溺愛系義兄の夢、そして目覚め
〈父の執務室〉
俺は先程の事を話した
彼女が自分で家を出ていったかもしれない、ということだ。
話し終わると、父上は片手で顔を覆い深くため息をついた
“٠٠٠父上?”
“٠٠٠٠٠٠٠٠٠٠٠٠٠あの子はもしかしたら気づいたのかもしれない。そして我々のことを思って出ていったんだ”
”っ!父上が彼女を避けていた理由に気がついたということですか?“
”ああ。そういうことだ。٠٠٠お前には確か前に話したよな。カーライン家をめぐる争いについて“
”はい。我が家の【カーラインの翡翠】のもつ力を国中の貴族が欲している。だが手に入らないのなら邪魔でしかない、いっそ消してしまえ٠٠٠。父上は当主として命を狙われることが多い為、彼女を危険に晒さないように距離をとっていた、という事だったと記憶しております“
”そうだそのとおり。あの子は天才だ。これくらい気がついても不思議じゃない٠٠٠。
よしっ!こうなったら探しに行くぞ!いくら天才で大人びていて可愛くって天使なあの子でも、まだ子供だ。心配で心配でならんっ!“
”ち、父上٠٠٠٠٠٠٠٠??“
”よし!待ってろよ我が可愛い可愛い娘よっ!お父様が必ず見つけてあげるからな~!“
そう言うが早いか、父上は風のように部屋を出ていってしまった。
(親バカだったのを必死に我慢していたんだな٠٠٠٠٠٠)
今まで娘を可愛がれなかった分の反動が来たのだろう。だがまさかいつも落ち着いている父上があんなのだったとは٠٠٠٠流石に想像できなかった。
でも、自分も彼女が居たらああなりそうな気しかしないのは何故だろうか。
自分も多分「シスコン」という種類の人間なのかもしれないな。
ただ、何故妹に対してこんなに胸が高鳴るのかは分からないが٠٠٠。
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「う٠٠٠٠ん٠٠٠٠٠٠٠٠٠٠?こ٠٠٠こ٠٠٠は٠٠٠٠٠٠?」
目を開けて周りを見ると自分はベッドに寝かされていた。
何だか懐かしい夢をみたな٠٠٠。
ところで俺は何でここにいるんだ?確かキディリ様とアルダの森にいって、そこで森の主に٠٠٠!?
キディリ様は?ご無事だろうかっ?
瞬間、自分がブラッドベアに切り裂かれたあとから意識を失うまでの事がフラッシュバックした。
「!?٠٠٠٠٠٠٠٠そうか、よかった٠٠٠٠٠」
頭の中にフラッシュバックした映像から皆無事だと分かり、ほっと安堵のため息をつく。
モゾモゾ٠٠٠
「ん?」
何か違和感を覚えて自分が寝ているベッドを見る。するとそこには見事なまでの銀髪を持つ美しい少女がもたれかかるようにして眠っていた。何故人がいたのに気がつかなかったのか不思議だが、問題はそこではない。
その姿を見たとき、心が奥底から震えるのが分かった。
俺が探し続けた、俺の心をこんなにも震えさせる人物。
目を閉じているから見えないが、きっとその瞳は翡翠の緑色をしているのだろう。
ああ。
やっと見つけた。
俺の愛しい妹。
ロゼット٠٠٠٠٠٠!
スランプ٠٠٠
書けないぃぃ٠٠٠٠٠