悪役聖女と勘違い
そしてわたくしは今、洞窟の中の椅子に座りお兄様と対面しています。
途中から空気だったキディリさんには謝罪をしたところ、笑顔で許してくださいました。せっかく再会できたのだから兄妹水入らずで話してくるといい、と気を遣ってくださりこの場にはいません。
わたくしとしても、人に聞かれると色々まずいこともあるので正直ありがたいですわ。
「・・・」
「・・・」
き、気まずい・・・。さっきまではペラペラと喋っていたお兄様は、今は一言も発さないでじぃ~とわたくしのことを見ています。
うぅ。わたくしはお兄様のように美形ではないのです!悪役・・・それも最低悪役令嬢なのです。見る価値などそこらの埃と同じですわっ。
ですので見ないでください・・・。そんなに見られたら穴が開いてしまいますっ!ただでさえ家に帰ろうとか言われて神経がすり減っておりますのに・・・!
「あの!お兄様・・・!」
「っ!なんだい?」
うわっ。凄いですわ。光が、お兄様の後ろから光が差しています。効果音をつけるとしたらパアァッ!という感じの笑顔ですわ。
そんなにお兄様と呼ばれたのが嬉しかったのかしら。
「まず言っておきたいのですが・・・。わたくし、帰るつもりはございませんわ」
「・・・やっぱりか。いや、どこかで分かっていたんだ。お前は家族を守ろうとして、俺たちを守ろうとして出て行くことにしたのだろう?その件なら心配しなくていいから帰っておいで」
あら?なんか話がズレてる気が・・・。
わたくし、出てった理由が「守ろうとして」なのは認めますが、それは「家族を」守ろうとしたのではなく、処刑から「自分を」守ろうとしただけなのですが。
ええ、自分第一ですがなにか?命は大事ですわ。
「お兄様、わたくしはどうしても帰るわけにはいきませんの。理由は言えませんが、どうかご理解してくださいませ」
「・・・・・・そうか。残念だ。おまえと過ごすことを楽しみにしていたのだがな・・・。お前はそこまでして我らを守ろうとしてくれているのか。
・・・分かった、お前の気持ちを尊重しよう。父上には黙っておくよ」
なんかいい感じに勘違いしてくださった感じですかね?まぁ、あえて否定も肯定もしないで起きますが。
わたくしは悪くないのですっ!そう、だまされる方が悪いのですわっ!おーっほっほっほっほっ!
「ありがとうございます。お兄様」
「よし、じゃあこの話はもう終わりだ。暗い話ばかりだとどうも・・・な?
ロゼット!」
お兄様がわたくしに向けて腕を広げています。これはやはり・・・
「ロゼット!おいで!」
そういうことですわよねぇ・・・。
わたくしはそのまま大人しくお兄様に抱きしめられることにしました。ぎゅぅっとされて少し苦しい気もしますが、お兄様が幸せそうなので良しとしましょう。
ここで、遅いわたくし達を心配して洞窟まで入ってきたキディリさんに、またまた抱き締められているところを見られたのは余談ですわ。
最近ツイッターに浮上してるんですよ~。なので更新忘れてたら教えておくんなまし✌︎('ω')✌︎