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リンカー序章1
渡された辞書のページをめくり、その内容な目を滑らせる。分かる。理解できる。その意味、文字が淀みなく頭に入ってくる。というか、これは、
「おい、これまさか……日本語で書いてないか⁈」
「そうですわよ」
あっさりと肯定される。
「まあ、日本語というのは非常に古い言い方ですけれど。世界環詞や極東言語などが今時の言い方ですわ」
「そうなのか……。ん?てことは、俺の言葉が通じてるのって不思議な異世界転生パワーで俺が異世界語を理解できるてる訳じゃなくて……」
「ええ。ごくごく当然に、日本語でコミュニケーションできているからですわ」
「おお……」
何というか、ひどく当然なのに理不尽な理屈だ。
「〝世界環詞〟って言葉に〝ワールドコード〟ってルビが振ってある。何だこれ」
「ああ、それはこの世界特有の記述方式ですわね。被覆記述と呼ばれる、古代式の記述法でして、言葉に二重の意味を持たせてその言葉の重みを強調する記述方式ですわ。古い言葉や重要な言葉、主には名詞に付けられますわね」




