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洗濯屋と魔王様 第二章  作者: ろんじん
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第十三節*魔国の洗濯屋

 獲物種族が国を持つようになってから半世紀と少し。彼らからするとやっとの思いで、魔物から見れば瞬く間に、それは建てられていった。西の島国から端を発したヒト族の国も今や二十六に上る。カールの故郷もそのうちの一つだった。

 彼は洗濯屋の息子として生まれ、親から技術を学んで店を手伝っていた。そうしていつか自分も結婚し、また子供に店を継ぐ。平和な街の中で、気の良いご近所さんたちと石けんの香りに囲まれながら、並の幸福を掴む。自分の一生はそういう平凡なものだと、カールはずっと思っていた。

 あの日、魔王に連れ去られるまでは。

 その先で、彼らの世界を知るまでは……。

 魔力を持ち、魔法を日常的に使い、ヒトとは少し価値観の違う彼ら。けれどもヒトと同じように仕事をし、仲間を持ち、喜んだり悲しんだりする彼ら。教会で教えられた、ただただ恐ろしい魔物とは違う人々がそこにはいた。

 故郷にいては決して見ることのない世界が、そこにはあった。

 知らない土地、知らない種族、知らない衣服。その異国の地で自分の技術を認められたことの喜ばしさ。

 カールは洗濯屋として魔国に残ることを、自ら選んだ。



『洗濯屋と魔王様』 第二章



 左丞相ジェフが八卿議会の結果を伝えにきてから数日後、今度は国防の卿であるハルが詳細を伝えにやって来た。新しい部屋についてや城内の設備、決まり事など色々なことを教えてくれた。カールの立場は国外から招致された技術者ということで、《特別洗濯長》という役職名がつけられた。何かと洗濯物が多い城内で、ヴフトや重役たちが使う物と、汚れの落ちにくい物を担当する係に配属されるらしい。やっと正式な立場になったので、給金も支払われると言うことだった。

 しかし自由になるのは城内までで、市街へ出て行くことはまだ認められなかった。好戦的な魔物が少ないこの国でも、いきなり獲物が現れれば何が起こるか分からない。国民への周知は、城勤めの者たちを通して徐々に、ということになったのだ。

「短い間でしたが、お世話になりました」

「んむ。この魔方陣は繋げたままにしておくから、また来ると良い。城内では陽の光がないからのう」

「はい、ありがとうございます」

 カールが城へ戻る朝、タピオはきれいになった袴を履いて見送ってくれた。汚れるのが勿体なくて畑仕事がし辛くなる、と眉を寄せ上げていたが、その声は嬉しそうだった。

 頭上高く澄んだ空をカールは少しだけ惜しみ、それから魔方陣の前に立った。その横に、同じく城へと戻るシュピッツが立つ。二人はタピオに深々と頭を下げた後、布の向こう側へと通り抜けた。

 シュピッツの後に続いて恐る恐る踏み込んだカールの視界が、一瞬にして切り替わる。ドアをくぐるような手軽さだが、後ろにはもう麦畑の景色はなかった。

 外気の青臭い匂いが消えた代わりに、少し甘い石けんの香りが鼻腔をつく。

「さ、ここが城内の洗濯場やで」

「ッ……!」

 簡単に言うシュピッツの隣でカールは思わず目を丸くした。

 自宅の裏庭よりもずっと広い室内、たくさんの洗濯物、大勢の係。所々衝立で区切られたそこは小さな市場ほどあった。それに此処はただの洗濯場ではなく、()()の(・)洗濯場である。見慣れた道具のほか、遠くのほうには得体の知れない大きな装置も見えた。

 ヒトの常識からすれば魔物の多さに怯えるところだったが、カールの胸は喜びと期待で溢れかえっていた。

「すごい……」

 その圧倒的な光景に思わずため息が出る。カールは直ぐにでも駆け寄って、彼らの作業を間近に見たいと思った。けれども、走り出しそうになる気持ちをぎゅっと堪えてその場に留まる。まずはここの長に会わなければならない。作業に参加するのは洗濯長に説明を受けてから、と事前に言われていた。

 はやる気持ちを抑えながら、カールはシュピッツの後に続いた。よそ見をして立ち止まっては、シュピッツに呼ばれて駆け足になる。見慣れているはずの作業がまったく新しい物に思えて、カールはわくわくが止まらなかった。

 物珍しさに気持ちが浮ついているのはカールだけではなかった。洗濯係の魔物たちもまた、滅多に見ない獲物の姿にそわそわしていた。止まったり走ったりするカールの姿を見ては、ひそひそと楽しげに耳打ちをし合っていた。昨今は魔国に暮らしていると獲物種族に会う機会もない。そこに噂の《科学技術》を持つヒト族、しかも王のお気に入りが来たのだ。興味の的にならない訳がなかった。

 カールも魔物たちも、お互い好奇の眼を合わさぬようにそっと向け合っていた。

 そうして何度か立ち止まりつつも、カールは部屋の一角まで移動した。巨大な桃色の山が鎮座している。シュピッツがその山に呼びかけると、山はもっそりと立ち上がり振り向いた。優しい声色の女性。カールも見上げるほどに巨大なテディー。今までに見たテディーたちの比ではない巨躯の持ち主が、ここの洗濯長だった。少し垂れ気味の目元がにこりと微笑む。エプロンには丸いバッジが光っていた。

「初めまして、ヒト族の洗濯屋さん。私はここの洗濯長をしているテディー、グランマですわ。今日からどうぞ、よろしくお願いしますね」

「ヴァルト・シュタットから来ました! カール・ベーアです。どうぞ、よろしくお願いします!」

 もふり、むにり、と大きな綿詰めの手がカールの手を握った。肉球のような部分は布の種類が異なっていて少し固い。

 大凡の話は既に通っており、早速グランマが洗濯場を案内してくれることになった。


「この洗濯場は、大きく四つに区切られていますの」

 そう言いながらもふん、もふふん、と彼女は歩き出した。カールはその隣を、接触しないように気を付けながらついて行く。シュピッツは取次が終わると余所へ行ってしまった。

 グランマが最初に訪れた一角は洗濯物の選別スペースだった。

 城中で集められた洗濯物は、ここで中身を確認され形状や汚れによって分けられた。今はちょうど朝一番の洗濯物を見ている最中で、あたりは大混雑だった。次々と収集用の籠が運ばれてき、それを係たちがせっせと確認していく。慣れや経験の差か、同じ作業でも素早く分けられる者と、分けるのに時間のかかる者がいるようだった。

 土のついた汚れ、脂っ気のある汚れ、ぱっと見きれいな物。それらが一緒くたになった選別場で彼らは慌ただしく作業をしている。仕分けられた洗濯物は、籠がいっぱいになると次の場所へと運ばれていった。

「お城の洗濯物で一番多いのはタオルですわ。手を拭く小さい物から体を拭く大きい物、道具を拭く物など種類は様々ですの。兵士の皆さんは訓練後に水浴びをするので、一度に何十枚も洗い物が出ますわね。その他は調理場で出るエプロンやフキン、お城で管理している係たちの制服、たまにカーテンやシーツなども洗いますわ。それらを汚れ具合や形状によって仕分けるのがこのスペースですのよ」

 グランマがこう説明する間にも、小さいテディーやネズミっぽい姿の魔物たちがせっせと仕事をこなしていった。集められた洗濯物は係の前で籠をひっくり返して取り出す。手早く片付けないと、上に上に新しい物が積み重なるようだった。

「回収は場所ごとにですか?」

「ええ。お城の各所に籠を置いていて、決まった時間に回収するんですのよ」

「量が多いと大変そうですね」

「そうね。全部を集めるだけで半時ぐらいかかりますわ」

「んんん……そんなに」

 減っては追加される選別作業を見てカールは思わず唸った。洗い始める前から大仕事な様子に城の大きさを垣間見る。午後になれば一旦、物が減って落ち着くらしいが、午前中はまだまだ忙しそうだった。

 分けられた洗濯物を追いかけて、二人は次のスペースに進んだ。

「ここがこの部屋の主な部分。洗い場ですわ」

 そう言って案内された床がタイル張りになった一角。たくさんのタライと洗濯板。壁際にある蛇口のうち、いくつかは部屋の中央まで配管が伸びていた。石けんは粉末状の物が大きなバケツに入っていて、柄杓で掬っている。

 洗濯の方法は魔国でもカールの故郷でも大体同じようであった。

 まず運ばれてきた籠一つ分をタライに入れ、そこに蛇口からどっと水を注ぐ。次に洗濯物をしっかり沈め、粉石けんを一掬い振り入れて混ぜる。泡が出てきたところで洗濯板を使い、汚れを見ながらごしごしと洗っていく。一通り洗い終わると水を替え、二度ほど濯ぎをしてから次へ受け渡す。

 じゃぶじゃぶ、ざぶざぶ、と水を大量に使っての作業であたりは水浸しだった。作業をする方も濡れる前提でいるらしく、短パン一丁姿が多かった。たくさんの洗濯は重労働だが、みな隣と喋りあったりしながら気楽に仕事をしている様子だ。わいわいと活気のある作業風景は、どことなく故郷の井戸周りと似た景色だった。

 そんな中、一人で複数のタライを使い静かに作業をする魔物がいた。軽装なほかの係たちとは違いシャツとズボンを身につけ、首にはスカーフを巻いている。足下もしっかりとブーツを履いていた。後ろ姿は平たい尻尾を持った、ネズミのような魔物である。

「彼は、何か違う作業をしているんですか?」

 作業の邪魔をしないようにカールはそっとグランマに尋ねた。

 グランマの巨体がもふう、と向きを変えて答える。

「ああ、彼の名前はギード。彼も洗濯が担当ですわ。仲間から貴方の洗濯方法を聞いて、真っ先に実践したのは彼なの。それから貴方の方法をいたく気に入って、ああやってタライをいくつも使って洗濯をしているのよ。みんな今までのやり方で慣れているから、試しても切り替えるまではしなかったんだけど。彼だけは違いましたわ」

「わっ、嬉しいなあ! あの、ちょっと話してきてもいいですかっ?」

 グランマの言葉を聞いてカールはぶわっと嬉しくなった。自分と同じように洗濯を仕事としている人に、何かを共感してもらうということは初めてである。

 カールは濡れた足下に気を付けながら彼に近づいていった。

「作業中に失礼します、ギードさん。初めまして、カール・ベーアです」

 背の低いギードに合わせカールが大きく体を曲げる。お湯を沸かすために薪を入れていたギードは、突然声をかけられ目を丸くした。くりくりした瞳が驚いたように瞬き、一瞬止まった後に全身の毛がぶわわっと逆立つ。そしてその後に見せた表情は、警戒ではなく歓喜であった。

「お、おおおっ? アンタあれかっ? 噂の洗濯屋かっ? テディーたちが言ってたヒト族かっ? ついに来たか! オイラはこの城一番の洗濯係ギードだ。よろしくな!」

「こちらこそ! うちの洗濯方法を気に入ってくれたみたいで嬉しいです」

「ああ、これな。最初聞いたときは驚いたんだぜ」

 そう軽く挨拶をしながら二人は固い握手を交わした。

 気さくなギードの口調に助けられ、カールは自然と手を出すことができたのだ。彼が魔国に来てからもうかれこれ一月以上経つが、自ら見知らぬ魔物に声をかけたのはこれが初めてであった。

 竈の上ではほこほことお湯が沸き、その隣には五つのタライが並んでいた。タライはそれぞれに洗濯物が入っていて、今まさに浸け置き洗いの真っ最中である。ギードはそのうちの一つに洗濯板を差し込み、汚れの酷い物だけを取り寄せて軽く擦ってみせた。

「最初はさ、水でもお湯でもそんなに変わったりしねえって思ってたんだ。でも何回か試してみてよ、確かにお湯でやったほうが汚れが落ちやすいってことが俺にも分かったんだ! それにちょっと時間はかかるけど、こうやって浸け置きで洗うと布が傷まねえんだな。擦るのは必要なところだけ。そうすると布の寿命が延びるんだ!」

 ギードは気付いたことを嬉しそうに話しながら手を動かした。言葉どおり、彼が洗濯板を使うのは必要最低限だった。おかげで周りにたくさんの水が飛び散るようなこともなく、自分が濡れずに済んでいるようだ。

 タライの中を一通り確認して濯ぎに移るときも、新しく注いだのはぬるま湯だった。石けんの残りが出なくなるまで二度中身を替え、軽く絞ってから次の係に渡す。そうして空いたタライに次の洗濯物を浸け置き、今度は別のタライへ移る。

 そんな彼の洗濯っぷりにカールは惚れ惚れして見入った。

「とても段取りがいいんですね! 無駄がなくて凄いです」

「へっへっへ。最初はお湯を沸かしたりするから時間がかかるんだけど、順繰りに回るようになれば待ち時間も少ないんだ。ホント、よく気付いたよなこんなの!」

「いえ、俺が知っている洗濯技術は全部父が考えたものなんです。俺はそれを覚えただけですよ」

「へえー。アンタのおやっさん、すげえんだな」

 一掬いの粉石けんをお湯に混ぜ、また新しい洗濯を始める。ギードはすっかりこの方法に慣れているようで、カールと喋りながらも作業は流れるように続いた。その様子を見てカールも洗濯欲がうずき出す。けれどもまだ説明が残っているとグランマに呼び戻され、次の場所へと移ることになった。

「カールさん! 後で一緒にメシ食おう!」

「はい! ぜひっ」

 小さい体で目一杯手を振るギードに、カールも笑顔で手を振った。


 三つ目のスペースは脱水場だった。ここにはカールも実家で使っていた回転式の脱水機が置かれ、大きなテディーがせっせとハンドルを回していた。また隅の方にはローラー式の脱水機もあり、そこでは大きなバスタオルなどが絞られていた。

 一籠分を脱水するには二刻ほどかかり、それが終わる頃には次の籠がやってくる。順次運び込まれる洗濯物に、脱水機は休む間もなく働いていた。

「回転式の脱水機は最近そろえた物なんですの。便利な物があると聞いて、王国から仕入れてもらったんですのよ。以前は一枚ずつローラーにかけていたから、もっともっと時間がかかったんですの」

「えっ、王国とやりとりがあるんですかっ?」

「いいえ。獲物種族に姿を変えて、調査しに行ったんですの」

「……だから俺が知っている脱水機と同じ形なんですね…」

 人々がガラガラとハンドルを回す様子はカールの故郷にもあった。

 男たちが仕事を始める頃、街の女たちは洗濯籠を持って近所の井戸に集まる。井戸端には屋根が設けられ、共同の脱水機はそこに置かれていることが多い。場所によっては排水路があったり、荷物棚があったりと、井戸の周りが工夫されている。水仕事がてら噂話や愚痴などをこぼしあう様子は故郷でよく見た日常だった。

 その見慣れていた脱水機がこの魔国でも普通に使われている。まるでここだけ故郷の風景を貼り付けたようで、カールは少し懐かしい感じがした。

 そも、脱水機とはヒト族の発明の一つである。最初に作ったのはローラー式の脱水機だった。それまでは手で絞って脱水していた洗濯物を、二本のローラーで挟んで絞れるようにした。これによって、ハンドルを回すだけでしっかりと脱水ができるようになった。一枚ずつしか絞れないという欠点もあったが、ローラー式の脱水機は発明されると瞬く間に王国で広まった。

 その後に考案されたのが回転式の脱水機である。こちらは穴の空いた樽と、空いていない樽の二重構造だった。穴が空いた内側の樽に洗濯物を入れ、ハンドルを回すと遠心力によって中身が脱水される。飛び散る水滴は外側の樽に当たって下に落ち、底についた排水口から流れ出る。ハンドルを回すのに少々力がいるが、一度にたくさんの洗濯物を脱水することができた。

 回転式が出来てから、脱水機の主流と言えばこちらである。

 最初のうちは排水口からちょろちょろと途切れなく続く水が、ぽつり、ぽつりと落ちるだけになれば脱水は完了。取り出された洗濯物はまた籠に入れられ、次のスペースへ運ばれていく。どうやら脱水機を回す役目は人気のようで、テディーたちは代わる代わるハンドルを握っていた。

 こうして洗濯場の大半を見学し、二人が最後に向かったのは乾燥スペースである。洗濯物を乾かす工程は、普通ならば竿にかけて天日に任せることであった。しかしドゥンケルタールは日光の届かない渓谷の中の国である。日差しによる乾燥は望めない。それを補うように、乾燥場には巨大な魔法装置が設置されていた。

「わあっ……」

 初めて見る光景にカールは思わず驚嘆の声を漏らす。

 そこで目にした物は、どっしりとした巨大な硝子鉢であった。下は平らで、上の方には突起があり、そこにロープを通して天井に繋いである。ゆくる曲線を描く側面には入り口のようなところが三つあり、それぞれ小さいテディーが通れるほどの大きさであった。そんな装置が二つ置かれていたのだ。

 側面にある入り口から乾燥待ちの洗濯物が入れられ、最後に布で出来た長い筒が接続された。その片方はベルトでしっかりと入り口に固定され、もう片方は床に設置された石板にはめられた。

「グランマさん、これは、一体……」

「ふふふ。これはこの洗濯場特製の乾燥機なんですのよ」

 口をあんぐりと開けて見上げるカールに対し、グランマは自慢げに紹介した。

 三つの入り口がそれぞれ布筒で石板と繋がり係たちが集まる。一つの石板に三人か四人の魔物が手をかざして、一斉に呼吸を合わせた。するとぶふおっ、という音がして筒の内側に風が生じたのが分かった。その風が勢いをつけて硝子鉢に吹き込み、三方からあっという間に中の洗濯物を巻き上げる。

 まるで麦の殻に風を当てたかのようだった。ぶわりと舞い上がった洗濯物は鉢の中でくるくると踊り出す。最初はやや重たそうだった動きが、徐々に軽快なものへと変わっていく。色とりどりの洗濯物が踊る姿は息を呑むほど鮮やかだった。

「す、すごい……!」

 一回分の乾燥が終わるまで、カールはたっぷりと鮮やかな乾燥機を堪能した。最後は徐々に風が止み、乾いた洗濯物がふわりと底に沈んでいく。

 カールは手品師のショーを見たような気分になり、しばらく余韻に浸っていた。それに《乾燥機》という物を見るのも初めてである。洗濯物を脱水する道具はあっても、その先は自然の力に任せていた。雨が降れば洗濯屋と雖も部屋干しする他なかった。

 その常識を鮮やかに打ち破られた衝撃が彼を襲っていた。

 仕事を終えた乾燥機に駆け寄るカールに、グランマが仕組みを説明した。

「この乾燥機はこのお城にだけある特別な物ですのよ。動力は風の魔法。このホースと言う筒で本体と魔法石をつなげて、みんなで力を合わせて動かしていますの。鉢の内側は少し波打っていて、風が上手く循環するようになっていますわ。これを使うことで、室内でも効率よく洗濯物を乾かすことができますのよ」

「なるほど……、魔法って、いろんな使い方があるんですね」

「こういう大きな装置は一般的ではありませんけどね。簡単な魔法でも、工夫をすれば大抵の仕事はできますのよ」

 グランマにそう教えられカールは改めて魔法の便利さを思い知った。火を出したり、物の温度を上げたりすることは、使い方のほんの一部でしかなかったのだ。魔法は道具と組み合わせることによって更なる効果を発揮していた。

 大袈裟に言うと、カールは魔物と獲物の文明の差を目の当たりにした気分だった。

 いくら科学の力を得たと言っても、今のヒト族にこれと同じ働きをする装置は作れないだろう。まだ科学よりも魔力の利便性が上だった。巨大な硝子造りの乾燥機は、それだけ手の届かない、ゆえに魅力的な物だった。

「この洗濯場はこれですべてですわ。洗い終わった洗濯物は、畳んでそれぞれの場所に戻します。城内の配送係は別にいるので、私たちは受け渡すだけですの。これから暫くはここでお洗濯をしてもらい、慣れてきたら陛下たちのお衣裳をお願いしますわ。作業場はここと別ですのよ」

「はいっ、頑張ります!」

「お願いしますわね。貴方の評判、ほかのテディーたちから聞いて楽しみにしておりましたの」

 明るいカールの返事を聞いて、グランマはもふふっと笑った。


   ***


 リーン、リーン、リーン、リーン、と澄んだ鈴の音が四つ響いた。控えめで優しい音だが耳の奥まではっきりと通る不思議な音である。時計の針は丁度真上で揃っていた。その鈴の音が鳴ると、各係たちが仕事を切り上げそれぞれに散らばった。案内の後、カールに作業の詳しい説明を続けていたグランマも話を止めた。

「鈴の音が四つは作業の終了。二つ鳴ったら作業の開始。今から半時はお昼の時間ですわ。食堂に行けばシェフ特製のランチが食べられますの」

「食堂があるんですか?」

「ええ。昼食のときにだけお城の大食堂が開放されますのよ。ここで食事ができる機会は限られていて、一般市民で食べられるのは城勤めの者だけなのですよ」

 大食堂、と聞いてカールは少しドキッとした。そこにはきっと城で働いているいろんな魔物が集まるに違いない。この洗濯場で会った魔物たちは、仕事中だったこともあってか皆カールを見ても特に気に留めない様子であった。それにテディーが多かったため、カールの方も見慣れたところがあった。

 しかし食堂に出ればそうもいかないであろう。

「………」

 お城の大食堂、という響きに惹かれつつもカールの足は鈍かった。

 ぐうう。

「あっ」

 そんな主の心配事を余所に腹の虫が正直に鳴く。カールは思わず腹を押さえたが、響いた音は取り消せない。あまりにもはっきりとした音が聞こえたので、グランマは思わず笑ってしまった。

「ふ、ふふふ。大丈夫ですよ、カールさん。私と一緒に行きましょう。お城のみなさんはいい人たちですから、きっと仲良くなれますわ」

 グランマはそう言って小さな魔法石を握り、もふっと姿を変えた。元の姿に食堂の椅子は小さすぎますの、と話す彼女は背が高く恰幅の良い婦人姿であった。

 そこに作業を終えたギードも加わって、カールは初の大食堂に向かうことになった。


「お疲れー」

「今日のメニュー何だっけ?」

「私もうお腹ぺこぺこ」

 階段を二つ下りた先の大食堂。そこは廊下から既に多種多様な魔物で溢れかえっていた。皆、腹が減っているためかそこに紛れるカールのことを気にする様子はない。

 一方のカールは、いろんな種族の魔物を目の当たりにして言葉もなかった。この一ヶ月ほどでいくらか慣れてはいたが、数が数である。多数の見知らぬ魔物に囲まれた空間では、流石のカールも気楽にはいられなかった。

 思わずグランマのエプロンを握りしめてしまっても、それは仕方がないことである。

「あの、俺、本当にここ来ても……」

「もちろん。だって今日から洗濯係なんですもの。私たちの一員よ」

「そんな心配すんなよ! オイラもグランマさんもついてんだからさっ! それより、料理長たちの飯は最っ高なんだぜ。いつもメインが二つあって選べるんだ。どっち選んでも絶対に美味いんだよこれが!」

「メインが二つも…」

 ごくり。

 不安を抱えつつもギードの話しっぷりにカールは思わず生唾を飲んだ。さっき鳴ったとおり、腹は減りきっている。魔物ばかりの食堂は少し恐ろしいが、美味しい食事は楽しみだった。

 そんなどっちつかずの彼の鼻腔を、すぐにいい香りが誘ってきた。爽やかなハーブと、胃袋にガツンとくる肉や魚の香りである。少し嗅いだだけでも食欲が倍増する魅惑的な香りだ。

 その匂いにつられて歩調が早まると、食堂の入り口はすぐそこだった。

「わあっ……!」

 灰色を基調に揃えられた壮麗な室内。そこに充満する芳しい香り。扉をくぐった瞬間、カールの心にあった不安がぱっと弾け飛び、感動で圧倒された。食堂の美しさに目を奪われ、そこに充満する匂いに胃袋を持っていかれたのである。

 部屋は横に細長く、長机と椅子が列をなし大勢の利用者で賑わっていた。高い天井からはいくつもの照明がつり下げられ、星のようにあたりを照らしている。その部屋の中央付近に料理があるようで、ぞろぞろと進む列ができていた。

 好奇心で満たされきょろきょろするカールも、ギードに引かれて列に加わる。最初に台帳へ所属と名前を記入して一人一枚トレーを持つ。そうして順に食事を受け取っていく形式だ。代金は一週間分まとめての後払いだと言われた。

 最初に配膳されたのは一杯の冷えた麦茶と食器、その次がみずみずしいハーブのサラダ。出迎えてくれたのはヒト族のような外見の、しかしどことなくパンのように香ばしい匂いがする魔物だった。相手はカールを見ると一瞬「あっ」という表情になったが、配膳をしながら「ようこそ」と挨拶をしてくれた。その吐息もまた麦畑を渡る風のような香りがした。カールは優しく迎え入れてもらえたことが嬉しくて、「お世話になります」と小さく返した。

 それから冷たいスープをもらい、パンを好きなだけ取って列を進んだ。

 五つ目にやってきたのは話に聞いたメインである。廊下からずっとしていた食欲をそそる香りの元は、やはりこのメイン料理だった。この日は肉の皿と魚の皿で、先ほどと同じ香ばしい匂いの係がどちらが良いか尋ねてきた。前を歩いていたギードは肉の皿を手にしてさっさと行ってしまったが、カールは皿の前で立ち止まってしまった。

 魚は野菜と一緒にソテーされ、淡いクリーム色のソースがかかっている。

 肉はトマトで煮込まれ、別茹でした野菜が添えられていた。

「ううう、どっちも美味しそう……!」

 見た目も香りも満点な料理にカールは思わず口に出して悩んだ。気を利かせたグランマが後ろに並んでいた魔物たちを先に進ませるが、カールは一向に料理が選べない。どちらも今までに食べたことがないほど美味しいと思える皿で、選べなかったのだ。

 そうこうしている間に、肉も魚も売れていく。空になった配膳台の上に新しい皿が乗せられ、いっそう輝く見た目にカールは音を上げた。

「グランマさん、俺、選べないです……!」

「ええっ? じゃあ私と分けますか? そうすれば半分ずつ食べられますわ」

「すみません。お願いします…」

 困り果てたカールを見てグランマが助け船を出す。分けるのであれば、適当に片方を取れば良い。これでどちらの料理も味見ができる、とカールは嬉しく思った。

 そうして手前にあった魚の皿を取ろうとした瞬間、台の向こう側からぐっと腕が伸びてきて、彼の肩を抱き寄た。バランスを崩したカールは配膳台にぶつかり、トレーに乗せたお茶が少し跳ねる。

「わわっ!」

 両手の塞がったカールは慌てて体勢を維持した。何とか転ばずに堪えきると、顔のすぐ横でヒトと白黒が反転した目が彼を見ていた。見た目はヒト族とよく似ているが額には触覚のような物も生えている。

 その魔物は頭の上まで広がった額を光らせ、ニヤリと口を開いた。

「おうっ、おめえ新しく来た洗濯係だろ! 特別洗濯長、とか言ってたな。今日かららしいじゃねえか。ん? 何だ、まだメイン取ってねえのか。ほらっ、今日は牛肉のトマト煮込みだっ! 肉がとろとろになるまで煮込んだ一級品だぜ!」

「へっ?」

 光る額はそうまくし立てると、カールの返事も聞かずにどんっと肉の皿をトレーに乗せた。四角い顔に大きな団子っ鼻がにししと笑う。カールより背の低い男はずんぐりむっくりで指も太く、あまり料理係とは思えなかったが、白いエプロンを身につけていた。

 カールが勝手に皿を取ってくれた相手に礼を言うべきか迷っていると、エプロンをつけた男がもう一人現れた。

 トレーの上、肉の皿の横に割り込むように魚の皿が乗せられる。

「何をしているんですか? グレブス。彼は今、明らかに魚の皿に手を伸ばしていたでしょう? 彼が選んだのは肉でなく魚っ! 味の濃いお前の肉料理ではなく、繊細な私の魚料理ですよっ! 済まなかったね、君。これを持ってゆっくりとランチを楽しんでくれたまえ」

「はあ……」

「何だとガルメア! 働く奴の胃袋にはなあ! そんなお上品なメインより、がっつりした肉のほうがいいに決まってんだろう! 肉を舐めんな!」

「肉かぶれも大概にしなさい! 貴方は本当に魚の良さを分かっていない!」

「何だとッ?」

 ゴツン、と二人の男の額がぶつかる。目の前で繰り広げられる言い争いにカールは思わず身を引いた。

 後からやってきた男は長身長髪で、やはり白黒が逆の目をしていた。額には足のほうまで伸びている長い触覚があり、口元にも細長い髭が生えていた。

 トレーにはメインが二つ乗ったままだったが、どちらか一方を下げられる雰囲気ではない。どちらを下ろしたとしても喧騒に巻き込まれるのは明かだった。

 二人の喧嘩に列の流れも一端止まる。

 何が何だか分からず途方に暮れるカールの袖を誰かが引いた。

「洗濯屋さん」

 そう呼ばれて振り返ると、緑色の瞳がきれいな褐色の女性がいた。

「もうその二人は放って置いていいから、こっちへ来て。あなた初めてだし、今日は両方食べてくれて構わないわ。あの二人、いつもどっちの料理が多く選ばれるか競っているのよ。次回からはきっちり白黒つけてあげてね」

「そうなんですか。分かりました」

 カールは彼女の話を聞きながら、引かれるままにデザートの前まで移動した。

 褐色の彼女もエプロンをつけているのでどうやら料理係のようである。ドレッドのように見える頭髪は、ぷつぷつと実がついた海藻のようだった。その束を後ろで一つにまとめ、もっさりと垂らしている。暗緑色を背景に朱色の細いバンダナがよく映えていた。

 狭くなったトレーの隅に小さなチーズケーキが乗せられる。

「驚かせて本当にごめんなさい。あの背が低くて厳つい方がグレブス料理長で、背が高くて髪の長い方がガルメア料理長よ。二人ともここの料理長なの。肉派のグレブスさんと魚派のガルメアさんで真っ二つだけど、どちらも一流の料理人。本人達も相手の実力を知っていていつも競っているから、放って置いてあげてね。そして私も料理長の一人、オリヴァよ。担当はスイーツなの」

「俺はカール・ベーアって言います。お二人はライバルなんですね。ちょっと吃驚しました。助けてくれてありがとうございます」

「どういたしまして。パンのお代わりは自由だから、ソースの一滴まで堪能してね」

「はい!」

 オリヴァのおかげで列から離れられたカールはグランマたちと一緒に席についた。少し気になって配膳台を振り返ると、まだ威勢の良い声が響いている。隣に座ったギードが、カールのトレーにメインが二つ乗っていることに気付いた。

「あっ、カールさん、さては料理長たちに掴まってたな? どうりで遅かったわけだ」

「えへへ……俺がすぐ選べなくて。迷っていたらいつの間にか…」

「あの二人、同郷でずっとライバルらしいからな。いっつも張り合ってんだ。陸じゃあまり見かけねぇ海の国出身なんだぜ」

「海の国?」

 カールは霊樹でついた習慣で、そっと両手を合わせてから食事を始めた。

 一口大に切られた肉の塊をソースと一緒に口へ運ぶ。トマト味の効いたドミグラスソースの中で、肉がほろりと解ける。塊の内側はまだ熱々で、カールはほふっと息をついた。肉の旨味が口いっぱいに広がり、すぐに二口目へと手が伸びる。

 添えられた野菜はヴァートッフェル、ニンジン、インゲンだった。

「海の国というのは、大海の中にある国々のことよ。ヒトの間ではあまり知られていないのかしら? グレブスさんも、ガルメアさんも、元は同じ海底の国で料理人をしていたようですわ」

「海の中に海底の国があるって話は聞いたことがあります。でも、実際にその国出身の人に会うのは初めてです」

「黒い目に白い瞳をしているのが、海底に住む種族の特徴ですのよ」

「何でも、陸へ料理修行に来たグレブスさんが肉料理にはまっちまって、海を出てこっちに来たらしいぜ。海の国じゃ肉料理は食わないらしいからな。ガルメアさんはそれを追っかけてきたってわけだ」

「それで肉派と魚派なんですね」

「自分の志を胸に国を出るなんて、かっこいいよなあ!」

 ギードはそう言ってパンを囓った。トウモロコシの粒が混ざったパンはほのかに甘い味がする。小さく千切ってソースと一緒に食べると、塩気と甘みが丁度良い塩梅で、また美味しかった。

 カールは魚の皿へも手を伸ばした。

 少し焦げ目のつけられた白身の魚が、フォークでもっちりと切り分けられる。中心がまだうっすら元の色をしているミディアムレアだった。それにクリーム色のソースをつけて一口頬張る。するとふわっと口の中に爽やかなフルーツの香りが広がり、魚に付けられた塩気と最高のバランスを保った。一緒にソテーされているのは色とりどりのピメントや小さいトマトである。

「そういや、カールさんも故郷を離れてここへ来たんだよな。アンタもすげえや! オイラもいつか余所の国に行ってみたいぜ。そんでいろんな方法を学んで、陛下の洗濯係になるのが夢なんだ! 今も、生地ごとの洗い方とかを研究してるんだぜっ」

「それは凄い! 俺、ここに来てから知らない事が多くて。今度見せてください!」

「おうよっ。同じ洗濯係同士、一緒に頑張ろうな!」

「はいっ」

 デザートのチーズケーキは噛むとふわりと崩れ、口の中をさっぱりとさせる味わいだった。


   ***


 カールが城で働くようになってから一週間ほどが経った。

 洗濯係は朝が忙しく、午後になると昼食とは別に短い休憩が入り、夕方にまた集まって洗濯をした。カールは乾燥以外の三つの係をそれぞれ経験することになった。ギードやテディーたちの仲介があって、少しずつ周りとの交流もできている。食堂でほかの係と話す場面も増えた。

 朝の洗濯物が落ち着くと、その後で染み抜きや汚れの強い物を洗う。このときカールはだいたいギードと一緒になって、生地の話を聞きながら洗濯をした。ギードがまとめた研究ノートにはお城で見かける布の特徴がとても詳しく記され、カールはそれを楽しそうに見ていた。

 交代制で七日のうち三日ある休みの日には、魔方陣を通ってタピオのところへも遊びに出掛けた。ただ、根っからの洗濯屋な彼は、霊樹へ行っても袴の洗濯などをして過ごしていた。


 とある日、カールはギードの隣で朝の洗濯をしていた。

 そこへグランマがやって来たのは一段落付いた午後の休憩前である。

「もうすっかりここに馴染んだようですね、カールさん」

 元の姿の、大きなもふもふの体躯を揺らしながら彼女はやって来た。

「おかげさまで。みんな、親切にしてくれてとても助かっています」

「それは良かったわ。ここの流れも大体分かったと思うから、そろそろ陛下の洗濯部屋へ移ってもらおうと思うのだけれど」

「別にある、って言っていたところですか?」

「そうですわ。いつでもお洗濯できるように、陛下のお部屋の近くにあるの」

 グランマの打診にカールは快く頷いた。元々それを望まれて攫われてきたのだ。

 カールは当たり前のようにいつ異動するかを尋ねた。

 だが、それに驚いたのは横にいたギードである。

「ちょっと待ってくださいよグランマさん! コイツが陛下の洗濯係になるんですかっ?まだここに来て一週間そこらですよっ? 何でコイツなんですかっ? オイラ、前々からずっと向こうの係になりたいって言ってたじゃないですか! 何でオイラより先にコイツが! オイラも移してくださいッ!」

 その声にグランマはしまった、と思った。

 彼女もカールも最初からそうなると分かっていたが、彼はカールがヴフトの洗濯係になることを知らなかったのだ。

「ギード、駄目ですわ。カールさんは初めから陛下の洗濯係になる予定だったのよ。それに貴方にはまだここで…」

「魔国に来たばっかのカールさんより、絶対オイラのほうが上手に洗えます!」

「ギード……」

 全身の毛をざわっと逆立てて叫ぶギードにグランマもカールも驚いた。彼の表情は真剣そのもので、本気で怒っていたのだ。

 殺気立つギードの姿にカールは思わず一歩退いた。

「オイラ、認めませんよ! 新入りが一年もしないうちに陛下付きだなんて聞いたことがない! 宮内様に抗議してやるっ!」

「待ちなさいギード! これは八卿議会でっ…」

「オイラのほうが絶対にお役に立てる!」

 ギードはそう叫ぶと四つ足で駆け部屋を飛び出して行った。グランマがその後を追おうとするが、慌てて魔法石を落としてしまい変身が遅れた。彼女がヒトの姿に変わるより先に、カールがギードを追いかけていた。

「あっ! カールさん、駄目よっ。危ないですわっ」

 そう叫んだグランマの声はカールの耳に届かなかった。

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