表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

転生したからってチートだと思ったら大間違いだぜ!

作者: わらびー

主人公が『最強じゃない』、『無双してない』、『ほんのりでもハーレム表現』はNO!な方は読まないことを推奨します。

はろーはろー、こちら平民Q。俺、実は転生者なんだぜ!凄いだろ!って言いたいけど言えない。何故か。…俺の弟が俺の分のチートを掻っ攫っていっちまったからです!






俺は前世、ふつーに生きていた。ふつー過ぎて空気扱いされることもしばしば、『あれ、俺って必要な人間なのかな?』なんて考えを拗らせたってしょうがない。当時の俺はそう思ってました。現在からすりゃ失笑ものだがな。

そんでまあ、ふつーはふつーなりに何か出来ないかと思った。金メダルなんて獲れない、No.1にはなれない凡人でも、替えのきかない存在になりたいと思ったんだ。要するに、なんでもいいから『主人公』になりたかったんだな。はいそこ、「自分の人生の主役は自分じゃね?」とか言わない。認識されなきゃ意味ないんだよ、わかるだろ?考えてもみろ、いくら良いことしたって誰も見てなきゃ褒めてもらえないだろつまりそういうことだ。


長々と語ったが、俺は英雄願望と呼べなくもない思想を抱いて死んだ。ごめんちょっとカッコつけた。実際は、道端でピンクの首輪を着けた猫を撫で、構いすぎたのが嫌だったのか逃げた猫に気を取られていたら急接近してきるトラックに気づくのが遅れ、そして死んだ。多分轢かれたんだろうな。あんま覚えてないけど。

そこからはまぁ、テンプレ通りだった。神と名乗る存在と訳わからん空間で対話し、なんやかんやでチートな能力を貰ったそして次の人生への期待を胸に生まれ変わったんだが…


『ゴッメーン、君にあげる予定だった能力だけど、君の弟に獲られちゃったー。許してぴょん(はぁと)』


…はあああァァァァァ?!ナニソレ⁈意味わかんないんですけど?!


無事産み落とされ、母親に抱かれてうとうとしているときに神にそう告げられ絶叫した俺は悪くない。ハズ。反対意見は挙手しろ!挙手!

視界がクリアになり周りを確認する余裕が出来ると、俺の隣にもう1人赤ん坊が寝かせられているのが判明した。多分、こいつが俺のチート能力を掻っ攫ったらしい弟なんだと思う。てことは俺、双子なのかな。一人っ子だったから兄弟ができるのは嬉しいです。…あれ、待てよ?弟がチート奪った=俺は凡人?!ヤベェ兄弟できたーうふふなんて喜んでる場合じゃねえ!双子なんてモロ比較対象じゃん!弟君スゴイねー、それに比べてお兄さんは…なーんて状況がありありと思い浮かぶぜ…ッ!冗談じゃねえ、誰がそんな針の筵みてーな人生歩むかよ。チートは惜しいが、こうなったら平凡だけど平穏な暮らしをしてやんよ!さようなら薔薇色の人生、こんにちは普通の人生!

やけくそになって万歳していたら母親に微笑ましいものを見る目で見られた。しまった俺今赤ん坊なんだった。遊んでるみたいに思われたようだから別にいいか。





そんなこんなで10年が経った。俺と弟ももう10歳である。時が流れるのは早い。

俺が生まれてから、いや、弟が生まれてから10年間、色んなことがあった。弟が有名な劇団にスカウトされたり(顔面偏差値の高い一家なので当然美少年)、弟が近所の女の子たちでハーレム築いたり(顔がいいから年上年下関係なしにもてまくってた。でも俺はもてない。何故だ)、ハーレムの中でも年が近い少女同士で弟を巡り大喧嘩が勃発したり(止めに入ったら顔をひっかかれて挙句に腕を噛まれた。キャットファイトってこわい)、他にも、色々、あったなぁ…。思い出すだけで遠い目になってしまう。10歳でこれだ、成長したらどこぞの女が「あなたの子よ!責任とって結婚して!」とか言いにきそうだ。うち平民なのに。そんな女好きの貴族みたいなドロドロいらねーよ。

さて、騒動が起こる度に俺の胃をキリキリさせている弟はというと、これが典型的な天才という奴だった。体の成長は普通だったが、

1歳で文字を覚え


3歳で魔法を習得し


7歳で新しい魔法理論を構築、実用化まで漕ぎ着け


そして10歳、最年少で国内最難関と言われる国立魔法学校に入学する。

どうやら神がくれると言っていた能力とは、魔法チートだったようだ。だが他にも補正があるらしく、弟は家事一般を完璧にこなし、護身術として習っていた体術、剣術は、この道に進まないか?と師範直々に声をかけられるほど。これだけ完璧だと人間関係に難ありだとか思うだろ?ところがどっこい、どでかい猫を何匹も被っているから愛想も良い。家じゃ素が出てるけど。それでも俺より知り合い多いんじゃねえかな。町を歩いてても、声をかけられるのはほとんど弟で俺はついでって感じがするんだよなぁ。双子なんだから顔の作りは似てるんだけどな。なんだろう、これがチート持ちとそうじゃないやつの差なのか?そういえばオーラというものが弟にはある気がする。俺がチート能力を受け取っていたら、俺が弟みたいになっていたんだろうか。

今のようにきゃあきゃあと黄色い声をあげる女の子たちに囲まれる弟を見る度に、そんなことを考える。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ