長老の話
ほら、人間っているだろ?絵が好きなお前ならよく知ってるはずだ。あいつらの件で、大変困ってることがあってな。
ここ最近、毎日欠かすことなく4、5人くらいの
人間の集団が来る。みんな黒いローブを着て、馬に乗ってやってくるんだ。そういえばローブに何かの花の紋章をつけていたような気もしたなぁ…
まあそれは置いといて、何が問題ってそいつらの行動だ。
何かしてるんだ。
いや、何かしてるから問題なんだろってつっこみはちょっと待ってろ。
まず、森のあちこちに、爆弾か何かで爆発を起こす。そしてそこら中の木を切り倒す。
最初は森を開発でもしてんのかと思ったが、破壊するだけで、何かを建てたり、造ろうとする気配が一切ない。本当に、ただただ破壊してるだけなんだ。それも毎日欠かさずだぜ。
奴ら何がしたいのか全く分からないのが尚のこと気味悪い。
森の住民を見つけると、何もしてないのに、弓矢で攻撃してくるそうだ。何をしているのか聞きに行った者もいるが、人間は答えずに攻撃してきたらしい。その結果、命を落とした者もいた。
まあ流石に森のみんなは黙ってないわな。エルフ族が先頭に立って何度もそのおかしな人間達を追っ払った。
しかし、何度追っ払っても必ず来る。
手痛そうな返り討ちをくらった後でさえ、奴らはメンバーを変えてでもそれをやめないんだ。
私は、そいつらをうちの戦闘員達に取っ捕まえてもらって、何がしたかったのか、理由を聞き出そうと思ってたが、そうはいかなくなってな。
頭を固くしたエルフ達に「理由を聞いてやる必要なんてない。破壊者は森に入れば即、叩きのめせ。」と拒否られた。残念ながら表向き、奴らには逆らえん。
だが理由は大切だ。
理由は、解決手段を示してくれる重要なものだ。そこから効果的な対策が打てるかもしれない。それが分かればこんな神経を擦り減らす消耗戦に、いい加減ケリがつくだろうと私は思っている。
というわけでだ。お前には奴らの「理由」を掴んで欲しい。そのためにに呼んだ。以上。
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長老が真面目な話をしたことに驚いた。
確かにそれは大変だ。
「そんな事が起きていたとは…自分がそれを気づかなかったことに驚いてます。」
「まあ森は広い。お前の生活してるところとは真反対の場所の出来事だったからな。」
「ですが、まだ1番大事な事を話してもらってないですよね。」
「ん?」
そう、肝心なところを話してくれてない。
「俺の具体的な任務の事ですよ」
「ああ、そうだったな。」
「じゃあ…お前の行って欲しい任務の内容を伝えるぞ…
お前には、おかしな人間の謎を探り、森に平穏を、私に名誉をもたらすために…
大都カノーサに行ってもらいたい。」