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第4話 伏兵、それはデスゲームのお約束



 


 賢人が眩しさを感じて目を覚ますと、召喚前にいつも寝起きしていたベッドの中だった。



「夢……か?」



 やけに鮮明な夢だった。深層心理ではあんな経験を望んでいるのか、と思うと賢人は何となくおかしかった。



「ま、でも、ああいうのは夢だけで充分だよな……」



 そう独り言を呟きながら階段を降りるところで、彼はふと違和感を感じる。



「……何で、こんなに、静かなんだ?」



 いつもなら聞こえてくるはずの、車の通るエンジン音や集団登校する子供達の声、そしてこの時間に母親のつけるテレビの音、その全てが聞こえなかった。



 慌ててリビングやタンポポの植えられた庭、道路を確認するも、誰一人として見つからない。



 とりあえずリビングに戻り、深呼吸。



「……メニュー」



 何も起こらないでほしいと願う賢人のささやかな望みは、視界に現れた半透明のメニューによってボコボコにされ、そこら辺のゴミ箱に捨てられた。



「なるほど……やるじゃねぇか。流石、最強系能力。いきなり心が折れそうになったぜ……」



 ハルスとしては、わざわざ賢人を少しでも喜ばせてあげようとして作った『水地家風の家』でまさか賢人を絶望させるとは思わなかったのだが、今のところこの哀しい事故を知る者は誰もいない。



「ま、過ぎたことを考えても仕方ない。何とか生き残る方法を探しますか」



 賢人はそう呟くと、台所から色々な刃物や凶器になりそうなものを探した。



 この切り替えの早さと、まあまあ冴えてる頭脳と、ウォーターグラウンドについての『知識』の3つだけが、今現在において賢人の持つ全ての武器である。



「うん、武器になりそうな物は集め終わった。よし、とりあえずメニューの中身を確認してみよう」



 そう呟くと、早速メニューを頭の中で操作し始めた。



『ーーーーメニューーーー


 マップ:


  現在地: 東京風フィールドD7地区


  東京風フィールド全体の現在の状況


  能力者数:3


  死亡者数:2


  ゾンビ残存数:9999


 所持品:


  異世界の服(上下)


  ポイント(0)


 ポイント獲得条件:


  能力者を殺す:0ポイント/人


  人間を殺す:10000ポイント/人


  ゾンビを殺す:1000ポイント/体


  異能を獲得する:10000ポイント/個


  生き残る:10ポイント/日


 ポイント交換一覧:


  異能


  【時間操作】:5000000ポイント


  【異能具現】:既に所持者が存在します。


  【重力操作】:1000000ポイント


  【身体強化】:1000000ポイント


  【異能鑑定】:1000000ポイント


  【念動力系】:1000000ポイント


  【能力無効】:500000ポイント


  【睡眠憑依】:100000ポイント


  【究極魔導】:100000ポイント


  【真偽判定】:既に所持者が存在します。


  特殊道具


  リタイアの大剣:100000ポイント


  この剣で身体を斬るとリタイア出来る。

  なお、人生からもリタイア出来る模様。


  ゾンビ誘引香:100ポイント


  近くのゾンビを1時間惹きつける。いい匂い。


  ゾンビ忌避香:100ポイント


  近くのゾンビを1時間遠ざける。くさい。


  ポイント授受器:10000ポイント


  ポイントの授受ができる。腕時計型。


  一般品


  注文品をポイントに応じて発送


 異能:


  なし


 ヘルプ:


  今まで受けた質問:


 ⑴この世界で死んだらどうなるの?


 A.現実でも死にます。


 ⑵能力者を殺した場合、その異能はどうなるの?


 A.再びメニューに乗ります。但し、これはゲーム内での特殊ルールですので、現実世界で能力者が死んだ場合は人間には再取得不可能です。


 ⑶5日以内にクリア条件を満たせなかったらどうなるの?


 A.現実世界の本体がアイリスちゃんに破壊されます。


 ⑷ゾンビに噛まれたりしたらゾンビ化したりするの?


 A.しません。但し、ゾンビはA〜Eの各1地区毎に定期的に補給されます。


 ⑸ここで手に入れた物は現実世界ではどうなるの?


 A.現実世界に戻った時に具現化されます。ただし、科学技術的、或いは魔法技術的な代物に代替されます。




「いや、何をつっこんでいいか分からんなこれ」



 どうやら、賢人が寝たり現実逃避をしている間に随分とゲームが進行していた様だ。



「リタイア無理じゃねえか!


 そして、何で既に2つの異能が取得されてるんだ?……もしかして……まあ、これはいい。1番ヤベーのは、能力者数が3って事だ。どうなってんだ?」



(ヘルプさーん!)



(何でしょう?)



(おっ、こんな感じなのか……質問していい?)



(質問内容は自動で公開されますが宜しいですか?)



(あぁ、そういう制約があんのか。うーん、質問。ヘルプで質問できる範囲は?)



(A.このゲームに関することだけです。但し、異能についての説明は出来ません)



(じゃあ、次。能力者の現在地って特定できる?)



(A.出来ます。しかし、プレイヤーに関する情報は注文品扱いになりますので別途ポイントが掛かります)



(うーん、そりゃそうか。じゃあ最後に、ポイント交換一覧に載ってる異能の選出方法は?)



(A.開発者様が我々に託して下さった、あなた方が召喚される直前まで現実世界で誰も適応者がいなかった異能の全てです)



(了解、助かったよ)



「最後の質問だけで分かったことが1つある。クラスメイトの中に、1人だけ召喚される前から能力者だった奴がいるって事だ。


 な、なにを言ってるのかわからねぇと思うが、お、俺もわからねぇ」



 などと、賢人は周りに誰も居ないのに一人でふざけた言動をとっていないとやってられない気持ちだった。



「なんっじゃそりゃ! そいつが真犯人、或いは開発者側のスパイってことか?


 俺達を狙って召喚したのか? いや、俺か。父さんは偶然召喚されたんだとしても、俺が召喚されたのはもしかすると……じゃあ、みんなは俺の巻き添えで?


 ははっ、こりゃ傑作だ……なんでだよ……クソがぁぁ!! ぶっ殺してやる! おらあああぁぁぁ!!……


 はぁはぁ……ダメだ、落ち着け……ぶっ殺してどうすんだ、罪を償わせるんだ……


 ふぅ、よし! とりあえずこれから生き残らないと話にもならないからな。とりあえずゾンビ対策を……ってアババババババ! めっちゃ庭にゾンビおるやんけ! なんで? あ、さっき思いっきり叫んじまった! くそっ、許さんぞスパイめ!」



 などと見知らぬスパイの容疑者に対して、ここぞとばかりに都合よく冤罪を被せて、武器と共に二階に上る賢人だった。



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