また会う日までさようなら
「ごめんね」
泣きじゃくる僕の前で君は笑ってそう言った。君だって、いいや君が一番辛いはずなのに涙を見せずに綺麗に笑った。
「ずっと前からわかってたから、だから私は大丈夫。だから泣き止んでくれるとうれしいんだけどなぁ」
なんでどうしてと繰り返し呟く僕の頭を撫でながら、君は薄く微笑んだ。
「なんでもう居なくなるのに笑ってるの!?辛くないの!?辛いのは僕だけだっていうの!?」
感情を抑えきれず、泣きながら僕は君に詰め寄った。君は仕方ないなあと少し呆れたような顔で僕の涙を拭った。
「最期に見たのが泣き顔だったら、きっとそれが残るから。君が私を思い出す時には、笑顔を思い出してほしいから。だから最期は笑顔でいこうってずっと思ってたんだ。」
そう言って笑った君の顔は今までに見た笑顔の中で一番眩しかった。キラキラと輝いていた。この笑顔をずっと覚えていよう。そう僕は誓った。
「あ、私が居ないからって追いかけてきちゃダメだからね。また会うのが早かったら全力で追い返すから!」
少し口を尖らせながら僕へと忠告をする。指を僕の鼻先に突きつけるのはびっくりするからやめて欲しかったんだけど、何回言っても直らなかったね。
「うん。わかったよ。」
君ならほんとにやりそうだ。突き飛ばしてでも殴ってでも何をしてでも追い返されるんだろう。やったらすごく怒られそうだからやらないように気をつけよう。絶対にやらないって言えるほど、僕は強くはないけれど。
「じゃあね!!」
笑顔で手を振り居なくなった君にまた会えるのはいつになるんだろう。10年、20年いや、60年以上先かもしれない。また会えたら君が居なかった間の話をしようか。ああ、そのためにはたくさん思い出を作らなきゃ。色んなものを見て色んな所に行って、沢山の記憶を持って君に会いに行こう。じゃあ、いつかまた会える日まで。
「さようなら」
僕が死ぬまでさようなら