいの価値があるかだな」


 クラーケンの体から降り、クマガリさんのもとへ向かっていく。


「これだけとれました」


 クマガリさんは魔石を受け取り、その魔石の一部を俺達に渡した。


「君たちが勇敢に戦ってくれたお礼だ。受け取ってくれ」


 魔石を換金する前に譲渡するのはモラル違反だが、他のメンバーも許してくれた。


 ようやく長い戦いは幕を閉じ、俺達は氷の部屋を出た。


 ゴゴゴゴ


「開いたか」


 しまっていた出入り口が開いた音だ。

 ボスを倒し、ボス部屋を出ると開くようになっている。


「そういえば、さっきあんた達、攻撃隊の人と途中から来たすごい人に何話してたの?」


 カリスが突然聞いてきた。


「あぁ、なんか俺達がうっ」


 事情をカリスに言おうとすると、シューが手で口を閉ざしてきた。

 そして囁く。


「さっきのことは誰にも言うなよ。兵団のために秘密なんだ」


 そしてカリスにも囁く。

 内容は聞こえないが、多分、教えられないって言ってるのだろう。


「はぁ、別に教えてくれなくてもいいわよ」


「まぁ一つぐらいは教えといてやろう。エマちゃんはこれからこの二人と会う機会がほとんどなくなる、すまんな」


 カリスと会う機会がなくなるなんて初耳だ。


「え? 俺達エマと会えなくなるんですか?」


「会えないってわけじゃねぇけど、レベル1のダンジョンに行く機会が少なくなるだろうから、必然的にな」


「カリスも一緒に」


 俺が言おうとしたら、横から、カリスのチョップが俺の横腹に刺さった。


「そんな同情しなくてもいいわよ。私は一人でも大丈夫。あんたがクラスAになれって言ったんでしょ」


 小さい頃からカリスは口だけのやつだった。

 しかし、今日は違う。

 心配だが、今のカリスの言葉には覚悟を感じた。


「強いなぁ、カリスちゃんは。ちなみに、どっちが好きなんだ?」


「ちょ、ちょ、私達はそんなんじゃないわよ!!」


「え〜ほんとに? セトくん達は?」


 いきなり俺達にふってきた。

 俺が発言するのを渋っていると、ユニは躊躇なく言った。


「僕は好きですよ、二人共。僕の大切な親友ですから」


 ユニの恥ずかしがらない態度に不満げなシュー。


「そういうんじゃねーんだけどなー、まぁいいよ。ほら、もう出口だ。出るぞ」


 暗く寒いダンジョンを抜け、日光を浴びる。

 後ろを見ると、ダンジョンが消滅していった。

 一緒だ。

 今日も一緒だったな。

 ダンジョンと、俺達以外は。




 シューに連れてこられた俺達は、いつの間にか兵団本部の地下に来ていた。

 地下には部屋がいくつかあった。


「ここだ、はいっていいぞ」


 ドアを開けると、まるで普通の家のような空間が広がっていた。


「本部に地下なんてあったんですね」


「そうだ、ってか敬語やめてくんねぇか。なんかムズムズするんだよ」


「そうなのか? わかった。じゃあ改めて聞くけど、本部に地下があるなんて聞いたことがなかった。それも秘密だってことか?」


「まぁそういうことだ、ユニは何か質問あるか?」


 横にいたユニは、ぼーっとしてたのか、呼ばれたことに驚いている。


「え、あぁ、じゃあ、この部屋はなんの部屋なの? 本部の地下にあるような特別な部屋だとは思えないんだけど」


「ここはな、今からお前らの、いや、俺達の家だ!」


「ええぇ!」


「僕の家には、病弱な母がいるんだけど」


 ユニが困って言うが、シューは自慢げに答える。


「はっはー、そんなことは調査済みだ。俺達がここに来る前に、ユニ母は本部の特別病棟に入っているのだ。もちろん金は取らねぇぞ。いつでもお見舞いいけるようにしてる」


「そんなことまでしてくれるの! ありがとう!」


「おれはなんもしてねぇんだけどな」


 シューはわかりやすく照れていた。


「そういえば、エマさんはどこ行ったの?」


「あいつは強い分忙しいからなぁ、なに? 気になってんのか? あいつはやめとけよ〜」


「ち、ちがうよ」


「ってか、そろそろ家の説明始めてくれよ」


 ドアを開けたところで止まっていたシューに言う。


「おぉすまんすまん」


 やっと家の中に入り、シューが説明する。


「まず、入ったらでっかいスペースがある。ここがリビングだ」


「ひろっ、まじか」


「キッチンはすぐそこ」


「きれい!」


「そんで、右に行くと俺達男スペースだ。ちなみにさっきのを左に行くと女子スペースだ。エマとかが住んでる。あんま近づかないほうが身のためだな」


「女子と同居なのか」


「で、ここが俺ともう一人のやつの部屋で、そこがセトとユニの部屋だ。他の部屋は一応空き部屋」


「まじか……部屋多すぎるだろ」


「おまえら、全部に反応するんだな。入ってみ」


 俺とユニの部屋のドアを開ける。

 すると、


「広い!」

「ここ、家賃で考えるとどれくらい……」


 部屋の広さと綺麗さに驚く俺達を見てシューが言う。


「いや、そこまで広くないだろ。二人でギリギリだろ」


「いや、俺達今までこんなとこ住んだことないよ」


 すると、後ろの部屋のドアが開いた音がした。


「やぁ、君たちが新しい子?」


 そこには、イケメンがいた。


「うん。名前はセト、こいつはユニ、よろしく」


 手を出すと、快く握手してくれた。


「こいつは、ロン。俺と同じ部屋に住んでる」


 ロンは「よろしく」と言いながら、シューの肩に手を回す。

 シューは嫌がって手をどかし、ロンに聞いた。


「今日あいつは? ヒキちゃん」


「あぁ、なんかまだこもってるみたい」


「いつもどおりか」


 ヒッキーって誰だ。


「誰ですか? そのヒッキーって」


「ヒッキーは俺のつけたあだ名なんだが、まぁそいつも後で紹介するわ」


 ヒッキーが気になる、と思っていたらロンが真剣な顔をして言った。


「で、なんなの? セトくんとユニくんのは」


 突然意味不明な質問をしてきた。


「なんなのってどういうこと?」


 聞こうとすると、シューが止めに入った。


「まぁ、それは後だ。先に荷物を部屋において着替えろ。リビングで待ってるから」


 ヒッキーやらのあの質問やら気になることがたくさんあるが、とりあえず後にしよう。


「わかった」


 ロンとシューはリビングの方へ向かった。

 ドアを占めると、横ではユニが部屋を見渡している。 


「でもほんとに広いよねーこの家」


 あいつらにとっては狭いかもしれないが、やはり俺達にとっては豪華な部屋だ。


「そうだな〜」


 戦闘服を脱ぎ、普段着に着替える。

 用意されていた椅子に座り、深呼吸をすると、今日の戦いの疲れがこみ上げてきて眠くなった。


「セト、寝ちゃだめだよ。リビングいくよ」


 危ない、寝そうになっていた。

 眠気を覚ますために大きく背伸びをして椅子を立つ。


「ん〜〜はぁ、行くか」


 シューがいるリビングへ向かった。



 リビングでは、シューとロンが木製の机をまたぎ、向かい合ってソファーに座っていた。


「おっ、来たな、そこ座れよ」


 青いフカフカのソファーに座る。

 何の素材でできているか聞きたかったが、今は本題に入るべきだろう。


「で、何を話すんだ?」


「あのとき俺が言った、特別な能力についてだ」


「あ、あのことか」


「そう。そんで、そのときお前らに何か感じたかって聞いたんだが、お前らは何も感じないって言ってたよな。どうだ、その後何か感じたことはないか?」



 ダンジョンからここまでの道中を思い出す。


「いや、とくに」


「僕も」


 ユニも何も感じていないらしい。

 それを聞いたシューはため息をつく。


「は〜そうか、じゃあ常時系能力じゃないのか」


 能力にもまた種類があるのかと思い、シューに尋ねる。


「なんだ、その常時系ってのは」


「あぁ、常に能力を発揮しているタイプの能力のことだ。常時系は能力が自分ですぐに分かるんだが、使用系はなぁ。まぁとりあえず、落ち着いてもう一度あの戦いを思い出してくれ」


 脳裏に焼き付いたクラーケンを思い出す。

 クラーケンに沈められた。

 ユニに助けられ、次はそのユニが掴まれる。

 そして一瞬のうちに、ユニを掴んでいたクラーケンの足がバラバラになる。

 ん?そういえば。


「そういえば、ユニがクラーケンの足をバラバラに切り落としたとき、一瞬、俺とユニが光で繋がったように感じたかも」


 俺の言葉を聞いて、シューは何か思い出した様に言った。


「光でつながる? それってもしかして」


 シューはロンに目線を送る。

 それにロンも答える。


「うん、たぶんね」


「「補助魔法だな」」

ちなみに、あの家にはトイレは二つありますが、お風呂はありません。

地下にある、別の部屋が大浴場になっていて、みんなそこで入っています。

男ぶろと女風呂、ちゃんと別れてますよ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ