見えない橋
近くにお気に入りの橋がある。
誰も使っていないような橋、一方が細い道路でもう一方は藪も生えていて誰も手をつけていない土地だった。細い道路は車も通らず、登下校中の学生も滅多にここを通らない。見るのは散歩に来るお年寄りと、たまに川で釣りをしている家族を見かける程度だ。深夜に不良が来る時もあるけど、あんまり数は多くない。
そこで僕は初めての友人を作り、紙飛行機を作って川に飛ばしては大人に怒られ、またある時は成長した初めての友人にせっかく描いたマンガを下手くそと言われて全ページを捨てられたこともある。その子が前に貸してくれたマンガを参考にしただったはずなのに。
またある時、その橋で落ち込んでいた女の子と付き合っていたことだってあった。彼女は僕のことを「不思議な子だね」と言ってたけど、あんまり意味が分からなかった。しばらくして彼女から「放っておいて」と言われ、そのようにしてまた数日経つと彼女は急に助けを求め始め、僕が居ない時にその橋から身を投げて川に落ちた。
またしばらく時が経って、僕が一匹のアリを観察していると、久しぶりに友人と会うことができた。「お前は誰なんだ」と尋ねる友人に対して、僕は一生懸命思い出させようとしたけど、彼は全く僕の言うことを聞こうとしなかった。
「悪い夢だ」そう言うと、彼もまた川に飛び込んだ。
友達になろう、またそう言うことができるまでにしばらく時間がかかりそうだ。