-再会-
う~ん٠٠٠٠٠٠٠。
光が顔に当たって眩しい٠٠٠でもそろそろ起きなくちゃ
それにこれは人の٠٠٠声٠٠٠?それも複数٠٠٠。
この森は私しかいないはずなのに٠٠٠一体なぜ٠٠٠?
と微睡んでいたが、次の瞬間今までのことを思いだし慌てて起きる。
(そうだ!ランスさん٠٠٠٠٠٠がいない!?えっ、ちょっ、どこ行ったあの人?)
「٠٠٠から٠٠٠٠٠٠٠٠٠٠で、٠٠٠ロゼ٠٠٠٠٠٠٠٠٠٠は٠٠٠٠」
「だが٠٠٠٠٠٠٠かも٠٠٠٠٠٠٠٠٠٠٠٠٠٠٠か?」
(!この声もしかして٠٠٠!)
身だしなみを整えて急いで外に出ると、そこにはキディリさんと、眠っていたはずのランスさんがいた。
勢いよく洞窟から出てきた私に驚いたのかな?
二人は数秒フリーズしてしまった。
え?なにそんな私怖かった?髪振り乱して山姥っぽかった?
そっか。私銀髪だし、山姥の白髪に見えたのかもね。それに私、最低悪役令嬢だし。
「あの٠٠٠?」
「あっ!ああ、すまない。あまりの美しさに天使が降りてきたかと思って、思わず見惚れてしまったよ」
うぅっ!朝一から美形の笑顔はクル٠٠٠٠っ!キディリさんが眩しい。
目が、目があぁぁぁぁぁっっ!!
ムスカ~~~~ッッ!!
はい!お付き合いありがとうございます。
でも美しいって٠٠٠。気を使ってくれたのね。私なんかより、ヒロインちゃんの方が何億倍も可愛いもの。
٠٠٠ヒロインちゃん見たことないけど。
でもその証拠にランスさんは相変わらずフリーズ。目を見開いたまま私をジッと見つめてくる。
痛い痛い。視線が刺さる。
だけど心なしか何か喋っているような気がする。「可愛い・・・天使、いや女神?でも人族だから・・・そうだ聖女だ。キディリ様が言うに俺の傷も治してくれたそうだし、こんなに美しくて優しくて傷を癒やしてくれるなんて・・・まさに聖女じゃないか・・・」う~ん。小声すぎて聞こえないな。
「ロゼット٠٠٠٠٠」
「? はい?すみません。聴こえなかったのでもう一度いいですか?」
「ロゼット٠٠٠なのか?」
「は、はい。そういえばランスさんにはまだ名乗ってませんでしたね。私はロゼットといいます。それより傷は痛みませんか?もし痛むようでし」
ガバッッ
「ふぇ!?あ、あの٠٠٠ランスさん!!?」
私の顔のすぐ横にはランスさんの端正な顔。私よりランスさんの方が身長が高いため、覆い被さるように抱き締められている。
٠٠٠えっ?何で抱き締められてるのっ?
それにランスさん、なんか私の名前知ってるっぽいこと言ってたんだけど٠٠٠。私こんな美形知らないよ?知ってたら忘れないもん。
そうか!誰かと勘違いしているんだ!ランスさん、きっと怪我のせいでまだ意識が朦朧としているんだよ!それで私を誰かと見間違えちゃった・・・と。うん。きっとそうに違いない!
「あの、ランスさん!私です、ロゼットですからっ!」
「? ああ。勿論知っているよ。俺の可愛い妹。お前に会うことを一体どれだけ夢見たことか・・・っ。さぁ、早く家に帰ろう。使用人たち、それに何より父上と母上がお前のことを待っている」
「ふぁっ!?ちょ、ちょっと待ってください。重大な情報が一気に入ってきすぎて・・・って、妹!?」
妹ってどういうこと!?それに使用人たちに父上と母上ですって??
ああ嫌だ。結論にたどり着きたくないっ。これ以上はノーサンキューです!脳が受け取りを拒否ってます。脳だけに。
え?なにサムいこと言ってんだって?
申し訳ございませんただ今こちら現実逃避の真っ最中でございますので電話の方はピーっという発信音の後に20秒以内でご要件をお話しください。
「そうだ。お前はあの夜出て行ってしまったから俺のことを知らないだろうが、俺はお前の兄だよ」
あ~~!しまった「要件をお話しください」じゃなかった!馬鹿か私はっ!
こんなかんじで脳内一人芝居をしているうちに、私を更に窮地に追い込む爆弾が投下された。
「さぁ帰ろう。我が家、カーライン家へ」
みぎゃあぁぁぁぁぁっっ!!見つかったっ!
私はそれを聞いた途端、血の気が引き、顔が真っ青になるのがわかった。ランスさん・・・いえ、お兄様と呼んだ方がいいのかしら?お兄様も私の顔色に気づいたようで気遣ってくれる。
「ロゼット?顔色が悪いようだが・・・。もしかして抱きしめたのが苦しかったか?すまない。会えた嬉しさのあまり、加減ができなかったようだ」
お兄様は眉を下げ、申し訳なさそうにしながら私を腕からだした。
なぜか未練たらたらで、放したくなさそうだったのが気になったけど・・・。
「い、いえっ。苦しかった訳ではないので大丈夫ですわ。えと、それでわたくしが妹というのは一体・・・?他のことなども是非詳しく聞きたいのですが、よろしいでしょうか?」
「ああ、勿論だ。」
慌てすぎて早口になってしまった・・・。淑女にあるまじき行いでしたわ。それでも笑顔で返してくれるお兄様、格好いいっ!紳士の鏡ですわね!
お兄様の了承を得たわたくしは、立ち話も何だからと洞窟の中へお兄様を引っ張っていった。
・・・・・・・・・・あ、キディリさんを忘れてましたわ。
テンパったりお貴族さまの前だと、無意識のうちにお嬢様言葉になってしまうロゼちゃん٠٠٠