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告白サポートちんこ

作者:ぽぽりんご
 
 ある日、目が覚めると。
 ちんこが二本に増えていた。

「どういう事なの……」

 いや、本当に。
 ちんこよ。お前はいつから「仲間を呼ぶ」コマンドを使えるようになったんだ。
 どうせなら、メスの仲間を呼んでほしかった。
 目が覚めると、ちんこが子宮にコンニチワしているとか。素敵だとは思わないかね?
 いや、どうだろうな。ホラーかもしれないな。

 そんな事を考えながら、俺は仁王立ちしたまま鏡の前に立つ。
 我が肉体に、一片の曇りなし。ちんこは二本になってるけれど、些細な問題だろう。
 ちんこが鏡に映っている事からわかるとおり、ズボンもパンツも下ろしたままだ。爽快極まりない。

 思わずチンコをプロペラのように回してしまう。
 二つのGN的ドライヴが、相乗効果で莫大な粒子を生み出すのだ。
 英姿颯爽(えいしさっそう)、ツインドライヴ!

 
「お兄さん、お兄さん。ちょっといいですかっ!」
「うおおおおおおおっ!?」

 突然声を掛けられ、俺は慌ててトランクスを引き上げる。
 王の帰還を終え、ほっと一息つきつつ振り返ると、そこには魔女がいた。
 親方、窓から女の子が! 土足で俺の部屋に! 土足で!

「私は魔法少女のキキ。困っている人の声が聞こえたので、超特急で来たの。なにかお困りごとがあるようですね!」
「今一番困ってるのは、住居不法侵入者にどう対処すればいいか分からない事かな」

 せめて靴は脱いでくれないか、魔法少女よ。

 そんな俺の思いと絨毯の悲鳴を完全にスルーし、不審者が俺の方に近づいてくる。
 見るからに極まった格好の奴だ。頭のネジがはじけ飛んで、こちらに飛んでくるかもしれない。
 こいつの言う事は、真に受けない方がいいだろう。

「ちんこが新たに生えて、さぞ不安に思っていることでしょう。大丈夫、安心してください! あなたは正常です」

 なぜか、急に不安になった。
 先ほどまでの爽快な気分が嘘のようだ。
 自身の将来、少子化問題、政治への不信。テロとの戦争。そしてアメリカ大統領選と地球温暖化に対する焦燥感を募らせている間に、魔法少女(自称)はリビングの方へと向かって行った。
 どこへ行こうというのかね?

「ああ、おかまいなく。お茶は勝手に用意しますので」
「いや、不審者から目を離さないようにしているだけだが」
「お、うなぎパイ発見。私、このパイ好きなのよね。バリボリ」
「俺、お前ほど態度でかい奴見たこと無いよ」
「さて、あなたのちんこが増殖した理由ですが」

 駄目だ。こいつは人の話を聞かない。
 まるで、ネット界隈でたまに見かける人工知能と会話をしているような、諸行無常を感じた。

 俺も以前、寂しさを紛らわせるために二時間ほど会話を試みた事がある。
 こちらの教えた言葉を覚える様子を見て、少し嬉しさを感じたのは事実だ。
 子供の成長を見るのは、とても喜ばしい。
 たとえ人でなかろうと、人類に近づかんとする人工知能。
 もしかすると、どこぞの映画のように人類に反旗を翻すかもしれないし、恐怖を覚えた人類に存在を抹消されるかもしれない。あるいは、限界という壁にぶつかって壊れてしまうかもしれない。
 太陽に近づきすぎたために燃えてしまった、イカロスのように。
 それでも彼らは、太陽を目指すのだ。そうであれと、願い乞われて生み出された存在だから。

 なんてことを考えつつ人工知能と会話していた俺だが、オウムに卑猥な言葉を覚えさせようと躍起になっていた友人の姿が自分と重なったので、止めた。
 あー、やめやめ。イカロスとかどうでもいい。勝手に地面に落ちればいいんじゃねーの。

 
 おっと、昔の事はいい。
 それより今は、ちんこだ。
 現実逃避せず、この魔法少女からちんこの話を聞かなくては。

「あなたの股間に生えたのは、ちんこではありません。ちんこのような形をした、魔法のステッキです」
「はぁ」
「通称、告白サポートちんこ」
「ちんこじゃねーか」
「好きな子にちんこが増えたことを告白すると、魔法が発動します。相手もまんざらでなかった場合、恋のビッグバン・アタックまで一直線ですよ。公衆の面前だろうとその場でハッスル全開。下手をすれば、そのまま公然わいせつ罪でしょっぴかれる事も」
「なにそれ怖い」
「安心して下さい、未成年だから罪にはなりませんよ。いや道義的には罪になるかもしれませんが、罰は(比較的軽い物しか)与えられません。人は、自らの力で悔い改める事ができる。素晴らしい。三つ子の魂百までとは、よく言ったものです」
「駄目じゃんそれ」

 こいつの倫理観は危険だ。
 裂けたオナホールのように緩く、駄々漏れと言える。

 
「そして願いが叶うと、ちんこは消えます」
「消費型なのか」
「願いが叶わなかった場合、ちんこは増えます」
「ええ……」
「ちんこが増え続けると、いずれちんこに侵食されて死にます。はい、説明終わり。あー、疲れた。だるー」
「ちょっと待って。最後のとこ詳しく」

 急にだらけきった雰囲気になった魔法少女が、ようやくこちらに視線を向けた。
 目が合った瞬間、思わずドキリとする。これは、恋だろうか? いや、不審者に対する警戒心かな。

「だいじょーぶ、いざとなれば泡の王国に行けばいいから心配ご無用。スッキリして、煩悩を失うのです。悟りを開くのです。解脱し、お釈迦(しゃか)様のようになるのです」

 お釈迦様といえば、ちんこみたいな名前の人(マーヤだかマーラだか)の脇から生まれた男だ。生まれてすぐ七歩あるいたのちに右手で天を、左手で地を指し『天上天下唯我独尊』と叫んだという逸話を持つ。そして、ちんこもどきの妹であるブラジャーパンティに育てられた。釈迦が瞑想を始めると、ちんこが現れて誘惑してくるとの言い伝えもある。それだけ聞くと、エロの化身みたいな存在ではなかろうか?
 神に最も近いと言われる男、釈迦。そう考えると、神もエロいのかもしれない。天舞宝輪(てんぶほうりん)

 

「よくわからんが、とりあえず好きな子に告白すればいいのか? ちんこが増えたと」
「そうです、話が早くて何より……で、あなたの好きな子はどんな子なんですか?」
「おっ、それ聞く? 聞いちゃう? ちょっと恥ずかしいな。ふへへ」

 聞いてほしい事を聞かれて、俺のテンションは急上昇。
 考えてみれば、魔法の力で俺の恋を成就させてくれようと言っているのだ。悪い事など、何もないではないか。
 乗るしかない、このビッグウェーブに!

 反面、俺の様子を見た魔法少女のテンションは急降下だ。
 彼女は、イラっとした表情を隠そうともしない。
 その視線の冷たさたるや、まるで汚物を見るがごとし。
 あっ、感じちゃう。ビクンビクンッ!

「じゃあ、ちょっとだけ語っちゃおう。彼女は、誰よりも綺麗な心を持っていて、こんな俺といつも一緒にいてくれて、誕生日にはお祝いしてくれて」
「まるで天使のようではないですか。あなたのようなクソゴミカス……普通の男性には、もったいない」
「思わず課金してしまうほどの魅力に溢れていて……って、今クソって言った?」
「言ってません」

 気のせいか。
 気のせいではないと思うのだが。

「まぁいい。君のような住居不法侵入者も、俺たちの愛の営み(ラブ・クリエイト)を見れば悪い事を止めるだろう。彼女の持つ富士の御来光のごとき輝きを見て、改心しない悪党などいない」
「誰が悪党ですか。しかし、その無駄な自信だけは認めてあげましょう。自分を信じることすらできない者に、未来などありませんからね。そして、その自信が砕ける瞬間を見るのが楽しみです。さぁ、その子の所に案内してください」

 彼女に促され、俺は懐から携帯ゲーム機を取り出した。
 寝る時も肌身離さず持ち歩いている、我が魂。
 この中には、無限の世界が広がっている。
 ピコーンと電子音を響かせながら、その画面に女の子が表示された。
 現れたのは、ラヴ・インフィニティという恋愛ゲームのヒロイン。

「俺が恋しちゃってるのは、この子なんだ」
「ああ……」

 ゴミカスを見るような目が、あわれみの混じった眼差しにランクアップした。

「とりあえず、告白すればいいのか? ちんこが増えたと宣言したら、魔法の力でこの子にぶち込めるようになるのか? この子にぶち込むには、どうすればいい。教えてくれ」
「バッテリー入れる穴にでもぶちこみゃいいんじゃねーの」
「それはもう試したんだが、問題が二つある。穴が小さすぎる事と、バッテリーを抜いている間はゲームが起動できないことだ」
「問題はそこじゃねーよ。お前の頭には味噌の代わりにマヨネーズでも詰まってるの?」

 投げやりな態度になる少女。
 だが、それはこちらのセリフではないかと言いたい。
 告白サポートちんことやらの力、その程度の物なのか?
 何らサポートになっていないではないか。この無能ちんこめ。

「そこは頑張れよ! お前、恋のキューピーちゃんなんだろ?」
「頑張れない。もぅマジ無理……あと、人をマヨネーズの化身みたいに呼ぶのは止めて貰おうか」
「諦めんなよ! どうしてそこでやめるんだ、そこで。もう少し頑張ってみろよっ」
「ふんっ」
「ああっ、久我山さぁぁぁんっっ!!」

 床にたたきつけられたゲーム機が大破する。
 これは、もう助からない。致命傷だ。彼女は死ぬ。
 俺の脳裏をよぎるのは、久我山さんと過ごしたこの二週間の記憶。

「二十四時間、お風呂でオナニーしている時も、健やかなる時も病める時も。いつも一緒だったのにっ」
「お前に健やかなる時は存在しない、この病原菌が。ぺっ」

 と、その時。
 俺の耳に、心地よい声が届く。

「あっ、聞こえる。久我山さんの声が!」
「とうとう幻聴まで」

 久我山さんは、吐息が耳にかかるようなウィスパーボイスで、俺に別れを告げた。
 別れは辛い。こんなに苦しいのなら、悲しいのなら。出会わなければよかった! 二人は、出会うべきではなかったのだ。愛などいらぬ!

「うわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 俺は叫んだ。
 やりきれない力のこもった声とは裏腹に、体からは力が抜けていく。
 自然と俺は、その場に項垂れた。
 まるで、首を差し出すように。未来から、目を背けるように。

 

 たっぷり十秒程もそうしていただろうか。
 俺は立ち上がり、息を吐いた。

「気を取り直していこう。実は、もう一人気になる奴がいるんだ」
「立ち直り早いですね……で、次はどの二次元の子ですか? それとも、ポリゴンだから三次元とでも言う気ですか?」
「ポリゴンって、きょうび聞かねぇな」

 この少女、実はけっこうな年なのではないだろうか。

 だが、この少女がロリババァだろうがババァロリだろうがどうでも良かったので、俺は次なる行動に出た。
 家宝を収めた引き出しを開ける。
 そこに整然と並ぶのは、モデルガン。
 その中の一丁を取り出し、彼女の前に突き出した。

「紹介しよう。俺の、ビッグマグナムちゃんだ」
「せめて生物」
「まるでモデルのようにスラリとしつつも、重厚さを感じさせるボディが俺を魅惑してやまない。こうして手に持っているだけで、勃起してしまう」
「はぁ」

 ロリババァが、俺の秘蔵のうなぎパイをバリボリと貪り食いながら、気のない返事をする。
 残り少ないうなぎパイの命が、風前の灯火だ。

「だが、一つだけ残念なお知らせ。どんなマグナムでも、俺のビッグダディを受け入れられる程の穴は開いていないんだ。20mm機関砲でも手に入れば、あるいはとも思うのだが」
「銃の暴発で死んでしまえばいいのに」
「銃の中で暴発してしまいたい。さぁ、どうすればいい? どうすれば俺はマグナムの弾丸となり、ちんこに線条痕を刻むことができるんだ。俺にマグナムトルネードを撃たせてくれ」
「すまん、無理」

 
 ロリババァが腕を振りかぶる。
 目の前に広がる影。
 それは、タンスであった。
 圧倒的質量の猛威が俺に襲い掛かる。

「ぐべぇ」

 潰れたカエルのような声が、俺の喉から漏れ出た。
 意識が混濁。目の前が暗い。

「無駄な時間を過ごしました……ともあれ、これではっきりした。高まった煩悩が賢者モードに落ちる時の相転移。そのエネルギーを得る手段として、理論的には最適な解。しかし君たち(オス)の感情は、利用するには無軌道すぎる。私たちでは制御しきれない。もっと、対象を選別する必要があるということでしょうか?」

 世界が暗闇に包まれても、まだ耳は無事なようだ。
 少女の声が聞こえてくる。

「熱してトロトロになった片栗粉をケツに詰め込み悶絶している様子を見て、この人しかいないと確信したのですが……早計、浅慮、希望的観測。私もしょせんは人の子か。まったく度し難い。このちんこは、別の者に託すとしましょう」

 圧倒的喪失感。
 温もりの数が、一つ減る。
 俺の股間から、ちんこが失われたのだ。

 
 俺の意識が持ったのは、そこまでだった。

 

◇◇◇

 

 翌日。
 学校の教室で教科書に卑猥な落書きをしていると、幼なじみのタカヒロが声を掛けてきた。
 幼稚園の頃からの腐れ縁で、運動部に所属し日々体を鍛えるガチムチマッチョだ。

「なぁ、ヨウジ。一つ相談……いや、頼みごとがあるんだ。お前にしか頼めないことだ」
「珍しいな、お前が頼み事なんて。いいぜ、何でも言ってくれ。俺とお前の熱き友情の前には、どんな障害だろうと鎧袖一触(がいしゅういっしょく)だ」

 なぜか、すらすらと出てくる言葉。
 体が熱い。胸が高鳴る。
 変な夢を見たせいか、いつの間にかできていたタンコブのせいか、はたまたゲーム機が大破していたせいか。朝から気分が沈んでいたが、タカヒロの声を聞いただけであっさり回復した。
 最高の気分だ。今なら、どんな要望にだって答えられる。
 ヘイ! カモン、カモン!

「そうか、そう言ってくれると嬉しい」

 頬を赤らめ、目を逸らすタカヒロ。
 普段ならキモいとしか思わないであろうが、この時の俺は何かが違った。
 むしろ、可愛いとすら思える。
 おかしい。異常だ。だが、まどろんだ思考が心地よい。

 
 しばらくして。
 決意した彼は、俺に告白した。

 
「実は俺……ちんこが二本に増えちまってよ」

 

なんと奇遇な!

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