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部屋の隅っこ
ぼっちの時、俺はよく遠いところに行って、自己満足するまで帰らないという遊びをしていた。
今は友達も多く、連絡も取り合う。高校生になって勉強も忙しくなり、具体的な利点を見つけられないことには、自分から飛び込むことは少なくなった。
ただ、あの一人の状態の感覚はあの時にしか味わえなかったし、今もこうして忘れないで覚えている。
その時の感覚を言葉という道具一つで表現するのは難しい。
だからもう一度味わいに行こうかな。
自分の胸に収まっていた、あの小さな世界の遠い町へ。
あの時のように走り回ったり、叫んではしゃいだりできる時代は過ぎ去った。
それはある意味残念でもあるし、大人に近づいたと実感できる一瞬でもある。
自分の本質が分からず、模索しようともせず、ただ幼き子供に今を大事にしろと心の中で唱える日々。
自分からそう言う大人になりたいと懇願したわけではないが、こんな経験がいつかきっと宝石よりも価値のある記憶になるだろうとか根拠もなく信じている。