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第22話 世界最高の商会

 


 その日の夜、賢人は亜里沙と優香を部屋に呼んだ。



「賢人くんの部屋ってここで合ってるよね? 亜里沙ちゃん」



「うん、みゅーたんに聞いたらここだって。賢人、いる?」



 2人の声が聞こえた賢人は返事をする。



「入ってきていいぞー」



 部屋に入ってきた優香は亜里沙を頭の上に乗せながらキョロキョロと辺りを見回すと、



「すっごーい! なんでこの部屋こんなに豪華なの!? 私の部屋と全然違う!」



「えっ、そうなの? 私の部屋もここと一緒だったけど」



「えーっ! 亜里沙ちゃんと賢人くんだけズルいよ!」



「そんなこと言われても俺は勝手に案内されただけだしな」



 そんな話をしつつ、3人は広々としたテーブルに備え付けられていた席に着いた。



「さて、早速だけど本題にいこう。俺はこれから、父さんを探しに、そして父さんの造った世界を観に行こうと思う。


 2人にはその旅についてきて欲しいんだけど、どうかな?」



「私はどこまででも賢人と一緒に行く」



「わ、私だって! 一心同体だし!」



「そうか、2人ともありがとう。とはいっても、俺らが闇雲に進んだところで上手くいくとも思えないのも事実。


 お金も無いし、まともな戦闘技術も無いし、魔法もまだ使えないからね。俺らに今使えるのは異能だけだ」



 賢人がそう言うと、2人の表情は引き締まる。


 改めて何も無い彼らの現状を考えると、ダフニーが居なければここで野垂れ死ぬ運命であってもおかしくはない。



「という訳で、俺達は明日、武器屋に行く。その後、冒険者ギルドに行って冒険者登録をしよう」



「武器屋? お金も無いのに、そんな所に行って何するの?」



「それは着いてのお楽しみだ。それじゃ、夜も遅いし、そろそろ寝ようか」



 賢人がそう言うと、2人の顔が真っ赤になった。



「え? 2人とも、どうしたんだ?」



「えっ? あ、いやいや、なんでもないよ? ふへへ」



「ウンウン、マッタクソノトオリ!」



「なんで優香は突然カタコトになるんだ、まあいい。じゃあ2人とも自分の部屋に戻って」



「「えっ?」」



「えっ?」



「「「えっ?」」」



 結局3人は賢人の部屋で一緒に寝た。



 当然何も起きなかった、賢人と亜里沙に睡眠欲が無くなったことが判明した以外は。







 次の日の朝、賢人は頭に亜里沙を乗せて、優香は賢人の腕をとりながらユートピアの街を散策していた。



 街の中では様々な種類の店が建ち並び、飲食代が無料だからか飲食店は特に人で賑わっていた。



「すっげー綺麗な街だな」



「そうだね、ゴミ1つ落ちてないし、建物も高さはあんまり無いけど、とてもオシャレな感じ」



「えへへ、デートしてるみたい、えへへへ」



「優香、ちょっとうるさい」



「ガーン! あれ? そういえばなんか、街を歩いてる人ってほとんど男の人ばっかりなんだね」



「あぁ、この街にはユートピアの専属冒険者しか入れないんだってよ。ダフニーの本に書いてあった」



「へー、じゃあこの人達の家族とかはどうしてるんだろ」



「あー、それはな」



 賢人が優香の疑問に答えようとしたその時、2mを超える大剣を背中に担いだ凶暴な顔をした大男が声を掛けてきた。



「おー、こんな所に可愛らしい嬢ちゃんがいるとは珍しい。ってか、その黒髪、もしかして使徒様か? 」



 賢人はさりげなく優香を庇いつつ返答した。



「ええ、そうですが……そちらは?」



「おー悪い悪い、実はオレ、ボヘミン王国って所の近衛騎士団長をしてる、ローレイン・ヴァンレイヤーって言うんだ。あ、ボヘミンがどこの国か分かるか?」



「え!? ボヘミン王国ってここのすぐ東にある大国じゃないですか! ユートピアに近衛騎士団長様がいらっしゃってて大丈夫なんですか?」



「ん? あー、そりゃお前、近衛の役割考えたら分かるだろ? そういうことだ」



「こ、国王陛下がここにいらっしゃってるんですか……あー、確かに、ここじゃ危害を加えられる恐れも無いですもんね」



「えっ? どうして?」



「うお!? このちっちゃいの、生き物だったのか。人形かと思ってたぜ」



「あんたは俺が人形を頭に乗せて歩いてたと思ってたんですか」



 賢人がジト目でローレインを見ると、彼は気まずそうに頬をかいた。



「いやー、はっはっは! ちっちゃい嬢ちゃんもすまん!


 そういや、どうしてここで危害を加えられないか、だったな。それはもう、ダンジョンの機能の1つだろうな。オレもよく分からん! はっはっは!」



「こんな適当なやつが近衛騎士団長で大丈夫なのか王国……」



「あ、ところで君らはウーバ商会の武器部門がどこにあるか知ってるか?


 実はオレ、ユートピアに来るの初めてでさ、ほら、ここって専属冒険者以外だとダフニー様に認められた人しか入れないだろ?


 実は昨日から楽しみで寝てないんだよ」



「ああ、そこならちょうど今から向かおうとしてた所でした。もし良ければ、一緒に行きます?」



「本当か! いやー、助かった。恩に着るよ」



 こうして4人は一緒に武器屋に向かうことになった。






「あ、さっき聞きそびれてたんだけど、ここの冒険者の家族ってどうしてるの?」



「あぁ、そうだった。ここの冒険者の家族は迷宮の地上部分に町とか村を作って住んでるんだ。専属冒険者も一緒にね。


 普段は地上で作物を育てたり魔物を狩ったりしてて、ここには迷宮の転移魔法陣を使って冒険者ギルドの仕事をしに来てるみたいだ」



「へー、なんかよく分かんないや」



「確かに面白い文化だよな。やっぱり異世界! って感じがする」



「ほー、使徒様ってのはやっぱり異世界から来たのか! どんな世界だったんだ?」



 こうして賢人達がワイワイしながら歩いていくと、目指していた武器屋に着いた。



 ウーバ商会。それはユートピアに本拠地を持つ世界最大の商会。


 ウーバ商会の会長はバレンティア都市国家群の総代表を務め、この2国に加えてボヘミン王国の商業の流通までの全てを牛耳るバケモノである。



 そんな商会の本拠地、冒険者の楽園ユートピアの武器部門が立派でないわけがなく、建物はここら辺一帯でも圧倒的な巨大さ、高級さ、格式高さを備えていた。



「ようこそウーバ商会へいらっしゃいました、ケント様、アリサ様、ユーカ様、ついでにローレイン様。私、トリエス・ウーバと申します。


 本日はご来店、誠にありがとうございます。もしよろしければ私が皆様をご案内致します」



 4人が店の前でウロウロしていると、店から出てきた白髪の老人が話しかけてきた。



「トリエス・ウーバって……副会長じゃねーか!?」



「はぁー、ダフニーめ、気を回しすぎだ」



「いえいえ、私はただの年老いた商売人、皆様がお気になさることは御座いません。


 本日は皆様の為にVIP席をご用意致しましたので、どうかお寛ぎになってお待ちください」



 トリエスはそう言うと4人を最上階の豪華な部屋に通した。



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